江戸時代まで醤油をはじめ、味噌、酒、酢などの和食のベースとなる発酵調味料は、乳酸菌や酵母菌などの微生物の力で木桶を使って造られていました。しかし、温度管理が難しく費用対効果が合わないという理由で減少の一途に。「微生物たちにとって居心地の良い環境をつくってあげることができれば、最高においしいものができる。そのためには木桶でないとだめなんです。」とおっしゃる山本さん。蔵の個性がでる桶仕込みの継承には木桶が欠かせないと2012年、プロジェクトを立ち上げました。
ニッポンの食文化を守る
『木桶職人復活プロジェクト』
現在使われている木桶のほとんどは戦前に作られたもの。新桶が作られない時期が続いたため醸造用の木桶を製造する桶屋さんも激減して、醤油業界の例では全体の約1%まで落ち込んでしまいました。そこで木桶に関わる各地の発酵調味料の蔵元や小売業、大工などが集結して、毎年1月に小豆島「ヤマロク醤油」で新桶づくりや技術を共有しています。有志達が手弁当で集うこの活動は、まるでお祭りのような熱気。有名な料理人や作家、発酵の専門家や海外の研究者など、ユニークな面々も集まるようになり“ほんもの”の食づくりを目指すコミュニティもおいしく発酵していきます。
高橋万太郎さんの醤油愛
100mlの「職人醤油」
『木桶職人復活プロジェクト』に深く関わるメンバーのひとり、高橋万太郎さんは、地方で愛されている醤油に魅せられ400以上もの醤油蔵を訪問。地域と造り手の個性を、気軽に楽しめる使い切りの100mlの小瓶で統一した蔵元仕込みの醤油の専門店「職人醤油」を運営しています。「醤油本」(「玄光社」刊)、「にっぽん醤油蔵めぐり」(「東海教育研究所」刊)などの著書も。
「ヤマロク醤油」の仲間たち
木桶仕込み醤油24蔵集結
素材を活かす白醤油、万能タイプの濃口醤油、濃厚で旨みたっぷりの溜醤油まで様ざまなタイプをご用意。☆印は蔵元の方も来店。
☆〈兵庫〉足立醸造/☆〈三重〉伊勢蔵/☆〈愛知〉日東醸造/☆〈岐阜〉山川醸造/☆〈奈良〉片上醤油/〈秋田〉石孫本店/〈福岡〉クルメキッコー/〈山口〉桑田醤油/〈静岡〉栄醤油醸造/〈香川〉正金醤油/〈福島〉鈴木醤油店/〈埼玉〉笛木醤油/〈福岡〉ミツル醤油醸造元/〈島根〉森田醤油店/☆〈香川〉ヤマロク醤油/〈埼玉〉弓削多醤油/〈群馬〉岡直三郎商店/〈広島〉岡本醤油醸造場/〈和歌山〉カネイワ醤油本店/〈愛知〉中定商店/〈愛知〉丸又商店〈愛知〉/南蔵商店〈愛知〉ヤマシン醸造/〈香川〉ヤマヒサ
『醤油本』著者「 職人醤油」 高橋万太郎さん
利き醤油の会エンジョイ!木桶醤油体験
◎5月11日(水)→16日(月)
◎各日午後2時30分~3時30分
◎定員:各日16名さま
◎参加費:550円
5種類の醤油を利き醤油しながら、種類の違いや醸造過程の違いなどを解説。木桶醤油の特徴や料理への活用方法を紹介します。