ダイエットや健康のために、「グルテンフリーの食品が気になっている」「グルテンフリーの意味やメリットを確認したい」と思っていませんか?この記事では管理栄養士が、グルテンフリーについて簡単にわかりやすく解説をします。グルテンフリーが生まれた経緯、世界中から注目される理由などもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

グルテンフリーとは。どんな意味を持つ言葉?

小麦粉でグルテンフリーと書かれ周りに食材が置かれている

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「グルテンフリー(Gluten Free)」を日本語に訳すと、「グルテンなし」という意味になります。一般的にグルテンフリーとは「グルテンを排除した食事法」のことを指します。

グルテンとは、主に小麦粉から生成されるたんぱく質です。グルテンへの過剰な感受性がある場合、グルテン摂取で体調に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、小麦粉アレルギーの人もグルテンを摂取すると、症状を起こしてしまいます。

EU・米国では、「グルテンフリー食品中に含まれるグルテンは20ppm未満でなければならない。」と定められています。そのため輸入食品にグルテンフリーと書いてあっても、グルテンの含有量がゼロではない点に注意が必要です。

一方、日本ではアレルギー表示の義務付けにより、ごく微量であっても「小麦」を含む場合は小麦のアレルギー表示をする必要があります。(※1,2,3,4)

グルテンフリーの歴史

グルテンフリーが生まれた経緯

もともとはグルテンの摂取が原因で引き起こされる病気の対策として、グルテンフリーの食事法や食品が生まれました

欧米ではこの病気が一般的なこともあり、飲食店においてもグルテンフリー表示がよく用いられています。欧米でグルテンフリー表示規則が施行されたのは、2014年頃です。(※3,5)

なぜ今グルテンフリーが注目されているのか

グルテンフリーが注目される理由はさまざまです。世界を見ると、グルテンフリーの観点から日本食は「おいしい健康食」として人気を獲得しています。

具体例をあげると「しらたき」は、低カロリーかつグルテンフリーなので、欧州の一部地域でパスタの代わりに活用されています。ほかにも日本食にはグルテンフリー食品が多く、ダイエットや健康を気遣う人たちからの支持を得ているのです。

日本においてもグルテンフリーのヘルシーなイメージが徐々に広まり、ダイエットや健康のために取り入れる人が多くなったと考えられます。(※6)

グルテンフリーのメリット

米のそばで米粉をすくう様子

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グルテンフリーを意識すると、パンや麺類の摂取が減り、洋食より和食を選ぶ機会が増えます。また、調理をするときは、小麦粉よりも米粉を選ぶようになるのではないでしょうか。それによってどんな好影響があるのか、3つのメリットを見てみましょう。

メリット1. 食事のカロリーを抑えられる

パンや麺類など小麦粉の食品を取り過ぎている場合、それらの摂取が減ることで、食事のカロリーを抑えられる場合があります。ただし、グルテンフリーを実践したからといって、必ずしも摂取カロリーを減らせるわけではありません。肥満対策や健康のためには、食習慣や運動習慣の全体的な見直しが大切です。(※7)

メリット2. 和食中心になり栄養バランスが整う

前述の通り和食(日本食)はグルテンフリーのものが多いです。グルテンフリーの食事をはじめようとすると、パンや麺類よりもごはん(米)を選ぶことが増えて、和食中心になるという人が多いのではないでしょうか。主食・主菜・副菜のそろった和食を摂ることで、栄養バランスが整うというメリットも考えられます。(※6,8)

メリット3. 米粉で揚げ物のカロリーが低下する

グルテンフリーを意識すると小麦粉の代わりに米粉を使う機会が増える人が多いのでは。揚げ物の調理で米粉を使うと小麦粉よりもカロリーを抑えられます。米粉のほうが給油率が2割ほど低いという情報も。ドーナッツや天ぷらなどを作るなら、米粉のほうがヘルシーといえます。(※9)

グルテンフリーのデメリット・注意点

グルテンフリーにデメリット・注意点はないのかと、気になりますよね。グルテンフリーに限りませんが、特定の食品を制限することで、ストレスが溜まったり、栄養バランスが偏るおそれがあると考えられます。その理由を、詳しく見てみましょう。(※8)

デメリット1. ストレスが溜まるおそれ

グルテンフリーに限りませんが、ダイエット中に特定の食べ物を制限することで、「余計に食べたくなってしまった」「暴飲暴食してしまった」という経験はありませんか。グルテンフリーも同じで、小麦粉のお菓子や料理を食べたいとき、無理に我慢するとストレスが溜まるおそれがあります。(※10)

デメリット2. 栄養不足につながる

ある大学の研究では、グルテンを避ける必要がない人を対象に、グルテンフリーのパンを日常的に摂取した場合の栄養状態を評価しています。それによると、通常のパンを食べるのに比べて、グルテンフリーのパンでは食物繊維や鉄が不足しやすいとの結果がでています。

あくまでもひとつの実験結果に過ぎませんが、健康のためには、栄養バランスに気を付けることが大事ですね。(※8,11)

代表的なグルテンフリー食品

グルテンフリーのパスタにフォークが添えられている

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さまざまなグルテンフリー食品が販売されています。代表的なものでは、小麦粉の代わりに米粉で開発されたパン、麺類があります。通常の小麦使用の製品と比べて原材料や味わいなどにどんな特徴があるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

パン

近年、グルテンフリーの米粉パンが注目を集めています。米粉パンには米粉ならではのやさしい甘さ、もちもち感があります。ただし注意点として、米粉パンがすべてグルテンフリーであるとは限りません。米粉パンを選ぶ際には、原材料・添加物の表示をよく確認することが大切です。(※12)

麺類

本来小麦粉から作られることが多い麺類も、グルテンフリーのものが開発されています。海外では、グルテンフリーのしらたきも知られており、パスタ代わりに使うことがあるようです。また、日本で開発されたグルテンフリーのパスタやラーメンは輸出も積極的におこなわれています。(※6,13,14)

餃子

小麦粉不使用で、米粉使用の餃子が販売されています。米粉を使っているぶん食感がもちもちとしているのが特徴です。ところで米粉餃子のほか、米粉製品のパッケージに「本商品の製造工場では、小麦を含む商品を製造しています」といった注意喚起を見かけることはありませんか。これは、原材料に小麦を使用していないものの、製造工程で混入するリスクがゼロではないことを示しています。(※15,16)

米粉

米を粉状にして作られる、米粉。もともとはせんべいの材料として使われていたものです。現在では製粉の技術が進み、いろいろな米粉製品に活用されていますね。製菓用やパン用など、幅広い用途に合わせたものが生まれ、米粉の活躍の場はどんどん広がっています。また、農林水産省でも米粉の普及に取り組んでおり、米粉人気を後押ししているといえます。(※17,18)

大豆粉

大豆の栄養がまるごと摂れる大豆粉もグルテンフリー食品で、主に小麦粉の代用品として使われます。低温で大豆粉を炒って作られているものが一般的で、香ばしい風味があります。たんぱく質が豊富で、ある製品情報を見ると、大豆粉100gあたり40g以上のたんぱく質を含むことがわかります。たんぱく質をしっかり摂りたい方におすすめです。(※19)

グルテンフリー食品を選ぶときのポイント

グルテンフリーのパンにグルテンフリーのピックを刺す様子

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グルテンフリー食品を選ぶときに役立つポイントを、3つお伝えします。グルテンフリー食品は手軽に購入できますが、厳密には「グルテンフリー」表示以外にも、パッケージに記載の情報を確かめる必要があります。

また、グルテンフリー食品だからといって必ずしもヘルシーだと過信をせず、食事全体のバランスを考えたり、ダイエット中であれば無理のない食生活を送ったりすることが大切です。それぞれ詳しく見てみましょう。(※8,10,12)

ポイント1. 原材料・添加物の表示を確認する

「グルテンフリー」表示だけでグルテンの有無を判断するのは避けましょう。なぜなら、輸入食品のようにEUや欧米の基準でグルテンフリーが表示されている場合があるからです。EU・欧米ではグルテンが20ppm未満であれば、グルテンフリーの表示が可能となっています。

「グルテンフリー」と表示されているだけでは、グルテンの含有量がゼロとはいい切れません。輸入食品を選ぶ際には、とくに注意したいですね。(※4)

ポイント2. 食事のバランスを考えて取り入れる

健康のためには、「何をどれだけ食べるか」という、食事のバランスがとても重要です。グルテンフリーによって食事に制限がでてくることで、栄養バランスが偏るおそれがあります。グルテンフリーは全体的な食事のバランスを意識しながら適度に、柔軟に取り入れることをおすすめします。(※8)

ポイント3. 無理をしない

グルテンフリーをがんばりすぎると、食事がワンパターンになって飽きてしまったり、ストレスが溜まったりするおそれがあります。グルテンフリーは健康的に楽しく続けたいですよね。そのためには、なるべく無理のない食生活を心がけましょう。(※10)

グルテンフリーを楽しもう

グルテンフリーはヘルシーなイメージがあり、国内外で人気があります。日本で注目されているグルテンフリー食品は、主に小麦を使わず米粉や大豆粉を使用した製品です。注意点として、グルテンフリー食品を選ぶ際は、原材料・添加物などよく確認してください。また、グルテンフリー食品を取り入れる場合は我慢や無理をせず、バランスのよい食事のなかで楽しみましょう。

【参考文献】

※1 グルテンフリーとは | Japan Rice Flour Cooking Association(日本米粉クッキング協会)

※2 グルテン不耐症の実態解明とメンタルヘルスに関する研究 | 兵庫医科大学

※3 食品安全関係情報詳細|米国食品医薬品庁(FDA)、「グルテンフリー」表示規則を施行|食品安全委員会

※4 EUやアメリカ等における「グルテンフリー表⽰」と⽇本の「アレルギー表⽰」とは基準が異なります|消費者庁

※5 第1回グルテンフリーとグルテンフリー食品が必要な人|栄養コラム|ニップン栄養情報サイト|株式会社ニップン

※6 欧米・豪州等6か国、組織におけるグルテンフリー表示に係る調査報告書|農林水産省

※7 肥満と健康|健康日本21アクション支援システム Webサイト|厚生労働省

※8 食事バランスガイド(基本編)|健康日本21アクション支援システム Webサイト|厚生労働省

※9 多彩な米粉の料理|山梨学院短期大学

※10 あすけん - ダイエット中のストレスってどんなもの?

※11 過剰なグルテン除去が与える影響について|安田女子大学

※12 米粉製品による小麦アレルギー気を付けましょう!!|消費者庁

※13 株式会社海星 - 米粉のグルテンフリーパスタ GFP 農林水産物・食品輸出プロジェクト

※14 グルテンフリーラーメン GFP 農林水産物・食品輸出プロジェクト

※15 米粉でつくったギョーザ | 商品情報 | 味の素冷凍食品株式会社

※16 食物アレルギー表示について|消費者庁

※17 米粉の世界:農林水産省

※18 米粉取扱事業者の紹介:東海農政局

※19 ダイズラボ 大豆粉|マルコメ

(2025/05/20参照)

※商品情報や販売状況は2025年05月18日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。