世界にはたくさんのお酒があるなかで、もっとも古い歴史をもつ「醸造酒(じょうぞうしゅ)」。この記事では、醸造酒の製造方法や特徴、「蒸留酒」「混成酒」との違いについて詳しく解説します。「お酒はどのように作られているのか知りたい」という方は必見です!

醸造酒(じょうぞうしゅ)ってどんなお酒?

ワインやビール、ウイスキーやブランデーなどのお酒が並んでいる様子

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世界のお酒は製造方法によって「醸造酒(じょうぞうしゅ)」「蒸留酒(じょうりゅうしゅ)」「混成酒(こんせいしゅ)」の3つに大別されています。これらを知るうえでもっとも重要なのが「醸造酒」です。

醸造酒を簡単に説明すると、原料を発酵させたものをそのまま飲むお酒のこと。醸造酒を蒸留して作るお酒を「蒸留酒」、醸造酒や蒸留酒を加工して作るお酒を「混成酒」と言います。代表的な醸造酒はワイン、ビール、日本酒の3つで、これらは三大醸造酒」と呼ばれています。

醸造酒の歴史

木の棚に古いワインがずらりと並んでいる

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世界最古のお酒にはさまざまな説がありますが、ワインを含む果実酒というのが有力です。ワインの醸造は紀元前4000年頃(新石器時代後期)にメソポタミア地方で始まったとされています。次に古いとされているのがビール。紀元前3000年頃に、同じくメソポタミア地方で生まれました。

蒸留の技術は紀元前3500年には生まれていたとされていますが、お酒(蒸留酒)として飲まれた記録があるのは紀元前800〜750年にかけて。つまり醸造酒は蒸留酒よりもずっと前に生まれた、とても古い歴史をもつお酒なのです。

では日本最古のお酒は何なのでしょうか?これも諸説あり、明確には判明していません。いずれにしても、醸造酒である果実酒か日本酒という説が有力。日本酒の起源は定かではありませんが、縄文時代には米による酒造りが始まっていたとも言われています。

醸造酒の3つの発酵方法

醸造酒の発酵方法は「単発酵(たんはっこう)」「単行複発酵(たんこうふくはっこう)」「並行複発酵(へいこうふくはっこう)」の3つに分類されています。それぞれどのような発酵方法なのか、三大醸造酒の特徴と共に詳しく見てみましょう。

単発酵酒「ワイン」

白いテーブルの上に並ぶグラスに入ったワインや、おつまみのチーズ

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糖分を多く含む原料に酵母を加える→発酵させるというワンステップで作られるのが「単発酵酒」。アルコールを作るには糖分が必要ですが、もともと糖分(ブドウ糖=グルコース)を含むものを原料とすることで、簡単に発酵できるのが特徴です。

この発酵方法で作られるのがワインや果実酒など。単発酵・単行複発酵・並行複発酵のなかでもっともシンプルな発酵方法で、原料の味をダイレクトに感じられます。

単行複発酵酒「ビール」

木のテーブルに並ぶグラスに入ったビールやホップ

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「単行複発酵酒」は、原料を糖化させる→酵母を加える→アルコール発酵させるという、"糖化"と"発酵"のツーステップで作られるお酒のこと。ビールをはじめ、穀物を原料とするお酒に用いられている発酵方法です。穀物に含まれるデンプンはそのままではアルコール発酵しないため、糖化させる工程が必要。そのため単発酵酒よりも製造方法が複雑になるのが特徴です。

並行複発酵酒「日本酒」

徳利に注いだ日本酒で2人が乾杯している様子

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「並行複発酵」で作られるお酒が、お米を原料とする日本酒です。お米の主成分であるデンプンを糖化させる→酵母を加えて発酵させるという工程が、ひとつのタンクの中で同時におこなわれるのが特徴。単行複発酵と同じように"糖化"と"発酵"の工程が必要ですが、この2つを同時におこなうことに違いがあります。

醸造酒とほかのお酒の違い

前述したように、世界のお酒は「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」に大別されています。醸造酒以外のお酒である「蒸留酒」「混成酒」は、それぞれどんなものを指すのか見てみましょう。

蒸留酒とは

ウイスキーやブランデーが入ったボトルが7本並んでいる

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「蒸留酒」とは、原料を発酵させたあと蒸留して作るお酒のこと。代表的なのがウイスキー、ブランデー、焼酎です。

簡単に説明すると、醸造酒を蒸留させたものが蒸留酒になります。たとえばビールを蒸留したもの=ウイスキー、ワインを蒸留したもの=ブランデー、日本酒を蒸留したもの=焼酎。醸造酒を加熱して作るため、蒸留酒はアルコール度数が高いという特徴があります。

混成酒とは

梅酒が入ったグラスと、横に梅の実が並んでいる

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醸造酒や蒸留酒に、香料や甘味料、フルーツなどを加えて作るお酒を「混成酒」と言います。代表的なのが梅酒リキュール。リキュールは、古代ギリシャの医者が薬用酒として作ったものが起源とされています。ドリンクとして楽しむほか、お菓子や料理作りにも使われることが多いのが混成酒の特徴です。

知識を深めてもっとお酒を楽しもう!

見た目も味もまったく異なるワイン・ビール・日本酒が、同じ醸造酒に分類されていることに驚いた方も多いのではないでしょうか。アルコール度数やお酒の味わいは、製造方法と大きく関わりをもっています。お酒に対する知識を深めると、今まで以上に楽しみ方が広がるはずですよ。

※商品情報や販売状況は2022年04月08日時点でのものです。
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