門松やしめ縄、鏡餅などの正月飾りは使い回しできるのでしょうか。新たな年の福徳を願い、年神様をおもてなしするために飾る正月飾りは、適切に取り扱うことが大切です。正月飾りの概要と基本的なルール、使い回しできるケースでの保存方法などを解説します。

「正月飾り」とは?

門松

iStock.com/hikastock

お正月は、その年の新しい年神様を家にお迎えし、お祝いする大切な行事です。年神様をおもてなしするために、門松やしめ飾り、鏡餅などの正月飾りを飾ります。正月飾りは、年神様が訪れるための目印であり、滞在するための依り代(よりしろ)です。

年神様は、歳徳神とも呼ばれ、五穀豊穣や無病息災、家内安全など、新しい一年の福徳をもたらしてくれます。年神様をお迎えするために飾る正月飾りには、家族の幸せや健康、繁栄を願う気持ちが込められています。

正月飾りの使い回しは基本的にNG

鏡餅とだるまと門松のオブジェ

iStock.com/shironagasukujira

正月飾りは毎年新しくするものであり、昨年のものを使い回すのは避けたほうがよいでしょう。松の内を過ぎたら、その年の正月飾りは処分し、毎年新しいものを飾ります。

特に、神聖な木である松を使った門松は、年神様をお迎えするための神具です。神を「まつ」るという意味もあり、縁起物としての役割も持っています。

年神様をお迎えし、おもてなしするための正月飾りを使い回すことは、年神様に失礼にあたると考えられています。新たな気持ちで一年を始めるためにも、毎年新しい正月飾りを飾り、年神様を敬って、福徳を授けてもらいましょう。

インテリアの一種であれば使い回しも問題ない

古くは神具とされてきた正月飾りですが、近年ではインテリアの一部として飾る家庭も増えています。例えば、彫り跡が美しい木彫りの鏡餅や、リースやスワッグタイプの洋風しめ飾りなど、モダンにアレンジされた正月飾りが多く見られます。

なかには高価なものもあり、一年で処分するのはもったいないと感じるかもしれません。正月飾りをインテリアとして使用するなら、使い回して翌年以降も飾っても問題ありません。

正月飾りの処分方法

神社

iStock.com/joka2000

正月飾りの処分は、地域の風習やルールを確認し、マナーを守ることが大切です。処分方法の種類と概要を解説します。

鏡開き

鏡開きは、お正月に年神様にお供えした鏡餅を下げて食べる行事です。多くの地域では、毎年1月11日に鏡開きをおこないます。鏡開きでは、鏡餅を木槌で叩いて割り、割れた餅を食べることで年神様の力をいただき、無病息災を願います。

鏡開きは武家の風習に由来しており、刃物を使って餅を切ることは、切腹を連想させるためタブーとされています。また、年神様へのお供え物に刃物を向けることは、失礼にあたるという説も。

鏡開きの日は地域によって異なり、東北や関東、九州では1月11日が一般的ですが、関西地方では1月15日、京都とその近辺では1月4日におこないます。

どんど焼き

どんど焼きは、小正月にあたる1月15日に神社でおこなわれる火祭りです。正月飾りやお守り、書き初め、お札などをお焚き上げし、年神様への感謝を捧げるとともに、一年の無事を祈願します。

どんど焼きは1月15日におこなわれるのが一般的ですが、地域によってはその前後に実施されることも。また、地域ごとに呼び名が異なり、「左義長」や「道祖神祭」、「鬼火たき」などとも呼ばれます。

正月飾りを持参する際は、プラスチックや針金などの不燃物をはずし、橙などの食べ物も取り除いてから持っていきましょう。神社や地域のルールをしっかりと確認し、マナーを守ってどんど焼きに参加してください。

家庭での処分方法

正月飾りの処分方法はいくつかありますが、どんど焼きで処分できない場合は、神社の納札所で引き取ってもらうのもひとつの方法です。ただし、神社によって引き取りのルールは異なるため、事前に確認しておきましょう。

正月飾りは自分で処分することもできますが、自宅でのお焚き上げは厳禁です。平成13年から、自宅で生活ごみを燃やす、いわゆる野焼きは法律で禁止されています。

自分で処分する場合は、新聞紙などの大きめの紙を用意し、塩やお酒で正月飾りを清めたあと、包んで処分します。地域のごみ処理ルールに従い、適切に処分しましょう。

正月飾りを使いまわす場合の保存方法

3つの収納ケース

iStock.com/YaroslavKryuchka

正月飾りを来年も使い回す場合は、劣化しないように適切に保存する必要があります。大切な正月飾りを長持ちさせる保存方法を解説します。

1. 汚れをふき取る

まずは、正月飾りの汚れやほこりを丁寧にふき取りましょう。特に、外に飾っていた門松やしめ飾りは、風雨やほこりで汚れが付きやすいため、そのまま保存すると劣化や傷みの原因になります。

素材によっては、強くこすると傷ついてしまう場合がありますので、きれいな布で優しくふき取るなど、素材に応じたお手入れをしてください。

2. 虫干し

正月飾りを水拭きしたあとは、湿気によるカビを防ぐため虫干しします。虫干しは、晴天が数日続いて乾燥している日におこなうのが理想的です。風通しのよい場所に置いて数時間乾燥させましょう。

時間帯は湿気が比較的少ない、午前9時から午後3時の間が適しています。これ以外の時間帯は、湿気の影響を受けやすいので避けましょう。

3. ケースなどに収納

虫干しが終わったら、正月飾りを袋やケースに入れて保存します。袋に入れる場合は、蒸れを防ぐために空気穴を開けておくと安心です。

また、光が入ると変色の原因になるため、光をさえぎる不透明なケースに入れるか、新聞紙で包んで収納しましょう。収納したものが何か分かるようにラベルを貼っておくと、次に使う際に便利です。収納場所は温度差の少ない、乾燥した場所を選びましょう。

4. カビや虫対策をおこなう

正月飾りを長期的に保存する際は、カビや虫対策をしっかりとしておくことが大切です。カビの原因となる湿気を抑えるために、除湿剤や乾燥剤を活用しましょう。

虫対策には防虫剤が効果的ですが、複数の防虫剤を一緒に使うと、互いに影響しあって液漏れする恐れがあります。正月飾りにシミが付く原因となるため、1種類だけ使いましょう。

正月飾りのNGな保存場所

クローゼット

iStock.com/Phongpun Loomthong

せっかく適切にお手入れした正月飾りも、保存場所を間違えると傷みの原因になります。正月飾りを保存するのに最適な場所を解説します。

風通しが悪く湿気の溜まる場所

結露しやすい窓のそばや、水回りの近くは湿気がこもりやすいため、正月飾りの保存場所として適していません。風通しが悪く、湿気が多い場所ではカビやダニが発生しやすく、飾りが傷んでしまう原因となります。

温度変化の少ない、乾燥した場所に保存しましょう。空気の流れをよくするために、詰め込み過ぎないように収納するのもポイントです。壁から離して保管することも大切で、空気が流れやすくなることで、カビやダニの発生を防げます。

乾燥しすぎる場所

正月飾りを保存する場所として、極度に乾燥しているところも避けましょう。ヒーターやエアコンの風が直接当たる場所では、乾燥が進み、飾りがひび割れたり、変形したりする原因となります。

特に漆を使った正月飾りは、乾燥が進むと傷みやすいため、注意が必要です。素材が劣化しないよう、温度や湿度が安定した場所を選んで保存してください。

直射日光が当たる場所

直射日光が当たる場所に保存すると、正月飾りが傷んでしまいます。直射日光は色あせの原因となりますが、蛍光灯の紫外線や白熱灯の赤外線も、正月飾りを劣化させる原因となります。

特に漆を使った飾りは、紫外線に当たると化学変化を起こし、独特の光沢が失われてしまいます。日当たりのよいリビングやクローゼットは避け、押入れの上段や天袋など、光が直接当たらない場所に保存してください。

正月飾りを使い回すならインテリアとして活用しよう

新たな一年の幸福を願い、年神様をお迎えするための正月飾り。松の内を過ぎたら適切に処分し、毎年新しいものを飾ります。インテリアとして活用する場合は、使い回しできますが、正しく保存してきれいな状態を保ちましょう。

※商品情報や販売状況は2024年12月10日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。