フランス生まれのお菓子「フィナンシェ」と「マドレーヌ」。パティスリーに必ずと言っていいほど並んでいる定番商品であり、現在ではコンビニでも売っている身近なお菓子です。ですが、フィナンシェとマドレーヌの違いを詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?この記事ではフィナンシェとマドレーヌの由来や味、材料、形などの違いについて深掘りします。

フィナンシェとマドレーヌの違いとは?

フィナンシェとマドレーヌはどちらもフランス発祥のお菓子。リッチな甘みと豊かな香り、やさしい口当たりがたまらない、パティスリーの定番かつ人気商品です。当然ながらふたつのお菓子は全くの別物。お菓子の誕生経緯や名前の由来、材料の違いなどをひとつひとつ解説していきます。

語源・由来

フィナンシェの語源・由来

フィナンシェの起源は、17世紀のフランス北部の教会で生まれたお菓子と言われています。「聖母訪問教会」の修道女が生み出したお菓子であることから、フィナンシェの原型となったお菓子は、「ヴィジタンディン=聖母訪問教会」と古くは呼ばれていました。

また、1890年にフランスで刊行された「フランス菓子覚書」には、現在の形のフィナンシェを考案したのは、パリの証券取引所近くで店を営んでいた菓子職人ラヌだと記されています。「フィナンシェ」とは、フランス語で「金融家」「財政家」を意味し、金融街で店を切り盛りするラヌが、多忙な金融マン(=フィナンシェ)が、スーツを汚さず手早く食べられるようにと、現在と同じ形のフィナンシェを考案したと言われているのです。

マドレーヌの語源・由来

マドレーヌはフランス・ロレーヌ地方のコメルシーで生まれたと言われています。また、「マドレーヌ」とはフランス人女性の名前であり、お菓子にマドレーヌという名がついた経緯は諸説あれど、「マドレーヌ」という名を持つ女性に由来していることが特徴です。

まずは、偶然の積み重ねから生まれた説をご紹介します。食通のポーランド王がコメルシーに滞在中、王の菓子職人が逃げ出しました。代わりにその場にいた若い召使いの女性「マドレーヌ」が、祖母から教わったお菓子を王様のために作ります。結果は大成功。彼女が作ったお菓子を王様はとても気に入ったため、称賛を込めてそのお菓子をマドレーヌと呼ぶことになったと言われています。

また、コメルシ―の一流女料理人「マドレーヌ・ポミエ」が作ったお菓子をポーランド王がとても気に入り、彼女を讃えて「マドレーヌ」という名を付けた説や、アヴィスという腕利きシェフが小さな貝殻を模したゼリー型で作った焼き菓子に、愛人「マドレーヌ」の名を付けたという説も存在します。

フィナンシェの形

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フィナンシェといえば平たい台形型。先ほども触れましたが、フィナンシェはフランスの金融街と縁が深く、その特徴的な形と黄金色の焼きあがりは、バンカーや証券マンにとって縁起の良い「金の延べ棒」を模しています。また、忙しい金融マンが片手でサッとつまめるように考案されたとも言われており、スーツのポケットにフィナンシェを入れていた、というユニークな逸話も残っています。

マドレーヌの形

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マドレーヌは「貝殻」型の焼き型を使用するのが大きな特徴です。特に「ホタテ貝」を模した横に広く膨らんだ型は、昔からあるクラシックタイプです。

というのも、ホタテ貝はフランスでも古くから信仰されているキリスト教において、巡礼のシンボル。キリスト教3大聖地のひとつであるスペイン・サンディエゴに到達した巡礼者は、ホタテの貝殻を持ち帰ることで、巡礼の証にしたと言われています。また、聖ヤコブのシンボルや巡礼路の標識もホタテの貝殻モチーフであったため、マドレーヌもホタテを模した形を使用するようになったと言われています。

日本では菊型で焼いたり、平たいカップに流して焼いたりする店もありますが、これは「パンドジェーヌ」という焼き菓子が日本に伝わったときにマドレーヌと混同されたためです。

材料

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フィナンシェの材料

フィナンシェは卵白のみを使用し、グラニュー糖や薄力粉、バターなど基本的な材料の他に、アーモンドプードル(アーモンドパウダー)をたっぷりと加えます。またバターを火にかけ、しっかりと焦がしバターにしてから生地に加えることも大きな特徴です。

マドレーヌの材料

一方、マドレーヌは全卵を使用し、グラニュー糖、薄力粉、そしてベーキングパウダーでふっくらと仕上げます。フィナンシェのようにアーモンドプードルは使用しないレシピが多く、もし使用しても、材料の総量に対して少ない割合です。また、バニラやはちみつ、レモンの皮のすりおろしをプラスして、コクや風味をプラスするレシピも多く存在します。

食感や味の違い

フィナンシェは、たっぷり加えるアーモンドプードルから立ち上るナッツの香ばしさと、焦がしバターの豊かな風味が特徴です。またアーモンドの油分とバターのおかげで、表面はサクっと、中はしっとりやわらかい食感に仕上がります。

フィナンシェは、しっとり食感が好きな方や芳醇なアーモンドの風味が好きな方におすすめです。また焦がしバターの香りと味わいがお菓子全体を上手くまとめるので食べやすく、男性にも好まれるでしょう。

一方マドレーヌは、ベーキングパウダーが空気を抱き込んで膨らむため、フワフワとした食感が特徴です。卵の風味とバターのミルキーでリッチな香りが口いっぱいに広がります。

フワッと軽い食感が好きな方や、卵のやさしく甘い風味のお菓子が食べたい方におすすめです。マイルドでクセがないので、お子さんや年配の方にも喜ばれますよ。

カロリーの違い

フィナンシェとマドレーヌのレシピは豊富に存在します。そのため、ふたつのお菓子のカロリーを一概に比較することはできません。ただし、マドレーヌのほうがバターの使用量が材料全体に占める割合が高いことが多く、カロリーもフィナンシェより高くなる傾向にあります。

フィナンシェとマドレーヌの作り方

フィナンシェの基本の作り方

1. 小さめの鍋にバターを入れて火にかけ、しっかりコーヒー色になるまで焦がす。色づいたら、鍋のまま粗熱を取る(80℃目安)

2. 卵白、グラニュー糖をボウルに入れ、ホイッパーでコシを切るように混ぜる。

3. 薄力粉、アーモンドプードル、ベーキングパウダーを粗めのふるいでふるって、2に入れ混ぜる。

4. 粗熱が取れた焦がしバターを生地に加え混ぜる。もしバニラオイルを入れるなら、この時点で加える。

5. 生地を型の9分目程度まで流し入れる。

6. 160~180℃程度に予熱したオーブンで、約12~15分焼成する。

7. 焼けたら型からすぐに取り出し、粗熱が取れたら完成。

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マドレーヌの基本の作り方

1. 型にポマード状のバターを薄く塗り、冷蔵庫で固めてから、表面に強力粉を薄くはたく。使用するまで冷蔵庫に入れておく。

2. バターを電子レンジで溶かす

3. 全卵をボウルに入れ、ホイッパーで溶きほぐす。

4. グラニュー糖、バニラオイルを1に入れすり混ぜる。はちみつが入るレシピの場合はここで入れる。

5. 一緒にふるった薄力粉とベーキングパウダーを加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜる。

6. 溶かしバターを入れ、混ぜる。

7. 完成した生地を冷蔵庫で約1時間休ませる

8. 生地を型の8~9分目程度まで絞り入れる。

9. 170~190℃に予熱したオーブンで10~12分程度焼成する。

10. 焼けたら型からすぐに取り出し、粗熱が取れたら完成。

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阪急フードで購入できるおすすめのフィナンシェ3選

「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」フィナンシェ 8個入

シルバーの化粧箱に入った4種類のフィナンシェ
3,456円

パリ発のショコラトリー「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」が作る、4種のフィナンシェが楽しめる詰め合わせです。アーモンドのリッチな香りがたまらない「ナチュール」、ショコラトリーの本領発揮、まるでガトーショコラのような濃厚さの「ショコラ」。オレンジコンフィのさわやかな酸味で食べやすい「オランジュ」、そしてキャラメル生地にオレンジコンフィをプラスした「オレンジキャラメル」。香り、食感、そして味の違いを楽しめる、特別なおもたせにもぴったりなひと品です。

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「ビスキュイテリエ ブルトンヌ」季節のフィナンシェ アソート〈ノワゼット〉(10個入)

黒いスクエアプレートに盛り付けた、ヘーゼルナッツがのったオーバル型のフィナンシェ
2,484円

焼き菓子専門店「ビスキュイテリエ ブルトンヌ」の定番フィナンシェと、ヘーゼルナッツがキャラメル味の生地とマッチする「 キャラメル・ノワゼット」のセットです。栗のようなこっくりと甘い香りのヘーゼルナッツは、ほろ苦いキャラメル生地と相性抜群。コリコリとしたヘーゼルナッツの食感が楽しく、食べ応えもあるひと品です。焦がしバターの深い香りがたまらない定番タイプのおいしさと合わせて召し上がれ。

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「中村藤吉本店」フィナンシェ 12個入り詰合せ

すりガラスの器に盛り付けた、抹茶フィナンシェ、ほうじ茶フィナンシェ
3,755円
茶葉栽培と抹茶の本場である京都・宇治の「中村藤吉本店」。老舗茶屋がお茶への深い造詣とこだわりで作り上げた、抹茶とほうじ茶のフィナンシェセットです。抹茶味は、さわやかな香りとほろ苦さがアーモンドプードルのコクと相性抜群。ほうじ茶味は、鼻から抜ける香ばしいお茶の香りとバターの芳醇な香りのマッチングを楽しめます。上質な和のフィナンシェは、目上の方や年長者への手土産にも活躍します。
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阪急フードで購入できるおすすめマドレーヌ3

「五感」五感の黒豆マドレーヌ ええもん 10個入り

2,052円

和の素材にこだわり、常においしく洗練されたお菓子を発信し続ける「五感」の定番マドレーヌです。国産の米粉と小麦粉で作るマドレーヌ生地は、きめ細かくフワフワ。豊かな発酵バターの香りと、ふっくら大粒の国産黒大豆「丹波黒」がアクセントになり、たまらないおいしさです。コーヒーや紅茶はもちろん、温かい番茶やほうじ茶と一緒にティータイムを楽しむのもおすすめです。

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「アンリ・シャルパンティエ」 フィナンシェ・マドレーヌ詰合せ 8コ入り

白いオーバル皿に盛り付けた、フィナンシェとマドレーヌ
1,080円

「アンリ・シャルパンティエ」で長年愛されてきた、マドレーヌとフィナンシェの詰め合わせセットです。北海道産のオリジナル発酵バターを使用したマドレーヌは、深いコクと豊かな香りが魅力。はちみつをプラスすることで、フワフワ感としっとりやわらかい食感の両方を楽しめます。瀬戸内レモンのすっきりさわやかな香りがアクセントとなって食欲をそそる、誰にでも喜ばれる鉄板マドレーヌです。

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「新宿高野」果実プリン&果実マドレーヌA

丸型のフルーツマドレーヌとゼリーが化粧箱に入っている様子
2,960円

1885年創業のフルーツ専門店「新宿高野」の、フルーツ味のマドレーヌとゼリーのセットです。マドレーヌはマンゴー、ストロベリー、ブルーベリーの3種類。フルーツをトッピングし、果汁をアーモンドプードル入りのマドレーヌ生地にプラス。リッチなコクとフルーツのさわやかさのバランスが抜群です。ジューシーであっさりと食べやすい、男性や甘すぎるお菓子が苦手な方にもおすすめの商品です。

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フィナンシェとマドレーヌの違いを知って、お菓子選びをもっと楽しく

パティスリーの定番焼菓子「フィナンシェ」と「マドレーヌ」。同じフランス生まれのお菓子ですが、お菓子の成り立ちや由来、使用する材料や味わいはまったく異なるものです。フィナンシェやマドレーヌへの理解を深めれば、もっとお菓子作りや商品選びが楽しくなるはず。ご紹介したふたつの違いはもちろん、お菓子の作り方やおすすめ商品も参考に、ぜひ自分好みのフィナンシェとマドレーヌを見つけてくださいね。

※商品情報や販売状況は2023年01月15日時点でのものです。
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