節分といえば豆まき。かけ声とともに豆をまいて鬼を追い払い、福を呼び込む恒例行事です。実は大豆以外にも落花生をまく地域があるのをご存じでしょうか?本記事では落花生をまく地域について見ていくととともに、豆まき以外の風習についても紹介。節分の''豆''知識をチェックしてみてください。

節分に落花生をまく地域がある?分布や豆知識をチェック

節分用の桝にはいった落花生

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節分にまく豆は大豆でしょうか?それとも落花生でしょうか?

豆まきといえば昔は大豆が一般的でしたが、最近は落花生をまく地域が増えているようです。この記事では、その理由や豆の正しいまき方を解説。記事の後半では、知っておきたい「節分の豆知識」もご紹介します!

節分には大豆?落花生?地域の分布

豆で鬼を追い払う男性

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節分の豆まきには炒り大豆を使うのが一般的ですが、実は北海道、青森県、宮崎県などの地域では大豆の代わりに落花生が使われることも多いというデータもあります。

落花生をまく地域が日本列島の一部分に偏ることなく、北にも南にもあることは非常に興味深いですよね。それらの地域でなぜ落花生をまくようになったのかを、次項以降で見ていきましょう。

北海道や青森県など、雪国では落花生をまくのが一般的

節分の豆まきに落花生を使っている地域は、現在では東北や北陸地方では7割以上、北海道では実に9割以上にのぼります。雪国に関しては、「豆まきといえば落花生」というのがもはや常識のようですね。

鹿児島県や宮崎県でも豆まきには落花生を使う

関東から西にかけての地方では大豆が優勢ですが、南九州の鹿児島県と宮崎県だけは大豆よりも落花生のほうが多く使われています

節分の時期になると、鹿児島県や宮崎県のスーパーの節分の売り場には大豆の姿は少なく、代わりに落花生が並ぶのが一般的なようです。

節分で落花生が使われるようになったのはいつから?

桝に入った落花生と鬼のお面

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節分にまく豆といえば、もともとは全国的にも大豆でした。しかし、昭和20年頃から北海道で落花生が使われ始め、昭和30〜40年頃になるとさらに急増していったようです。

そもそも鬼払いに豆を使うようになった理由は何なのでしょうか。諸説ありますが、"穀霊"と呼ばれる精霊が宿るとされていた五穀(米・麦・ひえ・あわ・豆)のなかで、もっとも粒の大きな豆が鬼を払うのに最適と考えられたようです。

由来を見てみても、大豆ではなく落花生をまくことには、そこまで大きな違和感はないでしょう。

節分の豆まきで「落花生」をまくのはなぜ?メリットを解説

殻付きの落花生と剥いた落花生のアップ

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なぜ、大豆の代わりに落花生を使う地域が現れたのでしょうか。その理由やメリットには、次のようなものがあります。

大豆より拾いやすい

雪国では節分の時期に雪が積もることも多いもの。普通の大豆を使うと雪に埋まってしまい、まいたあとに豆を拾うのが大変です。

そのため、「大豆よりも大きくて見つけやすく拾いやすい落花生が使われるようになった」といわれています。

殻ごとまくため衛生的

落花生は殻ごとまくので衛生的です。粒の小さな大豆に比べて踏みつぶしてしまう心配もなく、部屋でまいても後片付けが楽なのも嬉しいですね。

生産量が増えて大豆より安価に

雪国ではない鹿児島や宮崎県に関しては、昭和30年代頃から大豆の生産が減り続け、反対に落花生の生産が急増したことから、より安価な落花生を使うようになりました。

落花生の国内生産量一位の千葉県でも、最近では豆まきに落花生を使う割合が増えてきているようです。

節分では年の数だけ大豆を食べる。落花生の場合は?

節分では豆をまいたあとに、年の数だけ大豆を食べる風習があります(地域によっては年の数より1粒多く食べることも)。

落花生の場合は殻の中に豆が2粒ほど入っていますが、食べる時は「殻を1個と数える」という考えが一般的です。ただし、落花生は大豆よりカロリーや脂質が高いので、食べ過ぎには注意してくださいね。

落花生でもOK!豆まきのやり方

鬼のお面をかぶった三人の幼稚園生

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1. 福豆を準備する

鬼は夜に現れるとされるため、豆まきは夜におこなうのが一般的です。福豆を準備したら、豆まきの直前まで桝や三法(お供え用の器)に入れて神棚に供えておきましょう。神棚がない場合は、自分の目線よりも高いところに白い紙を敷いて神棚の代わりにしてください。

使用する豆はもちろん落花生でもOKです。

2. 豆まきは家族みんなで

家族全員の無病息災を祈るために、家族がそろってから豆をまきましょう。豆をまく役割を担うのは家長が一般的ですが、「年男・年女」「厄年の人」も吉とされています。

3. かけ声で鬼を追い払う

鬼を追い出すために玄関や窓を開けて「鬼は外!」とかけ声をかけながら、奥の部屋から玄関に向かって順に豆をまいていきましょう。

4. 鬼を締め出してから福を呼ぶ

玄関まで豆がまき終わったら、鬼が家の中に戻ってこないように、すぐに玄関や窓を閉じて鬼を外に締め出しましょう。そのあとに「福は内!」のかけ声とともに、部屋の中に豆をまきます。

かけ声や豆まきの順番などは、地方によって異なるので、実際のやり方は地域やご家庭の方法を参考にしてください。

5. 一年の無事と幸運を祈りながら豆を食べる

まいた豆を拾ったら、一年の無事と幸運を願いながら、年の数、または年の数に1粒加えた豆を食べましょう。落花生は殻を年の数に合わせて数えて食べるのが一般的ですが、食べ過ぎには注意してください。

「豆まき」以外にも節分にはこんな風習が

3本の恵方巻きと焼き鰯と桝に入った福豆

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恵方巻きを食べる

節分の日に恵方(決まった方角)を向きながら巻き寿司を無言で食べる風習です。恵方とは歳徳神(=歳神様)がいる方角のことで、そちらを向いて物事をおこなうと万事吉とされています。

具材は七福神にちなんで7種類入れると縁起がよいとされていますよ。

いわしの頭を飾る

玄関にひいらぎの枝に刺したいわしの頭(柊鰯)を飾る風習です。

「いわしを焼く匂い」を鬼が嫌うため、鬼よけの意味があります。地域によっては残ったいわしの身を食べることも。いわしを食べることには、体内の邪気を追い払うという意味があるようです。

節分そばを食べる

立春の前日は冬から春への節目と考えられることから、江戸時代の頃は節分に食べるそばのことを「年越しそば」と呼んでいました。昔は大晦日ではなく、節分こそが"本当の年越し"の日と考えられていたからだそうです。

この風習から、いまでも多くの地域で節分の日にそばが食べられています。

こんにゃくを食べる

昔は大晦日や節分に食物繊維が豊富なこんにゃくを食べて、体内の悪いものを出す「砂おろし」という風習がありました。

そのため、現在でも四国地方を中心として、節分にこんにゃくを食べる地域があります。

節分の"豆"知識で鬼を追い払おう!

大豆以外に落花生をまく地域があることや、その理由をご紹介しました。節分は日本で古くから親しまれている行事ですが、地域によるさまざまな風習を知ることで、いままで以上に節分に興味を持てるようになるでしょう。節分の豆知識も頭に入れて、存分に豆まきを楽しんでください。

※商品情報や販売状況は2022年11月27日時点でのものです。
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