種類が豊富なウイスキーのなかでも、よく耳にするのが「シングル」という言葉。どんな意味なのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか?この記事では、ウイスキーのシングルを中心に、ダブルとの違いやモルト・グレーンといった種類、飲み方・アルコール量などをそれぞれ解説します。

ウイスキーの「シングル」は量のこと。ダブルとの違いは?

オンザロックのウイスキーが奥にあり、氷入りのグラスにウイスキーを注いでいる様子

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バーや居酒屋などでウイスキーを注文する際に耳にする「シングル」という言葉。これは、グラスに入れるウイスキーの量を表しています。同じく量を表す言葉として「ダブル」「ジガー」があり、それぞれの量は以下の通りです。

・シングル:1オンス(約30ml)

ダブル:2オンス(約60ml)

ジガー:1.5オンス(約45ml)

バーでの注文ではシングルやダブルを指定するのが一般的ですが、特に指定しない場合はシングルで提供されることがほとんど。これは、ウイスキーはアルコール度数が高く、飲み過ぎを抑えるための配慮とされています。

シングルとダブルの飲み方と使い分け

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みなさんは、ウイスキーのシングルとダブルの飲み方・使い分け方をご存じですか?一般的にシングルとダブルは、ストレートやロックで飲むときに使われます。この項目では、飲み方のメリットやそれぞれ飲むのにかかる時間などを解説します。

シングルで飲むのにかかる時間とメリット

シングルウイスキーを飲むときにかかる時間は、だいたい10〜15分ほどが目安です。
ウイスキーをオン・ザ・ロック(グラスに氷の塊とお酒を入れる飲み方)で飲む場合、時間が経つにつれてだんだんと氷が溶け、薄まっていきます。シングルだと量が少なく、比較的短い時間で飲み切れるので、最初から最後までウイスキー本来の味わいを楽しみやすいことがメリットです。

ダブルで飲むのにかかる時間とメリット

ダブルウイスキーの場合、飲むのにかかる時間は約20〜30分ほどが目安。

シングルのほぼ倍量であるダブルは、飲み切るのにもだいたい倍の時間がかかります。オン・ザ・ロックの場合、時間がかかる分だけ氷が溶けてウイスキーの風味が変わりますが、その味わいの変化を楽しめることがメリット。一杯でウイスキーのさまざまな表情を堪能したい人は、ダブルがおすすめです。

ウイスキーのシングルの値段やカロリー、アルコール量

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シングル・ダブル...量で値段は変わる?  

基本的にはシングルの量をベースに、2倍にするとダブルの量、半分にするとハーフの量となります。例えばシングルの値段が1000円の場合は、ダブルにすると2000円といったイメージです。

お店によってはダブルを注文したときに、シングル2杯の値段よりも少し抑えられているところもありますよ。

シングルのカロリーと純アルコール量  

ウイスキー・シングルのカロリーは、アルコール40%のもの1杯(約30ml)で「およそ67kcal」とされています。またこの場合の純アルコール量は「約9.6g」です。

ちなみに厚生労働省では「節度ある適度な飲酒量」を "1日の純アルコール20g" が目安だとしており、これはウイスキーのダブル1杯(純アルコール量:約19.2g)にあたります。

また女性は臓器障害になりやすいため、男性の1/2~2/3ほどの量にすると安心だといわれていますよ。

シングルグレーン・シングルモルト・シングルトンの違い

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シングルグレーンウイスキーとは  

シングルグレーンウイスキーとは、1つの蒸留所のみで作られたグレーンウイスキーのことです。グレーンウイスキーとは、モルト以外の穀物も使ったもののこと。主に穀類(トウモロコシや小麦など)の原料を、連続式蒸留器で蒸溜して作ります。

シングルグレーンウイスキーは、低コストのため大量生産が可能な点がポイント。また、軽やかで安定した味わいに仕上がります。一方、無個性で無難な味になりがちな点がデメリットです。

シングルモルトウイスキーとは  

シングルモルトウイスキーとは、1つの蒸留所で作られ、かつ、大麦麦芽のみを原料としたウイスキーのことです。

蒸溜所や銘柄によって味が変わる、唯一無二の個性が特徴。蒸溜器の種類や熟成する樽、環境などによって違いが出るため、飲み比べてみるのもおすすめです。

シングルモルトウイスキーはハイボールに向かない?

一般的にシングルモルトは、ハイボールに向かないとされています。その理由はハイボール特有の硫黄臭が、ウイスキー本来の風味や香りを損ねてしまうためです。特にシェリー樽で熟成したもの・ヴィンテージ物は、ハイボールにするのを避けたほうが無難です。

一方、熟成年数が若いもの・ストレートでは飲みづらいものは、ハイボールにしても大丈夫ですよ。

シングルトンとは  

シングルトンとは、ウイスキー銘柄の一種です。世界的な酒造メーカー「ディアジオ社」が展開しており、複数の蒸留所で同じ銘柄が作られているところが特徴。そのため同じ銘柄でも、商品(蒸留所)によって違った味わいを楽しむことができます。

例えば、大麦の生産地としても有名なグレンオード蒸溜所は、製麦所が併設されており、新鮮な原料が使われています。そのほかの蒸留所も異なる特徴・歴史を持っているので、同じ銘柄でもまったく違う味わいが生み出されるのです。

ウイスキーのシングルカスクとは

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シングルカスクとは、1つの樽で作られたウイスキーのことです。一般的なウイスキーは複数の樽の原酒を混ぜ合わせて味を調整しますが、シングルカスクは厳選された最高級の樽を使用します。

シングルカスクウイスキーは、生産本数が少なく販売されることも少ないのが特徴。そのため、ウイスキーのなかでもかなり貴重な製品です。

またアメリカンウイスキー・バーボンの用語として、別名「シングルバレル」と呼ばれることもあります。

ダブルカスク、トリプルカスクなどもある  

シングルカスクだけではなく、2つの樽から作られた「ダブルカスク」、3つの樽から作られた「トリプルカスク」も存在します。

ダブルカスクは、異なるカスクを混ぜ合わせることで、シングルカスクでは出せない奥行きのある複雑な味わいを表現可能。ハイボールにも合わせやすい製品です。

またトリプルカスクは、豊かな香りがポイント。原酒の個性が絡み合う、バランスのとれた味わいとなります。

シングルで飲むのにおすすめのウイスキー3選

1.「三陽物産」シングルモルト スペイバーン 10年 40°

ウイスキーボトルとグリーンのパッケージが並んで置かれている様子
4,235円
心地よい酸味が感じられるレモンライムの風味が爽やかで、全体のバランスがとれた一本。クセがなく、すっきりとした飲み口と、ゆっくり口の中に広がる甘みが特徴です。ストレートで香りを堪能するだけでなく、バニラアイスにかけて味わうのもよいでしょう。
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2.「阪急の和洋酒セレクション」カネマラ 40゜ 

4,620円

ラウスクーリー山脈の麓にある「クーリー蒸溜所」で作られた、シングルモルトウイスキーです。1996年には「国際ワイン&スピリッツ・コンペティション」で金賞を受賞。ピートのアロマと、フルーティーな香りが特徴のすっきりとした味わいが楽しめます。なめらかさもありつつ、複雑な味わいが魅力的なウイスキーです。

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3.「MHDモエヘネシー」グレンモーレンジ オリジナル

オレンジカラーのウイスキーボトルとパッケージが並んで置かれている様子
6,017円
女性からの人気が高い、華やかな一本です。柑橘系の爽やかさや、エスプレッソ・チョコレートタルトなどの豊かなアロマが印象的。なめらかな口あたりと甘みに、スパイシーさ、苦味が折り重なって複雑な味わいです。氷が溶けたときの変化だけでなく、グラスの中・口の中でもさまざまな表情を見せてくれます。
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自分に合った飲み方でウイスキーを楽しもう

ウイスキーの量を表す「シングル」「ダブル」「ジガー」という言葉。量が多ければいいというわけではなく、自分の好みや飲むペースに合わせるのが賢い選択です。
ウイスキー本来の風味をしっかり味わいたいのか、氷が溶けて変化する味わいを楽しみたいのか......。銘柄によっても好みが分かれるところなので、自分のお気に入りの飲み方を探してみてはいかがでしょうか。

※商品情報や販売状況は2022年04月21日時点でのものです。
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