ヒーローとは、社会に貢献するような優れた功績を残し、人々の敬意を集める偉人や勇者のこと。時代や地域によってそのイメージは多少異なるものの、思い通りにいかない人生に挫けそうになる私たちにとって、光と希望を与えてくれる偉大なる存在であることに変わりはない。社会が不安に包まれたとき、彼らはどこからともなく姿を現し、悪や不正、理不尽に敢然と立ち向かって社会を変えていく。その姿にいつも人々は勇気づけられ、希望を見出してきたのだ。しかしここしばらくは、ヒーロー不在と言われている。終わる気配のない戦争や紛争、暴走し続ける地球温暖化やそれに伴う気候変動など、私たちの未来を揺るがす世界規模の大問題が後を絶たない現代にこそ、時代を切り拓くヒーローが必要なのに。。。
そこで2025年SSシーズンの阪急メンズは、 “WE CAN BE HEROES“をシーズンテーマに、絶対的ヒーローに着目。その象徴となるのが、多くの子どもたちがテレビの前に釘付けになり、毎週ドキドキ、ハラハラしながら食い入るように見ていた戦隊ヒーローのパイオニア、“ゴレンジャー”である。正式名称は『秘密戦隊ゴレンジャー』。世界征服を目論む悪の組織、黒十字軍から人々を救うべく命をかけて戦う勇敢な5人の戦士の物語は、1975年4月に彗星のごとく登場するや、またたく間に幼きヒーロー予備軍たちの心を鷲掴み。2年間という長きに渡って放映され、純粋な子どもたちに正義を貫くことと挫けない魂の大切さを刻みつけた。
そんなゴレンジャーにとって、2025年はちょうど50周年にあたる記念すべき年。彼らが体現してくれた新しいヒーロー像はもちろん、その活躍を機に新たに誕生し、今なお続く「スーパー戦隊シリーズ」にインスパイアされた経験を持つ人は、日本全国にたくさんいることだろう。今この世の中に蔓延る不安を払拭し、煌めく未来を手に入れるために欠かせないものは、ヒーローに憧れ、自分もヒーローになるんだと目を輝かせたあの頃の、とびきりピュアな少年心。50年を経てなお輝きを失わないスーパーヒーローとともに、ドキドキ、ワクワクしながら、新しい時代に向かって突き進んで行きたい。
世界征服を目論む悪の軍団「黒十字軍」の侵攻を防ぐため、国連は「国際秘密防衛機構イーグル」という組織を作り、世界中に支部を置いた。しかし黒十字軍は日本に攻撃を集中させ、各地の支部を瞬く間に壊滅させてしまう。その中で奇跡的に生き延びた5人のイーグル隊員は新宿の秘密基地に集結し、ゴレンジャーを結成して黒十字軍への反撃を開始する-。
原作者は、「サイボーグ009」や「仮面ライダー」の作者としても知られる伝説的な漫画家、石ノ森章太郎だ。人気の秘訣は、さわりを聞いただけでも思わず胸が高鳴ってしまうストーリーに加え、緻密に作り込まれた設定にある。中でも注目すべきは、5人のチームワークで次々と敵を倒していくという点だろう。1人で戦う孤高のヒーローが主流だった当時としては随分と思い切った発想に思われるが、その斬新さが時代の流れにピタリと重なったようだ。赤、青、黄、緑とそれぞれに異なるメンバーカラーを振り分けるというのも出色のアイデアで、それぞれの個性を際立てるのに大いに貢献。各レンジャーが名乗りをあげながらキレのあるポーズを決めるシーンは、子どもたちを興奮させるハイライトのひとつだ。余談だが、昨今のアイドル業界においてメンバーカラーは欠かせない要素だが、そのきっかけは戦隊ヒーローシリーズにあるという説が根強い。いかにこの設定が秀逸であったかがわかるエピソードである。
その他にも、シリアスでスリルに満ちた迫力のアクションはもちろんのこと、思わず吹き出してしまうようなギャグやコメディ、興味深いなぞなぞ、未来仕様のマシーンやメカ、敵として立ちはだかる破天荒な怪人たち(アバンギャルドなコスチュームも必見!)と、見どころは満載。子どもたちが夢中になるのも無理はない。
個性的な面々が揃うゴレンジャーの人気は凄まじく、2年間で全84話という異例の長期放送を記録した。その結果、5人のチームワークで悪に立ち向かうスーパー戦隊がシリーズ化。3作目の「バトルフィーバーJ」(1979年)からは年に1作品というスパンで放映されるようになり、以降、一度も途切れることなく今に至っている。バブル経済の破綻や歴史的な大災害に見舞われたとき、2020年に突如世界を襲った暗黒の3年間はもちろんのこと、穏やかで平和な暮らしの中でさえも、時代はいつでもヒーローを求めているのだ。
「ゴー!」という掛け声とともにメンバーカラーに彩られたゴレンジャースーツと呼ばれる特殊強化服姿に“転換”し、敢然と敵に立ち向かうゴレンジャー。それぞれが得意とする武器や技を駆使して戦うのだが、中には5人全員で協力し合うことで完成するゴレンジャーストーム、ゴレンジャーハリケーンなどの大技もある。これこそ、チーム戦を展開する彼らの真骨頂。5人全員が力を合わせて敵を倒すシーンには、幼い視聴者もカタルシスを覚えたことだろう。
その頂点に君臨するのは、絶対的なパワーと権力を持つ黒十字総統だ。当初は白装束をまとって白い三角頭巾を被っていたため顔は見えず、目だけが妖しく光っていたが、半ば当たりでその素顔が露見。大きな十字型の輪郭を持つ恐ろしい姿で子どもたちを恐怖に陥れた。黒十字総統の下に作戦の采配を振るうのは、仮面怪人と呼ばれる異形の幹部怪人たち。ゴレンジャー結成前に5人のレンジャーを襲った5人の仮面怪人を筆頭に、ドクロ仮面、鉄獅子仮面、八ツ目仮面など、総統に劣らず恐ろしい容姿を持つものが多い。ただ、中にはアンテナをモチーフにしたパラボラ仮面や注射器にヒントを得た注射仮面などユーモアを効かせた怪人もおり、そのバリエーションの豊富さに驚かされる。これら仮面怪人の配下にはゾルダーと呼ばれる戦闘工作員がおり、実戦部隊として作戦を遂行している。特徴は黒尽くめの格好と、「ホイ、ホイ」という独特の掛け声だ。普通の人間の3倍ほどの力を持つサイボーグであり、人間に姿を変える能力も備えている。後半になると、さらに特殊兵士部隊である黒十字忍団が登場。ゾルダー兵を訓練して忍術を習得させたほか、実戦でも活躍した。なお、初期は総統自ら仮面怪人を直接指揮していたが、途中から“将軍”の座を与えられた強力な仮面怪人を補佐役として従えるようになる。日輪仮面、鉄人仮面テムジン将軍、火の山仮面マグマン将軍、唯一の大将軍位を与えられたゴールデン仮面大将軍と4人の将軍たちは、次々に多彩な作戦と攻撃でゴレンジャーを翻弄。死闘を繰り広げたがいずれもゴレンジャーが勝利を収め、最後は黒十字総統とゴレンジャーとの直接対決となった。
『秘密戦隊ゴレンジャー』の誕生から50周年を迎える2025年、その記念すべき年を象徴する新たなヒーローが登場した。その名も『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』。これまでのシリーズの中でも最高最強の“ナンバーワン”を目指し、子どもたちが大好きな動物や恐竜を連想させる「獣(ジュウ)」をモチーフにした5人ヒーローが活躍するハラハラ、ドキドキの詰まった物語だ。
センターを務めるレッドは、オオカミがモチーフのゴジュウウルフ。愛想なしで口が悪く、おまけにやや乱暴ものと少々近寄り難い雰囲気を持ってはいるが、実は“いいヤツ”という憎めない存在だ。そんなレッドと対照的に描かれているブルーは、ライオンをモチーフとするゴジュウレオン。男女問わず誰にでも優しい“人たらし”で、カリスマ性溢れる戦士である。一方、イエローを担当するのは、恐竜界の絶対王者をモチーフにしたゴジュウティラノ。世間知らずでピンチを招きがちだが、自慢の怪力でネガティブをポジティブに変える能力の持ち主だ。グリーンをまとうゴジュウイーグルのモチーフは、猛禽類の王として知られる鷹。フットワークが軽く、楽しいことが大好きな遊び人という飄々としたキャラクターは、シリアスなヒーロー譚に癒しをもたらしてくれることだろう。そして伝説上の幻獣をモチーフにしたのが、スーパー戦隊のレギュラー戦士としては史上初の“女性ブラック”であるゴジュウユニコーン。クールな性格ながらも家族想いという、“ツンデレ”好きにはたまらないキャラクターだ。
そんな5人が戦うのは、悪の軍団から派遣される、あらゆる分野でトップを極めた「ナンバーワン怪人」たち。それと同時に、キーアイテムである「センタイリング」を巡って5人の中でも熾烈な戦いが繰り広げられ、さらには歴代レッドの力を持つゴジュウジャー以外のライバルも続々登場する。まさに息つく間もないエキサイティングなストーリーは、世代を超えて愛されることだろう。個性豊かな隊員や独創的な悪役を通して描かれるキャラクターの多様性、手に汗握るアクションシーンなど歴代のスーパー戦隊が大切にしてきたゴレンジャーの DNAを受け継ぎながらも、チームワークで巨悪を倒すというスーパー戦隊の核となるプロットに新たなレイヤーを加えた『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』。ゴレンジャー誕生から50年を経た今、次の50年を見据えてさらなる進化を遂げようとする“最高最強”のニューヒーローから、もう目が離せない。
ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー
毎週日曜午前9:30~全国テレビ朝日系にて絶賛放送中
https://www.tv-asahi.co.jp/50ger/