スタイルのある人々のファッションのルーツやこだわりに迫る連載、「THE STYLE BOOK」。今回はクリエイターのかとうまおさんに『レザー』をテーマにお話を伺いました。
「ファッション好きになったのは
友人のジーンズがきっかけ」
──ファッションに興味を持ったきっかけを聞かせてください。
もともと僕の母親がすごく服が好きで、僕が生まれる前に古着屋をやっていたんです。それで家に古着とかがすごくたくさんあったので、服が好きになる環境はもともとあったのかなと思います。ただ、昔はその価値を全然わかっていなかったので、母が履いていたエアマックスをランニングシューズにしたらソールが丸ごと剥がれて、怒られたりもしました(笑)。ずっとファッションは好きなほうだったと思うんですけど、決定的に自分のスタイルができたのは大学生の頃です。友だちがめっちゃカッコいいジーンズを穿いていて、「それどこの?」と聞いたらA.P.C.のもので、「着込んで色落ちをさせた」という話を聞いてすごく感動して。その足で同じジーンズを買いに行って、一気にハマっていきましたね。
──今回のレザージャケットをテーマにしたスタイリングについて、ポイントを聞かせてください。
SCHOTTのライダースをメインに、その雰囲気にあうようにバイカー風をテーマにしました。ジーンズはJELADO、シャツはBUZZ RICKSON’S、首元のバンダナはORDINARY FITSで、靴はRED WING、キャスケットはOWATTERU&COのものです。このジーパンは荒々しい感じで色落ちしていて、ジャケットの経年変化と合うかなと思って選んできました。
──レザージャケットのお気に入りポイントはありますか?
もともと父が若い頃に着ていたものなんですけど、10年前、僕がひとり暮らしを始めた頃に実家から勝手に持ってきました(笑)。すごくいい味が出ているのでいつかもらいたい、僕のほうがうまく着こなせるとずっと狙っていて。たまに「俺のライダース知らない?」と聞かれるんですけど、「知らない」と言っています(笑)。
「レザーは一生着るものだから
買うときは妥協しません」
──レザーアイテムを選ぶときのこだわりはありますか?
レザーは一回買ったら一生着るものだと思っているので、妥協せずに買っていますね。例えば「サイズがちょっと合わないけどいいか」「ちょっとデザインが気に入らないけどいいや」ではなくて、「マジでこれだな」「もうこれしかないな」というものを買うようにしています。
──レザーを購入する上でよくチェックするブランドやショップは?
やっぱりSCHOTTはアメカジ好きとしては定番で憧れのブランドですし、すごくいいなと思いますね。あと新喜皮革さんがやっているTHE WARMTHCRAFTS-MANUFACTURE-のアイテムは、こだわりを感じて小物を結構持っています。今気になっている茶芯*を取り扱っている、RED WINGやTHE 2 MONKEYS、ROLLING DUB TRIOなども最近よくチェックしています。ブーツとかはすぐ品切れになるんですけど、値段が結構するのでまだ決心がつかなくて(笑)。でもこれ!というものに出会ったら買っちゃおうと思っています。
*一般的には革の芯を茶色に染め、表面を別の色で染めた革のことを指す。使い込むことで表面の塗装が剥がれて茶色がのぞき、独特の経年変化を楽しめる。
──これまで買ったお気に入りのレザーアイテムや、買ってよかったと思うアイテムはありますか?
お気に入りでいうと、SCHOTTのライダースでダブルのものも持っていて。もともと今日着たシングルのジャケットをずっと着ていたんですけど、せっかくだったら自分で一生かけて育ててみたいなと思って去年買いましたね。今育てているところでまだ全然硬いんですけど、思い出深いアイテムです。
「今気になるレザーは『ホースハイド』
また違う経年変化を楽しめそう」
──これから買いたいレザーアイテムはありますか?
ホースハイドのアイテムはいつか買いたいですね。レザーのアイテムだと牛革とかが多いですけど、ホースハイドはまた違う経年変化が楽しめると思うんです。『新喜皮革』さんが母体の工場でレザーができるまでの取材をさせてもらったことがあって、それでより購買意欲が湧いていますね。
──レザーに限らず、服を選ぶときに意識していることやこだわりはありますか?
まずはジーンズに合うかどうかを気にしています。服がめちゃめちゃ好きでいろんなものを買っちゃうんですけど、ジーンズに合うかという基準を決めておくと余計なものを買わなくて済むんです。あとインディゴがつくので、白い服もあんまり買わなくなりますね。白Tくらいなら買い換えればいいんですけど、気合いを入れて買ったものにすぐインディゴがついたら萎えるので、そう考えたら我慢できます(笑)。コーディネイトでは、そのときどきで育てているジーンズはありつつも、ワークスタイルにするならできるだけ古いジーンズと合わせたり、テーマにあわせて選ぶこともポイントにしていますね。そしてなにより頑丈であること。服に限らず、道具としての機能をちゃんと果たせるのかや、もちろん大事にはするけど、過保護になりすぎずに使えるものを選んでいます。
──これからも大切にしたい自分らしさやこだわりはありますか?
いくつになってもジーンズを穿いていたいですし、頑丈なものや経年変化を楽しめるものはこれからもしっかりと集めていきたいなと思います。今思い出したんですけど、社会人一年目に10年後の目標を研修で書かされたことがあって、そこに「10年後もジーパンを穿いている」と書いていて。「10年前も同じことを考えていたんだ、ヤバいな」と思いましたね(笑)。
──では、10年後はどんな自分になっていたいですか?
同じことになっちゃいますけど、ジーンズを穿いていたいです(笑)。それ以外だと、定番すぎない、アクセントのあるものや遊びのあるものを取り入れたファッションをしていきたいですね。
(プロフィール)
かとうまお
1995年生まれ。会社員をしながらクリエイターとして活動中。YouTubeチャンネル「経年変化委員会」は、もともとバイト仲間だったというくっしゃんさんと2019年からスタートし、さまざまなファッション情報やリアルな着こなしを発信している。
Instagram:https://www.instagram.com/maaaaao0619/
YouTube:https://www.youtube.com/@j_and_ls
男のワードローブにおいて、永遠のスタメンであり憧れのアイテムの一つは、『レザージャケット 』と言えるのではないか──。
阪急メンズでは、この秋、手に入れたいと思えるレザージャケットを4回にわたって総力特集。
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