スイーツ&グルメ2023/5/2 更新

守る味と進化させる味。「クラブハリエ」の焼菓子の魅力【あのブランドが愛される理由 vol.6】

ブランドの想いや商品の魅力をご紹介する、HANKYU FOODオリジナルの連載企画です。今回は、「クラブハリエ」を取材しました。

「クラブハリエ」といえば、しっとりと柔らかな「バームクーヘン」が有名。でも、実は焼菓子もこだわって作られていて、根強い人気があるのをご存知ですか? 創業当初から作り続けてきた「リーフパイ」、「マドレーヌ」、「フィナンシェ」の魅力について、本社のある「ラ コリーナ近江八幡」でお話をお聞きしました。

クラブハリエについて

「クラブハリエ」の本社とショップがある「ラ コリーナ近江八幡」は、年間300万人が訪れる滋賀県一の人気スポット。おいしいお菓子を目当てに朝からたくさんのお客様が訪れる。

1951年、滋賀県近江八幡市の和菓子舗「たねや」の洋菓子部門として誕生した「クラブハリエ」。店名には、"人々が集い語らう「倶楽部(クラブ)」のようにあたたかく、キラキラと輝くガラス絵「玻璃絵(ハリエ)」に夢をみて――"という想いが込められています。
1999年、大阪の百貨店に「バームクーヘン」専門のショップをオープンしたところ、大ヒット。その後は、全国の百貨店を中心にお店を展開しています。

2023年に完成した「バームファクトリー」では、パティシエがバームクーヘンを焼き上げる様子をガラス越しに見ることができる。

2015年、 "自然に学ぶ"をコンセプトとしたフラッグシップ店「ラ コリーナ近江八幡」を「たねや」と共にオープン。20231月には、「ラ コリーナ近江八幡」内に「バームクーヘンmini」の工房と「バームクーヘン」の全商品を取り扱うショップ、カフェを併設した「バームファクトリー」が完成しました。

教えてくれたのはこの方

今回お話を伺ったのは、「クラブハリエ」代表取締役社長 グランシェフの山本隆夫さん。「たねや」3代目の次男として生まれ、20代前半から洋菓子の世界で研鑽を積んでこられました。「クラブハリエ」の経営を行う傍ら、洋菓子の国際的なコンクールや世界大会にも出場し、優勝や準優勝という輝かしい結果を残されています。

右から時計回りに「リーフパイ」、「フィナンシェ」、「マドレーヌ」。「バームクーヘン」に負けず劣らずのおいしさ。

山本さん:素材や製法へのこだわりはもちろんですが、日本人の口に合う味わい、お客様からいただくお声を大切にしながら、日々お菓子をつくっています。お客様から直接いただくお声は、良い内容もそうでない内容もすべて含め、自分の原動力になっています。

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人気商品へのこだわりその1・昔からの素材・製法を守り続ける

たっぷり入ったバターが香る「リーフパイ」。香ばしさと程よい甘さ、サクサクとした食感がたまらない。

山本さん:「リーフパイ」は僕が物心ついた頃からおやつによく食べていたこともあって、とても思い入れのあるお菓子です。原材料は小麦粉、バター、砂糖というたった3つと、とてもシンプル。子どもながらに、「この3つでパイができるんや」と驚いたのを覚えていますね。

原材料も製法も昔からずっと変えていません。この「リーフパイ」のおいしさをいかに守っていくか、ということを大切にしています。

山本さん:今ではすっかり「バームクーヘン」が当社の看板商品となっていますが、実はそれまでは「リーフパイ」がそうだったんですよ。僕が入社した頃は、父がつくり上げた「リーフパイ」が一番で、僕はそれが悔しくて「バームクーヘン」に力を入れたんですから(笑)。

「リーフパイ」は、薄い生地の層や食感、風味の部分に職人の技術がとても活かされているお菓子なので、そんなところも注目してほしいです。

人気商品へのこだわりその2・中はしっとり、外はカリッの食感

ひと口食べると、爽やかなレモンの香りがふわっと鼻に抜ける「マドレーヌ」。山本社長がとてもこだわっただけあって、パサつきのない絶妙なしっとり感。

山本さん:僕が理想とする「マドレーヌ」は、中がしっとりとしていて、外側は焦げ目がついてカリッと焼けているもの。それを実現するために、「クラブハリエ」ではオリジナルの型を使って焼いています。市販の型を使うと、どうしても生地の中の水分が抜けてパサパサになってしまいやすいので。

少しこんもりとしていて厚みがついたこの「マドレーヌ」は、中の生地のしっとり感を味わって頂けると思います。

「フィナンシェ」はエッジが立ち、品格を感じさせる佇まい。心地よいバターの香りと、外側と内側の生地の食感のコントラストも印象的。

山本さん:「フィナンシェ」も同様に、中はしっとり、外はカリッとした食感に仕上げるため、少し厚みのある形に仕上げています。通常、焦がしバターを入れて作るお菓子ですが、僕はその焦がしバターの香りが日本人の口に合わない気がしたんです。それであるとき、バターを焦がさずに入れてみたらおいしかったので、それからはそうしています。

ただ、時がたってまた考え方や感じ方も変わってきているので、今後、焦がしバターを入れた作り方に改良する可能性もありますね。

人気商品へのこだわりその3・志の高いパティシエたち

山本さん:「クラブハリエ」のパティシエは、ひと言で言うと"学ぶ集団"です。12年目の若い子たちでも、東京の菓子講習会や近隣のセミナーに行って積極的に学んでいるので感心しますね。会社の研修ではなく、勤務時間以外の時間を使って、自費でやっていることですから。

そういう子たちはどんどん知識や技術を吸収して伸びていきます。自ら学ぶ子とそうではない子には大きな差ができるので、次第にそうではない子たちも、学ぶ子を見習うようになって、結果的に全体が"学ぶ集団"になっています。本当にありがたいことですね。

山本さん:「ラ コリーナ近江八幡」は、実はまだ半分しか完成していないんです。ショップは充実しているので、ショップ以外のことでお客様が楽しめる新しい取り組みを今後は少しずつ実現していけたら、と考えています。

会長(※山本社長のお父様)がそうであったように、これからもこの仕事にひたすら向き合って全力で頑張っていきたいですし、そんな姿を社員たちに見てもらえたらうれしく思います。

皆さまへのメッセージ

山本さん:「リーフパイ」は、僕にとって特別な想いのあるお菓子。「マドレーヌ」や「フィナンシェ」も、既存の製法そのままではなく当社ならではの工夫を凝らしているこだわりの味です。ぜひ楽しんでほしいです。

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※商品情報や販売状況は2023年05月02日時点でのものです。
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