洋食の街・神戸で愛される料理店「洋食クアトロ」店主の小川さんと「グリル一平」店主の山本さん。ふだんから親交が深いというおふたりの、神戸洋食への熱い思いを語っていただきました。
PROFILE
「洋食クアトロ」小川春樹さん
社会人になってから、輸入車販売やカフェスタッフといった異例の経歴を経て神戸・元町に「洋食クアトロ」をオープン。その後東山市場に「洋食おがわ」、大阪・梅田のルクアにも新店舗「クアトロ」を開き、“洋食界の異端児”として存在感を発揮している。
PROFILE
「グリル一平」山本憲吾さん
神戸・新開地で70年の歴史を持つ「グリル一平」の4代目であり、現在三宮店・元町東店で店主を務める。昨年12月には西宮店もオープン。東京の人気洋食店での修業を経て、伝統の味に新たな風を吹き込む気鋭のオーナーシェフとして現在活躍中。
日々の中で感じる
“洋食の街”神戸
小川さん
家族の集まりで来て、世代を越えて愛されていくお店が神戸には多いですね。例えば、まず最初にご夫婦が食べに来て、次にお子さんと一緒に来られて、そのお子さんが結婚されてまたご家族で来られて、時を経てお孫さんが来る…みたいな。「僕が最初に見つけたのに!」と悔しがるおじいさんを見たことも(笑)。うちはまだ歴史が浅いですが、長年続けられているお店が多い神戸ならではの風景かもしれません。
あと、お客さまから「先日、別の洋食屋さんに行った帰り道にこのお店を見つけて、今日はここを目的に来たんです」とお声がけされることも。いろんな洋食店に行って「あそこはビフカツで、ここはチキンカツ」と、食べたいメニューによってお店を使い分けている方も多いです。
山本さん
神戸はデミグラスソース文化が根強い。例えば東京だとトンカツも塩で食べるところが多かったり、ソースで食べる機会は少ないですね。ソース自体の味も神戸は甘みが強くて、他の地方のものとは違う。この味で僕たちは育ってきて、この味が好きだから提供したいと思いますし…これも神戸ならではの洋食文化かもしれません。
愛してやまない洋食メニューは?
小川さん
僕はタンシチューとエビフライ!他のお店で食べる時は、その丁寧な仕事に着目します。例えばタンシチューのお肉は、煮込みすぎると崩れてしまうし、逆に煮込みが足りないとスジが残るので固くなる…その絶妙なラインを大切にしているお店には通いますね。エビフライも、各店で味が違って食べ比べが楽しい!「ここはタルタルソースが濃厚」とか「ここはエビの甘みを際立たせている」とか。使っている揚げ油もパン粉もみんな違いますし、個性が出ますね。
山本さん
僕はいつもビフカツとオムライスを食べますね。どちらもデミグラスソースを使っていて、「グリル一平」もデミには一番こだわっているので。先代たちはデミを味わってもらうために、ハンバーグに使う玉ねぎも全部絞っていたんですよ!水分が抜けた玉ねぎを、デミに絡めて食べる…みたいな。そういったやり方は時代や自分の考えに合わせて少しずつ変えていますが、デミソースのレシピは昔から変わっていません。先代が作ったものが本当に素晴らしいから!
「神戸 洋食の世界2023」
おすすめの楽しみ方
小川さん
フレンチやイタリアンといった西洋料理を全部ひっくるめて“洋食”なので、決まったスタイルはありません!だからそれぞれのお店が持つ“技”を見つけて、楽しんでもらいたいですね。
山本さん
食祭テラスに神戸の洋食店が集まって、2秒歩けばハシゴできる…こんな機会は滅多にありません!お店ごとの個性を知るために、あえて同じメニューを食べ比べるのも楽しいかも。
小川さん
神戸の方々は結構みんな自分のお気に入りの洋食屋さんを持っているんです。だからぜひ皆さんにもこの機会に、自分好みのお店を見つけていただきたいですね!
山本さん
しかも各店がいちおしのメニューを出すわけですし。こんなイベント、他にはないですよ。ぜひ皆さんお楽しみください!