チョコレートを使ったお菓子を作ろうとすると、必ず工程に含まれる「溶かす」という作業。しかし、チョコレートが思いのほかうまく溶けず、苦労した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?この記事では「チョコレートの正しい湯煎の方法」や「電子レンジを使ったチョコの溶かし方」をご紹介します。

チョコレートがうまく溶けないとどうなる?

ボウルに入れられたチョコレートが溶かしきれていない

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チョコレートを溶かすことで「中の結晶を整える」ことができ、綺麗でおいしいチョコレートに仕上がります。中の結晶を整える(テンパリングをおこなう)ことでチョコレートに起こる変化は以下の3つです。

・チョコレートを適切な固さに調整できる
・正しい収縮性をだす
・ツヤ感をもたせる

この3つのうちどれかが欠けてしまうと、おいしくならなかったり、綺麗にみえなかったりします。

「溶かす」という工程を正しくおこなうことで、固まるとパキッとした状態になったりツヤが出たりと、味も見た目もおいしくなります。

溶かしたチョコレートでテンパリングしている

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チョコレート本来の風味や、なめらかさを損なわないようにするには、50〜55℃が最適な温度といわれています。温度に気をつけて溶かすことで、チョコレートのおいしさを最大限に生かすことができますよ。

湯煎失敗!?チョコレートがうまく溶けない原因とは

丁寧に湯煎で溶かしたのに、なかなか溶けない...もしかして失敗?なんて経験はありませんか?じつは、チョコレートがうまく溶けないのにも原因があります。以下の原因を防ぐことで、スムーズにチョコレートを溶かすことができるので、ぜひ実践してみましょう。

原因1.チョコレートに水分が混入してしまった

ボウルで溶かしたチョコレートをヘラで攪拌している

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チョコを溶かしているときに少しでも水が入ってしまうと、チョコレートが固くなって溶けなくなってしまいます。これは、チョコレートに水が混ざることで、水と糖が結びついてしまい、油脂と分離してしまうから。

もし、お湯や水がはねて1滴でもチョコレートに入ってしまった場合は、スプーンなどですくって取り出すことで解決します。くれぐれも、混ぜてなじませることのないように対処しましょう。

原因2.チョコレートの温度管理が適切でなかった

前述したとおり、チョコレートを溶かすのに最適な温度は"50〜55℃"なので、適正温度よりも高い温度で溶かしてしまうと、チョコレートにダマができ、ボソボソした見た目になってしまいます。ほかにも、温度が高すぎることで、チョコレートに含まれる油分が分離してしまう原因にもなります。

原因3.チョコレートを均一に撹拌できていなかった

鍋のなかでチョコレートを溶かし、ヘラで攪拌している

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チョコレートの結晶を整えるためには、均一に攪拌(かくはん)するのもポイントです。均一に混ざっていない場合、チョコレート内で温度差ができてしまうため、余分な結晶ができたり、不安定な結晶になったりする原因になります。とはいえ、混ぜすぎてしまうと余分な空気が含まれてしまい、チョコレートがボソボソになってしまう原因にもなります。

チョコレートを湯煎で溶かすときは、湯煎し始めてからすぐに混ぜるのではなく、しばらく待って"だいぶ溶けてきた"段階で混ぜるようにしましょう。

原因4.器具の管理が適切でなかった

チョコレートを溶かす際に使用する器具は、しっかり乾燥させてから使用するのがポイント。いくら洗ってから布巾で拭いていても、少しの水分が命取りになることもあります。器具の管理にも気をつけましょう。

チョコレートの簡単な溶かし方を2通りご紹介!

ボウルに入った溶けたチョコレートを泡立て器で混ぜている

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チョコレートを簡単に溶かす方法は「湯煎で溶かす方法」と「電子レンジで溶かす方法」の2通りあります。それぞれのやり方を詳しく紹介します。

「湯煎」でチョコレートを溶かす方法

耐熱ボウルを鍋に入れてチョコレートを湯煎している

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まずは、チョコレートを細かく刻みます。細かく刻むことで、チョコレートを早く溶かすことができます。その際、まな板にクッキングシートを敷いてから刻むことで、シートを持ち上げて簡単に鍋に入れることができますよ。

つぎに、水を入れた鍋を50℃くらいまで温めます。鍋の底から泡がふつふつと出始めたら60℃くらいになった証拠。鍋を火から下ろして冷ましてから湯煎に使用しましょう。指を入れてみて少し熱いくらいが50℃の目安です。このとき、火にかけたまま湯煎を始めないようにしましょう。

50℃のお湯が入った鍋にボウルを重ね、刻んだチョコレートを入れるお湯が入った鍋にボウルを重ねてみて、お湯が溢れてこないことを確認したら、ボウルに刻んだチョコレートを入れます。

最後に、ヘラでゆっくり混ぜながら溶かし、チョコレートが溶けてなめらかになったら完成です。

「電子レンジ」でチョコレートを溶かす方法

赤いチェック柄のエプロンをつけた人が電子レンジを使用している

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チョコレートを電子レンジで溶かす際に、もっとも気をつけるべきポイントは、溶かしすぎないことです。時間を延長する場合は10〜15秒で一旦様子をみるなどして、加熱のしすぎに留意しましょう。

まずは湯煎のとき同様、チョコレートを細かく刻みます。最初の加熱は500Wで50秒ほど、サッと加熱して取り出しヘラで混ぜましょう。その後、500Wで40秒ほど再加熱し、またヘラで混ぜます。最後に、500Wで30〜40秒ほど再加熱して、あとは予熱をつかって混ぜながら溶かしましょう。

しかし、この秒数の目安は、室温や気温によって多少差があります。前述のとおり、10〜15秒程度追加したり、時間を早めたりして調整しましょう。

溶かし方に失敗しても再び溶かせば復活する?

小瓶に入れられたチョコレートプリンが3つ並べられている

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湯煎に失敗したチョコレートは、残念ながら完全に復活させることはできません。再度温めなおせば溶かすことはできますが、ボソボソした食感になるため、コーティングや型抜きチョコのようなお菓子には使用できなくなってしまいます。

そんなときにおすすめなのは、リメイクをするのがおすすめ!チョコケーキやチョコプリンなどのように、チョコレートを材料のひとつとしたレシピにリメイクしましょう。これらであれば、最初からチョコレートを溶かした状態で使用するため、湯煎に失敗しても使用することができますよ。

出来上がったチョコレートは「溶けにくい容器」で持ち運ぼう

保冷バックのなかに保冷剤を入れている

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チョコが溶ける温度は17〜34℃度

チョコレートは、17〜34℃程度で溶けてしまいます。そのため、一般的に気温が20℃以下の場合は過度に心配する必要はないのですが、気温が20℃を超える場合は「保冷剤」と「保冷バック」がマストになります。

チョコを溶けないように持ち運ぶための入れ物・容器

チョコレートは気温だけでなく湿度にも弱い食材。持ち運ぶ際には「蓋付き密閉袋」や「蓋付き密閉容器」に入れてから保冷対策をすることをおすすめします。ほかにも、チョコレートが空気に触れすぎないように、アルミホイルで包むの良いですよ。

チョコをおいしいまま持ち運びするためのポイント

さまざまな種類のチョコレートが綺麗に箱詰めされている

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保冷剤をラップで巻いたり、蓋付き密閉袋にいれて保冷バックに入れたりするだけで、クーラーボックスの役割になるので、お試しくださいね。保冷剤がご自宅にない場合は、空のペットボトルに水を凍らせて使用しても良いでしょう。

おいしく作るための"手間"は惜しまずにトライしよう

お菓子作りでお馴染みの「湯煎で溶かす」チョコレートは、思っていたよりもなかなか溶けずに苦労することもあるかもしれません。しかし、その手間こそが「おいしく」「うつくしい」チョコレートを作るポイント。贈る相手の喜ぶ顔を浮かべながら、丁寧に作ってみてくださいね。

※商品情報や販売状況は2023年02月09日時点でのものです。
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