スイーツ&グルメ2023/7/27 更新

「アンリ・シャルパンティエ」のトップシェフ&工場を取材!50年人気が続く理由とは【あのブランドが愛される理由 vol.7】

ブランドの想いや商品の魅力をご紹介する、HANKYU FOODオリジナルの連載企画です。
今回は、「アンリ・シャルパンティエ」を取材しました。

兵庫県・芦屋の洋菓子文化と共に歩み、焼き菓子から生ケーキまでたくさんのヒット商品を生み出してきた「アンリ・シャルパンティエ」。
なかでも「フィナンシェ」は1975年の発売以来、人気が続く代表的な商品です。
人々に選ばれ続ける、そのおいしさの裏にあるものとは......?

「アンリ・シャルパンティエ」について

芦屋本店。生ケーキや焼き菓子を買えるほか、カフェスペースでは「クレープ・シュゼット」をはじめとしたデザートメニューを提供。

1969年、阪神芦屋駅前に小さな喫茶店としてスタートしました。看板デザートは、「クレープ・シュゼット」。創業者の蟻田尚邦さんがレストランでの修業時代に「クレープ・シュゼット」を食べるお客様の笑顔に深い感銘を受けたことがきっかけです。

「アンリ・シャルパンティエ」は、実はクレープ・シュゼットを考案したフランス人パティシエの名前。創業者の蟻田さんは、敬意を表して店名につけたそう。

1975年、神戸の百貨店に初出店した際に「フィナンシェ」を発売したところ大反響を呼び、関西を中心に人気が定着。1985年、関東の百貨店へ進出。以降も順調に店舗を展開し、その名は全国に知れ渡るようになりました。

2002年、フランス・パリにラボ(研究所)を開設(※現在は閉所)。フランスを代表するパティシエの1人・クリストフ・フェルデール氏を招き、パティシエの技術向上や新商品開発に注力しました。

2015年、「フィナンシェ」の年間販売個数がギネス世界記録に認定。以来、7年連続でその記録は続き、記録更新の日(101日)は「芦屋のフィナンシェ世界一の日」記念日に制定されています。

教えてくれたのはこの方

今回お話を伺ったのは、入社して約30年になる商品本部本部長の駒居崇宏さん。製菓の世界大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2017」に日本代表選手として出場し、準優勝された経験をお持ちです。そして、2023年の同大会では団長を務め、日本チームを見事優勝に導きました。

ひと口食べると、アーモンドの香ばしい香り、バターのコクのある風味が広がる。

駒居さん:シンプルな材料でできた生地がプクッと膨らんでおいしいフィナンシェになる。そんな"化学変化"に魅了されて、この仕事に就きました。もう15年以上前のことになりますが、パリのラボでクリストフ氏から教わったことは私にとってかけがえのない財産。彼から言われた「ずっとお菓子のことを考えなさい」という言葉を今でもずっと大切にしています。

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人気商品へのこだわりその1・オリジナルの前発酵バターとアーモンド

バターは銅釜で少量ずつ溶かして、生地に混ぜ込んでいる。

駒居さん:「フィナンシェ」は原材料がとても少ないお菓子。なかでもバターとアーモンドは、香りと風味の決め手となる重要な素材なのでとことんこだわっていますね。

バターは、北海道根室・釧路地域で牧草を中心に食べて育った牛の生乳を使った前発酵バターを使っています。前発酵バターとは、牛の生乳からつくったクリームに乳酸菌を加えて前発酵させてからつくる本場フランス式のもので、日本式の後発酵バターよりもバターの風味が引き立ち、口どけもなめらかになるという良さがあるんです。

アーモンドはホールで仕入れ、生地に混ぜ込む直前にパウダー状に挽いている。こうすることで芳醇な香りと甘みを感じるフィナンシェに仕上がる。

駒居さん:アーモンドは、2種類をバランスよくブレンドしています。1種類は、私がアメリカのカリフォルニアの農園をまわって選んだ農園のマルコナ種。香りが強く、ジューシーな甘みが特徴の希少な品種です。もう1種類は、香ばしいフレーバーが印象的なフリッツ種。この2種類をホールのまま輸入し、自社工場で挽いて生地に混ぜ込んで焼き上げています。こうすることで、香り高い理想のフィナンシェが完成します。

人気商品へのこだわりその2・特注オーブンで均一に焼き上げる

上面がプクッと膨らんで割れている形も「アンリ・シャルパンティエ」の「フィナンシェ」の特徴。ふんわりとした食感で日本人好みの味わい。

駒居さん:「フィナンシェ」は、年間約3,000万個(1日約8万個以上)売れる商品ということもあり、工場は24時間稼働で製造しています。的確な温度と時間配分で均一に焼き上げる必要があるため、特注した当社オリジナルのオーブンを使って焼き上げています。

「フィナンシェ」は、紅茶やシャンパンと合わせるのがおすすめ。

駒居さん:ご自宅でよりおいしく「フィナンシェ」を食べたいという方は、ぜひリベイクしてみてください。袋から出したフィナンシェを電子レンジで10秒ほど温めたあと、オーブントースターで1分温めると、外側がカリッと、中はよりしっとりとして焼きたてのような味わいを楽しめます。

人気商品へのこだわりその3・今でも続くおいしさへの追求

駒居さん:皆さまからご好評を頂いている「フィナンシェ」ですが、実は今でも改良を続けているんです。バターの風味をさらに持続させるために、そして食べたときのフレッシュ感をより高めるために研究や試作を行っているところ。さらにおいしく進化したフィナンシェを期待していてくださいね。

駒居さん:「フィナンシェ」と同じく人気なのが、生ケーキ。生ケーキは、ひとりのパティシエがひとつの商品を最初から完成まですべて担当しており、これを当社では「ひとり屋台生産方式」と呼んでいます。

この方式のおかげで、パティシエ一人ひとりが責任とプライドを持って商品と向き合えていると思います。高い技術を持ったパティシエたちが、見た目も味わいも最高のケーキをつくるために日々励んでいます。

皆さまへのメッセージ

駒居さん:私はお菓子をつくること、生み出すことに大きな喜びを感じていますし、これからもそうありたいと思っています。素材に強くこだわり、心を込めてつくっている「アンリ・シャルパンティエ」のお菓子がお客様の幸せなシーンを華やかに演出できたらこれ以上うれしいことはないです。

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※商品情報や販売状況は2023年07月27日時点でのものです。
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