"クーベルチュールチョコレート" は、主にお菓子を作るときに使われるチョコレートのこと。この記事では、クーベルチュールチョコレートの性質や使い方、普通のチョコレートとの違いについて詳しく解説します。お菓子を作る機会が多い・お菓子作りに興味がある方はぜひチェックしてください。

クーベルチュールチョコレートの特徴をチェック!

溶けたチョコレートが上から流れてきている様子

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クーベルチュールチョコレートは製菓用のチョコレート......ということはなんとなく知っていても、実際にどんな性質をもっているか知らない方は多いかもしれません。そこでこの記事では、クーベルチュールチョコレートについて徹底解説!市販の板チョコレートとの違いもぜひチェックしてみてくださいね。

クーベルチュールチョコレートとは?

白、黒、キャラメリゼされたクーベルチュールチョコレート

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"クーベルチュール" は製菓用のチョコレート

クーベルチュールチョコレートは製菓用チョコレートのひとつ。主にお菓子のコーティングやガトーショコラ作りに使われます。加工しやすいよう、粒状・フレーク状に細かくされて販売されることが多いです。また、市販の板チョコレートに比べて、厳しい基準をくぐり抜けないと販売できません。

・総カカオ分は35%以上(カカオバターが31%以上、カカオマスが2.5%以上)
・カカオバター以外の代用油脂は5%未満

上記のような国際規格をクリアすることではじめて「クーベルチュールチョコレート」と名乗ることができます(ただし、日本国内には国際規格を満たさない商品も販売されています)。

クーベルチュールチョコレートの性質と使い方

市販の板チョコレートに比べるとカカオバターの含有率が高く、溶かすとサラサラになるのが特徴です。サラッと流れて伸びやすく、固まると艶やかな見た目になります。そのため、コーティングに使うと薄くてパリッとした仕上がりに。また、口溶けがよいのも特徴のひとつです。

湯せんしたものを生チョコのコーティングに使うほか、バターやメレンゲと合わせて焼けばガトーショコラができあがります。

語源はフランス語の "couverture(クーベルチュール)"

クーベルチュールチョコレートという言葉は、「毛布」や「かけ布団」、「本やノートのカバー」といった意味をもつ「couverture(クーベルチュール)」というフランス語から来ています。

また、形容詞形の「couvert(クーベル)」には、「~で覆われた」という意味が。このことから、クーベルチュールチョコレートは「覆うためのチョコレート」という意味をもつことがわかります。

代用可能?板チョコレートとの違い

生のカカオ豆と器に入った板チョコレート、テーブルの上の板チョコレート

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成分の違い

クーベルチュールチョコレートはカカオマスやカカオバターの使用割合、代用油脂の使用割合に厳しい基準が設けられています。

一方、市販の板チョコレートにはそこまで厳しい基準がなく、どちらかというと「そのままでも食べやすいこと」「流通させやすいこと」を意識して作られています。

そのため、クーベルチュールに比べるとカカオバター以外の油脂や砂糖の使用割合が多いのが特徴です。

性質の違い

クーベルチュールチョコレートは流動性が高いため、コーティングに使いやすいのがメリット。扱いやすく、お菓子が艶やかできれいな仕上がりになります。

一方、板チョコレートはクーベルチュールチョコレートほど流動性が高くないため、コーティングには使いにくいです。また、クーベルチュールチョコレートに比べてコーティングが固まりにくく、苦労をすることも。

味の違い

クーベルチュールチョコレートはカカオ分が多いため、お菓子作りに用いるとカカオの香り・風味が活き、濃厚な味わいに仕上がりやすいです。

一方、板チョコレートを使用したお菓子はクーベルチュールチョコレートに比べて風味・甘みともに軽い印象になりやすいでしょう。

板チョコレートで代用できるか

ガトーショコラやチョコチップクッキーなどの焼き菓子を作る場合は、板チョコレートでも代用可能です。食感・風味に違いは出ますが、できあがりの見た目はそこまで変わりません。

一方、生チョコなどのコーティングに使う場合、板チョコレートだと固まりにくく、扱いにくさもあってきれいな仕上がりにならないことがあります。また、生チョコ自体も板チョコレートで作ると、ねっとりと重いテクスチャーになりやすいです。

板チョコレートで代用する場合はブラックチョコレートやビターチョコレートなど、なるべくカカオ分が多いものを選ぶのがおすすめ。また、脂肪分が多いほうが固まりやすいので、成分表を見ながら商品選びをするといいですよ。

クーベルチュールチョコレートにテンパリングは不要?

テンパリングとは、カカオバターの分子を安定させるためにおこなう温度管理のこと。テンパリングを正しくおこなうことで、光沢があり口溶けがよいお菓子が仕上がります。

クーベルチュールチョコレートにはカカオバターが含まれているため、製菓に使う際はテンパリングが必要です。

もしもテンパリングが面倒だと感じる場合は、テンパリング不要の「コーティングチョコレート」という商品がおすすめ。味わいの面ではクーベルチュールチョコレートに劣りますが、温度管理なしで使用できますよ。

お菓子作りに用いたときの違い

円形の器に盛られたトリュフチョコレート

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生チョコ作り

生チョコは温めた生クリームにチョコレートを溶かし、冷やし固めて作ります。

板チョコレートの生チョコは固まりにくく、できあがったものもカットしにくい印象。中身は重たくねっとりとした印象です。一方、クーベルチュールチョコレートの生チョコは、しっかりと固まりやすく、カットの際もスムーズにナイフが入ります。

板チョコレートの生チョコを食べてみると、もっちりとした食感で口に残る感覚。クーベルチュールチョコレートの生チョコは口に入れるとすっと溶け、なめらかな舌触りが楽しめます。

チョコレートのコーティング

テンパリングをしたチョコレートを使い、生チョコレートをコーティングした際にどんな違いが出るでしょうか。

クーベルチュールチョコレートは流動性が高いためコーティングしやすく、薄い層ができあがります。また、固めた際にパリッときれいな状態になりやすいです。

一方、板チョコレートは流動性が高くないためコーティングしにくく、どうしても層が厚くなってしまいます。また、クーベルチュールチョコレートに比べて固まりにくく、きれいに仕上がるのがむずかしい印象です。

ガトーショコラ作り

湯せんしたチョコレートにバター、メレンゲなどを加え焼き上げるガトーショコラ。

どちらもきれいに焼き上がりますが、板チョコレートのほうがふわっとした印象。それに比べてクーベルチュールチョコレートのほうは、生地の密度が高くぎゅっと締まった印象です。

板チョコレートのほうは食感・甘みともに軽く、クーベルチュールチョコレートのほうはしっかりと濃厚な味わい。クーベルチュールチョコレートはカカオ分が多いため、生地がみっちりと締まり、カカオの香りも強く感じます。

クーベルチュールチョコレートの種類

3食の板チョコレートとそれが刻まれたものが並んでいる

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クーベルチュールチョコレートにはさまざまな種類がありますが、大別すると「ダーククーベルチュールチョコレート」「ミルククーベルチュールチョコレート」「ホワイトクーベルチュールチョコレート」の3種類に分けられます。以下でそれぞれの特徴をチェックしましょう。

ダーククーベルチュールチョコレート

ダーククーベルチュールチョコレートはカカオマスに砂糖や香料を添加して作られるタイプ。カカオ含有量が多く、ビターな味わいが楽しめます。カカオの風味がしっかりと感じられ。欧州では一番人気があるタイプだといわれています。

ミルククーベルチュールチョコレート

ダーククーベルチュールチョコレートに粉乳を加えたものを「ミルククーベルチュールチョコレート」と呼びます。まろやかな味わいで甘みを感じられるため、日本人にとってはこちらのほうがなじみやすいでしょう。

ホワイトクーベルチュールチョコレート

ホワイトクーベルチュールチョコレートは、白い見た目とミルク感の強い味わいが特徴です。なぜ白い色をしているかというと、チョコレートの主原料であるカカオマスが含まれていないため。

カカオマスが含まれていないので、国際規格からいうとクーベルチュールチョコレートの範疇には含まれません。ただ、慣例的にクーベルチュールチョコレートとして扱われ、販売されています。

クーベルチュールチョコレートの性質を知って上手に使おう

クーベルチュールチョコレートは市販の板チョコレートに比べてカカオ分が多く、風味・口溶けがよいのが特徴。上手に使えばきれいでおいしいチョコレート菓子が作れます。クーベルチュールチョコレートの性質を理解して、見映えするお菓子を作りましょう。

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カカオの実と板チョコ

※商品情報や販売状況は2022年06月21日時点でのものです。
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