洋菓子のなかでも、お手頃価格でカジュアルに楽しめるのが「焼き菓子」。日本や洋菓子の本場フランス以外の国にも、もちろん各国固有の焼き菓子が存在します。私たちになじみ深いものから、日本ではまだまだ知られていないけれど実は有名なものまで、各国の焼き菓子について解説します。

世界の焼き菓子は個性豊か

焼き菓子は世界各国に存在します。固有の歴史や文化、風土が反映されているものが多く、個性豊かです。歴史的につながりがある国同士に似た焼き菓子があることも興味深い特徴です。この記事では、各国の焼き菓子の特徴を解説します。阪急FOODで購入できるおすすめ商品もあわせてご紹介するので、ぜひチェックしてくださいね。

焼き菓子とは?

シリアルや種子、ナッツなどが入った健康的なオートミールクッキー

iStock.com/porosolka

焼き菓子とは、その名の通りオーブンで焼いたお菓子のこと。明確な定義づけはされていませんが、生菓子に比べ賞味期限が比較的長く、常温で販売できるのが特徴です。また、バター、小麦粉、卵、グラニュー糖などの材料をメインに作られるものが大半です。特にフランスでは焼き菓子をフールセック(Four sec)ドゥミセック(Demi sec)と分類します。

フールセック

フールセックとは「フール=窯」、「セック=乾いた」、すなわち「窯で乾かした」という意味で、オーブンでしっかり焼きあげたお菓子を指します。クッキーやフロランタンなどのカリっと香ばしい焼き菓子はフールセックの仲間です。

ドゥミセック

一方ドゥミセックとは、「ドゥミ=半分」、「セック=乾いた」、すなわち「半生菓子」を意味します。マドレーヌやフィナンシェのような表面はカリッ、中はしっとりとした食感の焼き菓子がドゥミセックの仲間に該当します。

また日本で古くから作られるお菓子を指す「和菓子」に、焼き菓子のカテゴリーは厳密にいうとありません。しかし、カステラやボーロのようなポルトガルから伝来し日本で作られ始めた経緯を持つ「南蛮菓子」由来のもののなかには、オーブンを使用するものも存在します。

ひとくちに焼き菓子といっても、同じような材料を使用しても、配合や作り方によって、全く異なる食感や味わいに仕上がるのが焼き菓子の魅力と言えるでしょう。以下では各国の定番焼き菓子を国別にご紹介します。

世界各国の定番焼き菓子

フランス

マドレーヌ

白い皿に盛り付けたマドレーヌ

 iStock.com/(Lcc54613)

貝殻の形をした、しっとりふわふわの食感が魅力の焼き菓子。マドレーヌという名の女性が生み出したお菓子と言われており、全卵、バターをたっぷりと使用します。しっとりフワフワ、卵のうま味とバターのリッチさがたまらない定番のフランス菓子です。

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フィナンシェ

白い皿にのった、フィナンシェ、フォーク、紅茶

 iStock.com/(Ika Rahma)

「お金持ち」、「金融家」という意味を持つ、金の延べ棒型の焼き菓子。その名の通り、リッチな味わいとしっとりした食感が特徴です。そのヒミツは贅沢に使用した焦がしバターとアーモンドプードル。卵白のみを使用することで、バターなどのリッチな風味がさらに引き立ちます。

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マカロン

積み上げたピンク、白、茶色のマカロン

 iStock.com/(Gingagi)

メレンゲ&アーモンドプードル生地で、ガナッシュやバタークリームをサンドした焼き菓子。表面はサクっと、中はしっとりとした食感が魅力です。イタリアからメディチ家の花嫁が嫁いだ際に、マカロンの原型が伝わったとされています。現在定番の表面がツルっとしたカラフルなマカロンは、「マカロン・リス(「スベスベした」という意味)」、または「マカロン・パリジャン」と呼ばれています。

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キャトルカール

木のトレーにのった、断面が見えるキャトルカール、レモンなど

 iStock.com/(mpessari)

バター、全卵、砂糖、小麦粉の4つの材料を同じ量で作る長方形型の焼き菓子。いわゆる「パウンドケーキ」で、「4分の1が4つ」という意味を持つ、実はフランス生まれの焼き菓子です。ふんわりしっとりしたものから、どっしり食べ応えのあるものまで、作り方や具材で自在にアレンジできるのが魅力です。

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カヌレ

半分にカットして断面が見えるカヌレ

 iStock.com/(Piotr Krzeslak)

フランス南西部にあるボルドー地方の伝統菓子。カヌレとは「」を意味し、溝の入った熱伝導の良い銅型に、蜜蝋を塗って使用することが特徴です。表面はカリカリと香ばしく、中はしっとりもっちりとした食感。バニラやラム酒を入れることで風味も抜群です。

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フロランタン

木のカッティングボードに盛り付けたフロランタン、紅茶

 iStock.com/(Jane Vershinin)

キャラメルで和えたアーモンドスライスを厚みのあるクッキーにのせて焼いたお菓子。香ばしいキャラメルアーモンドがサクサク食感のクッキーと好相性です。フロランタンとはフランス語で「フィレンツェの」という意味で、イタリア・フィレンツェからフランスへ伝わり定着したと言われています。

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ガレット・ブルトンヌ

半分に割ったガレットブルトンヌ

 iStock.com/(Gyro)

フランス北西部のブルターニュ地方発祥の焼き菓子。酪農と製塩が盛んな地方らしく、バターたっぷりの甘いザクザク生地に、塩のアクセントを効かせた贅沢な味わいが魅力です。生地に厚みを持たせることで、外は香ばしく、中は生地のうま味たっぷりに仕上がります。

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ラングドシャ

フランス語で「猫の舌」を意味する、口の中でサッとほどける繊細な食感が特徴の焼き菓子。薄焼きのクッキーよりもさらに軽い食感が魅力で、バターのリッチなうま味とやさしい甘みが、誰にでも愛されるおいしさです。

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クグロフ

表面に粉糖をふったクグロフ

 iStock.com/(Philippe Fritsch)

発酵生地にドライフルーツなどを練り込んで焼く、パンのような焼き菓子。帽子のような特徴的な形で、リーアントワネットがオーストリアからフランスへ持ち込んだとも言われています。ドライフルーツのうま味と生地の豊かな風味が魅力の、クリスマスにも欠かせない焼き菓子です。

イタリア

ビスコッティ

透明な皿に盛り付けたビスコッティ、コーヒー

 iStock.com/(Lesyy)

二度焼く」を意味する、しっかりと焼きあげたザクザク食感が魅力の焼き菓子。ソーセージのような、少しカーブしたフォルムが特徴的で、ナッツやドライフルーツを入れたアレンジも。トスカーナ地方のビスコッティは「カントゥッチ」と呼ばれています。コーヒーに浸したり、アイスクリームに添えて楽しむのがイタリア流です。

アマレッティ、パーチ・ディ・ダーマ

等間隔に並んだアマレッティ

 iStock.com/(Anhelina Chumak)

メレンゲとアーモンドプードルを使用した、マカロンの原型となったフィレンツェ発祥の焼き菓子。ビスコッティの仲間ですが、小麦粉を使用せず、軽くサクサクとした食感が魅力です。トリノ風のアマレッティは「パーチ・ディ・ダーマ」と呼ばれ、チョコレートがサンドしてあるのが特徴です。

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パネトーネ

カットしたパネトーネとドライオレンジ、アーモンド

 iStock.com/(arina7)

「大きなパン」を意味するその名の通り、イーストや酵母を使用する発酵焼き菓子。イタリアのクリスマスには欠かせない特別なひと品で、洋酒漬けにしたドライフルーツを入れた、風味豊かな味わいが特徴です。時間の経過とともにドライフルーツが生地になじむので、味わいの変化も楽しめます。

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イギリス

スコーン

白い皿に盛り付けた、ジャムとクリームをトッピングしたスコーン

 iStock.com/(natashamam)

スコットランド生まれのパンが、オーブンの発達やベーキングパウダーの開発によって進化し生まれたのがスコーン。グルテンの粘りが出ないように作ることで、表面はサクっ、中はホロっとした独特の食感に仕上がります。甘さ控えめに作り、クロテッドクリームやジャムと合わせていただくのがイギリス流です。

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ショートブレッド

タータンチェックの布の上に置いたショートブレッド

 iStock.com/(JamieRogers1)

スコットランドで生まれた、イギリスの代表焼き菓子のひとつであるショートブレッド。「ショート=くだけやすい」「ブレッド=焼き菓子」の名の通り、ホロホロっと口の中で崩れる食感が持ち味です。卵や牛乳を使用しないので、シンプルな味わいで食べ飽きず、お茶うけにもぴったりです。

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ベイクウェルタルト

表面にアーモンドスライスがのった、ベイクウェルタルト

 iStock.com/(AnnaPustynnikova)

イギリス中部の「ベイクウェル」村で生まれた焼き菓子。アーモンドプードルをふんだんに使用したクリームとラズベリージャムを詰めた、焼きっぱなしのタルトです。しっとりとした食感とアーモンドのコク、甘酸っぱいラズベリージャムが好相性。イギリスではスーパーでも売っている大人気焼き菓子です。

ミンスパイ

等間隔に並んだミンスパイ

 iStock.com/(monkeybusinessimages)

キリストの眠る「ゆりかご」をイメージして作られた、キリスト生誕の日であるクリスマスを祝う伝統的な焼菓子。サクサクのパイに、洋酒漬けのドライフルーツやスパイスで作るフィリングを詰めて焼きあげます。表面を飾る星型のパイ生地はキリストの象徴です。

メイズ・オブ・オナー

イングランド王、ヘンリー8世が愛した焼き菓子。パイ生地に、レモンの風味さわやかな甘いカッテージチーズフィリングを詰めて焼き上げます。しっとりとしたフィリングがサクサクパイと相性抜群。あまりのおいしさにヘンリー8世がレシピを門外不出にしたと言われている、イギリス自慢の焼き菓子です。

ドイツ

バウムクーヘン

カットしたリング状のバウムクーヘン

日本でも大人気のドイツの代表的焼き菓子。バウムクーヘンとは「バウム=木」、「クーヘン=お菓子」という意味で、一層ずつ焼きあげることで、その名の通り木の年輪のような特徴的な模様が生まれます。日本ではフワフワタイプが人気ですが、本場では卵とバターのうま味を存分に感じられる、しっとりどっしりした食感の素朴な味わいが主流です。

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シュトレン

薄くスライスしたシュトーレン

 iStock.com/(AnnaPustynnikova)

クリスマス前から少しずつ食べられるドイツの定番焼き菓子。段差のついた特徴的な形のモチーフは、生まれたてのキリストを包んだ「おくるみ」です。洋酒漬けにしたドライフルーツやナッツなどをたっぷり入れて焼いた発酵生地を、溶かしバターと真っ白になるほどの粉糖でコーティング。具材が少しずつ生地に馴染むので、日ごとに味わい深くなるのも魅力です。

レープクーヘン

アイシングで模様を描いた、ハート形のレープクーヘン

 iStock.com/(surfi)

こちらもクリスマスに登場する定番焼き菓子です。スパイスの効いたはちみつクッキーに、アイシングでデコレーション。固焼きのクッキーなので、穴を空けて紐を通し、オーナメントとしてクリスマスに彩りを添えるのも特徴です。

ラスク

グレーの皿にのった、表面に砂糖をまぶしたラスク

 iStock.com/(Promo_Link)

実はドイツ発祥のラスク。ドイツ語ではツウィーベック(2回焼いたパンという意味と呼び、パンを薄くスライスしてバターを塗り、オーブンで乾燥させます。砂糖をまぶしたもの以外にも、ナッツやチョコレートをトッピングしたタイプも。軽い食感とサクッとした歯ごたえがたまらない焼き菓子です。

日本

レモンケーキ

黄色いチョコレートを上掛けしたレモンケーキ

 iStock.com/(kaorinne)

コロンとしたレモン型がかわいいレモンケーキは、広島県発祥の焼き菓子。大正時代におこなわれた物産館でドイツ人捕虜が作ったケーキがベースとなっています。レモンの風味や酸味を効かせた食べやすい味わいで、仕上げにレモンアイシングやレモンチョコレートを上掛けします。

ダッグワース

並んだダックワース

 iStock.com/(bong hyunjung)

さっくりとした軽い食感のメレンゲ&アーモンド生地に、コーヒー風味のバタークリームをサンドした小判型のダックワース。実は日本発祥の焼き菓子です。本来のダックワースはフランス生まれ。主にケーキのパーツとして使用されていましたが、このおいしさに注目した日本人パティシエが、「ダックワースのおいしさを全面に出した焼き菓子を!」と生み出したのが日本版ダックワースです。

リーフパイ

諸説ありますが、日本発祥とも言われているのがリーフパイ。葉脈のような切込みを入れた葉っぱ型のパイに、たっぷりの砂糖をふりかけ焼きあげます。ほんのり塩気の効いたサクサクパイに、砂糖のジャリっとした食感と甘さが好相性の、シンプルかつ洗練された味わいです。

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歴史・風土とつながる焼き菓子

この記事では西ヨーロッパ、日本の焼き菓子を中心に紹介しましたが、もちろんアメリカやアジアをはじめ、世界各国にも固有の焼き菓子が存在します。歴史や文化、風土の特徴を反映する焼き菓子の世界はとても奥深く、興味深いものです。阪急FOODで購入できる商品もあわせて、ぜひ気になったものをチェックしてくださいね。

※商品情報や販売状況は2023年02月21日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。