スイーツ&グルメ2023/3/13 更新

国産素材でナチュラルに。「五感」の創業から変わらない信念【あのブランドが愛される理由 vol.4】

ブランドの想いや商品の魅力をご紹介する、HANKYU FOODオリジナルの連載企画です。今回は、大阪・北浜に本店を構えるパティスリー「五感」を取材しました。

今年、ブランドを創設して20周年を迎える「五感」。お米、小麦粉、黒豆、ハチミツ、砂糖など原材料はできるだけ国産素材を使い、添加物を極力使わないお菓子づくりにこだわっています。そのこだわりの理由、そしてブランドに込められた熱い想いとは――?「五感」創業者であり、代表を務める浅田美明さんにお聞きしました。

「五感」について

2005年、大阪・北浜にオープンした「五感 北浜本館」。大正時代に建てられた重厚感のある建物は、登録有形文化財に指定されている。

2003年、阪急百貨店うめだ本店地下1階に「五感」1号店がオープン。当時実施されていた減反政策(※)への違和感、"日本の食料自給率の低さをどうにかしたい"という想いから、日本人の主食・お米を使ったお菓子が誕生しました。

1971年~2018年に実施された農業政策。生産過剰となった米の生産量を抑制するため、米の作付面積の削減や米農家への転作支援を行った。

「五感 北浜本館」の店内の様子。「五感」の商品がすべて揃い、毎日大勢のお客さんが訪れる。2階の北浜サロン(喫茶)ではケーキや軽食を頂ける。

以来、"もっとお米を食べましょう"というメッセージを込めながら、"日本の農家と一緒につくるお菓子"を実践してきました。現在は、「五感 北浜本館」をはじめ、大阪・京都・神戸に全9店舗(うち1店舗はチョコレート専門店「カカオティエ ゴカン」)を展開しています。

教えてくれたのはこの方

今回お話を伺ったのは、代表の浅田美明さん。元々は実家が営む洋菓子店でパティシエとして働かれていました。「五感」では、できるだけナチュラルにつくる、自然や人の温もり、思いやりを大切にする=「自然と愛」をテーマにしたお菓子を提案されています。

右から時計回りに「お米の純生ルーロ」、「ええもん」、「穂の一」

浅田さん:お菓子の味わいや見た目、お客様とのやりとり、漂ってくる甘く香ばしい匂い、厨房から聞こえるお菓子づくりの音......そんな五感すべてにうったえるようなお店づくり、お菓子づくりをしたいというのが店名の由来です。そして、「五感」のテーマである「自然と愛」は「火・水・風・土・愛」の5つの世界観から来ています。

商品を見る

人気商品へのこだわりその1・できるだけ国産素材を使う

ふんわりとした口どけの良い生地に、やさしい甘さの生クリームと黒豆がバランス良く入った「お米の純生ルーロ」。

浅田さん:看板商品「お米の純生ルーロ」は国産黒大豆(丹波黒)入りのロールケーキで、100%国産素材でできています。生地には新潟県胎内産コシヒカリの米粉、大阪のアズマ養蜂場の百花蜜を使用、中に入っている黒豆は丹波産、生クリームは北海道産です。

ちなみに黒豆を入れたのは、私の母が丹波出身だったことがきっかけ。自分に縁のある場所や愛着を感じる地域で生産されているものを積極的に使っていることもこだわりのひとつです。

米粒の形が可愛らしく、サクサクとした食感が心地よい「穂の一」。プレーンのほかに、チョコレート味の「果々緒」、抹茶味の「宇治臼挽茶」がある。

浅田さん:「穂の一」も国産素材を中心につくっているお菓子です。北陸産もち米でつくられた最中の皮に、米粉の生地を流しこんで焼き上げたものですが、実は風味づけに味噌も入れています。見た目も含めて、"お米づくしのクッキー"です。

ブランド創設時に掲げた"日本の農家と一緒につくるお菓子"への想いは今も変わりません。国内で生産されている素材は、最大限使っていきたいと考えています。

人気商品へのこだわりその2・おいしさを最優先し、添加物に頼らない

浅田さん:「五感」の商品には、保存料や着色料、甘味料、乳化剤などの添加物を極力使わないようにしています。素材本来の持つ味わい、自然なおいしさを大切にしたいからです。また、「お米の純生ルーロ」を冷凍発送していないのも、冷凍するとどうしても食感や風味が落ちてしまうから。このケーキ本来の味わい、風味を味わってほしいと思っています。

バターの風味を感じるしっとりとした食感の「ええもん」。底に入った、甘く柔らかい黒豆がアクセント。

浅田さん:「お米の純生ルーロ」は店頭販売のみで、消費期限は当日中。手土産や贈り物にはしにくい、というお客様のお声を受けて開発したのが「ええもん」です。生クリームは入っていませんが、米粉の生地と黒豆を使うことで「お米の純生ルーロ」と同じような素朴さを感じてもらえるように意識してつくりました。日本のマドレーヌとしてお楽しみいただきたいですね。

人気商品へのこだわりその3・手作業を惜しまず、包装にも工夫

浅田さん:「五感」では、おいしさに繋がる大切な部分は必ずスタッフが手作業で行っています。例えば、「お米の純生ルーロ」で言えば最後の巻き上げの作業。工場では1日に約540本分をつくりますが、ふんわりとしたとても柔らかい生地のため機械では巻けませんし、巻き加減でケーキの食べ心地が変わってしまうので、必ず熟練のスタッフが手作業で巻いています。

また、生地の材料は機械で混ぜますが、どうしても気泡ができてしまうので、仕上げは手作業で混ぜて整えます。生クリームや黒豆をのせる工程などもすべて手作業で行っています。

浅田さん:「ええもん」は個包装の商品ですが、実は完全包装(完全密封)にはせず、脱酸素剤を入れていません。理由は風味が変わってしまうのを防ぐのと、中に入っている黒豆が硬くならないようにするため。最高においしい状態で召し上がっていただきたいから、それぞれの商品に適した包装の仕方を採用しています。

皆さまへのメッセージ

浅田さん:私は大阪で生まれ、大阪で育ちました。大好きな大阪の街で、これからも「五感」らしさを忘れずに、そして皆さんに小さな幸せを届けられるよう、お菓子をつくり続けていきます。ぜひお店に立ち寄っていただければうれしいです。

商品を見る

◎阪急百貨店公式オンラインストア HANKYU FOOD
◎阪急うめだ本店、西宮阪急、神戸阪急

写真 | 木下 誠
文 | 鈴木 里映

※商品情報や販売状況は2023年03月13日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。