制限なく外出できるようになって1年以上が経った今。
大好きな人とのデート、
仲の良い友人や家族との集い、旅行、
フェスやライブ、スポーツ、ショッピング、
その他数々のレジャー……。
それまでできなかったことを精一杯楽しみ、
再び自由の喜びを噛み締めた人は多いことだろう。
ただ、一通りのことをやりきった後、
ふと冷静になって自分の生き方を見つめ直した時、
どこか虚しさを感じてしまう自分がいる。
上辺の楽しみだけでは、人は満たされないものなのだ。
そこで一度は地に足のついた
コンサバティブな暮らしに立ち返ってはみたものの、
やっぱり ドキドキやワクワク も
恋しくなってしまう。
変わらない日常の中に、ひと匙の刺激や変化が秘められた人生を送るためには、一体どうすればよいのだろうか?
突き詰めていくと、
人生をエンジョイ することに長けた
イタリア人の「全肯定」的な生き方にそのヒントが見つかった。
「DOLCE VITA(ドルチェ ヴィータ)」。日本語では「甘い生活」と直訳されているイタリア語である。退廃してゆくローマの上流社会を、享楽と絶望が交錯するストーリー展開と圧倒的な映像美を通して赤裸々に描き出したフェデリコ フェリーニ監督の最高傑作『LA DOLCE VITA(ラ ドルチェ ヴィータ)』のタイトルに採用されたことで、世界的な認知を得た言い回しだ。本来の意味は、「気ままで自由な暮らし」。ファッションの世界では、寒い冬を暖かく快適に、そしてエレガントに過ごすことができるという意味で、上質なタートルネックのニットのことを指す。
そこには、 他の何にも、誰にも惑わされることなく好きなように生きる という、自身の欲求や快楽に忠実なイタリア人ならではの人生観が詰め込まれている。
シンプルながらも人生の本質を捉えたこの言葉を起点に、今季の阪急メンズがたどり着いたのが、「VIVA LA VITA(ヴィヴァ ラ ヴィータ)」。同じくイタリア語で「人生、万歳!」を意味する、甘くて美味しい極上の人生を表現した金言であり、心の底から「満たされている!」と実感できた瞬間に思わず口をついて出る、自分自身の人生に対する最高の褒め言葉だ。その根源には、自分の本当に好きな人やモノだけに囲まれて好きなように生きた人だけが味わえる、嘘偽りのない充足感がある。
しかし、価値観が多様化し、無限の選択肢が目前に広がっている今、 本当に好きなものを貫き通す ことは決して簡単ではない。特にそれが他人に賛同されないものであった場合、その「好き」を持続させるには相当な信念とエネルギーが必要だ。しかもインターネットやSNSが発達した現代には、それを邪魔するノイズもかつてに比べて激増している。

そんな時代にあって、世間の声に惑わされず、ひたすら我が道を歩み続けているのが、イラストレーターの みうらじゅん 氏だ。 マイブーム と言う言葉を生み出し、数々の「他人には伝わり辛い自分だけの楽しみ」を提唱してきた、
まさに「VIVA LA VITA」な人生の達人。阪急メンズのAW 2024 のシーズンアイコンを務め、スペシャルインタビューに応じてくれたみうらじゅん氏独特の人生観は、想像のはるか斜め上を行くが、同時に「それでいいんだ!」という安心感も与えてくれるものだ。
「僕たちの世代はまだ、『人生』という言葉を重く受け止めてきました。でも、何だってあまりに重く、暗く受け止めるのは良くないじゃないですか。そこで僕は、『人生は暇つぶし』っていう格言をモットーに、すべては暇つぶしでやってること、って思うようにしたんです。で、暇つぶし感を出すためには、陽気でいることが一番。バカだなって思われることもあるかもしれないけど、そういう生き方を目指せば、きっとその先に『VIVA(万歳!)』が待ってるんじゃないかなと、考えます」
今回、彼が阪急メンズのために語ってくれた言葉の中には、「VIVA LA VITA」な人生を送るためのヒントがまだまだ隠されている。その言葉に耳を傾けながら、自分が心地よいと感じるもの、どこまでも自分らしいと思えるものを、阪急メンズで探してみたい。