ライフスタイル&ヘルス2022/5/30 更新
氷、水、ソーダやジンジャエールで割ってさまざまな人に愛されているウイスキー。そのなかでも、みなさんはシングルモルトを飲んだことはありますか?本記事では、モルトそのものの個性を楽しむことができる、シングルモルトの特徴やおすすめの飲み方をお届けします。
「モルト」とは大麦麦芽を意味する英語であり、大麦麦芽を原料としたウイスキーをモルトウイスキーと呼びます。
ウイスキーは、複数の蒸留所の原酒をブレンドして製造するのが一般的です。しかし「シングル」とは単一の蒸留所でつくられたことを意味しています。ひとつの蒸留所でつくられた、さまざまな樽のモルトウイスキーをブレンドしたものが、シングルモルトウイスキーなのです。
同じ製法でつくっても、原料やその土地の気候、水、樽などによって風味に違いが現れるのがシングルモルトの特徴です。特に単一の蒸留所でつくられているため、シングルモルトは一般的なウイスキーよりも個性が強く出やすい傾向があります。
飲み方を変えることで、その独特な風味をさまざまに楽しめるのもシングルモルトの特徴です。個性をしっかり感じたいときはストレート、味をまろやかにしてゆっくり飲みたいときにはロック、爽快感がほしいときはハイボールなど、ウイスキーにはさまざまな飲み方があります。
おすすめの飲み方については後述しますが、味わいやそのときの気分に合わせて飲み方を選べることは、シングルモルトの魅力ともいえるでしょう。
大麦麦芽のみからつくられるシングルモルトに対し、大麦麦芽のほかに、トウモロコシやライ麦、小麦などの穀類を使用するのがグレーンウイスキーです。
グレーンウイスキーの製造工程はシングルモルトと同じですが、味わいに違いが見られます。個性が際立っているモルトウイスキーが「ラウド(声高な)スピリッツ」と呼ばれるのに対して、グレーンウイスキーは穏やかな味わいに仕上がるため「サイレント(寡黙な)スピリッツ」と呼ばれています。
数種類のモルトウイスキーと、その味わいを引き立てるグレーンウイスキーをブレンドしてつくられるのが、ブレンデッドウイスキーです。グレーンウイスキーを加えている点が、シングルモルトウイスキーとの違いです。
ブレンダーと呼ばれる職人が、それぞれのウイスキーのよさを引き出すようにブレンドします。ブレンデッドウイスキーは、ブレンダーの技とセンスが味の決め手になるウイスキーといえるでしょう。
ひとつの樽のモルトウイスキーだけを瓶詰めしたものを、シングルカスクといいます。「カスク」とは、ウイスキーを熟成させる木樽のこと。シングルカスクは樽から出したそのままのアルコール度数であることが多く、50〜60度が一般的です。
シングルモルトは、ひとつの蒸留所内にある複数の樽のモルトウイスキーをブレンドしています。原酒の樽がひとつか複数かという点が、シングルカスクとシングルモルトの違いです。
スコットランドでつくられるスコッチウイスキーは、世界5大ウイスキーのひとつ。麦芽の乾燥に使用するピート(泥炭)由来のスモーキーなフレーバーが、スコッチウイスキーの特徴です。ここからはスコッチウイスキーについて、産地別に詳しく解説していきます。
スコットランド北部に広がる地域がハイランドです。土地が広いため、この地域に共通した特徴はあまり見られず、蒸留所がそれぞれ個性的なシングルモルトウイスキーを製造しています。
ハイランドのシングルモルトは、スコッチウイスキーらしいしっかりとしたピート香と、エッジが効いた風味を楽しめるでしょう。
ローランドはスコットランド南部に位置し、首都エジンバラを抱える地域です。ローランドのモルトウイスキーは、通常2回の蒸留を3回おこなうことが特徴。
雑味がなくなるため、まろやかでライトな口当たりになり、比較的飲みやすいものが多くあります。個性が強いシングルモルトのなかでも、親しみやすい味わいの産地といえるでしょう。
キャンベルタウンは、スコットランド南西部にある港町です。海岸沿いにあるため、ここでつくられるウイスキーには潮の風味が感じられます。
フルーティーな甘みもあるため飲みやすく、ファンが多い産地でもあります。現在は数件の蒸留所しか残っていませんが、閉鎖された施設を復興したり、ブランドを復活させたりといった動きもある地域です。
スコットランドの南西部にあるアイラ島は、スコッチウイスキーの聖地とも呼ばれる小さな島です。アイラ島でつくられるシングルモルトの特徴は、ほのかに潮をまとったピート香。
島ではピートが豊富に収穫できるため、ウイスキーの製造にもふんだんに使用されています。とても個性の強い味わいで、熱狂的なファンが多いシングルモルトの産地です。
アイラ島以外の、スコットランドに点在する島々をアイランズと呼びます。オークニー諸島やスカイ島、ジュラ島などの島ごとに蒸留所があり、それぞれ個性的なウイスキーを生産しています。
ジュラ島のウイスキーはやや軽めのピート香、スカイ島のものは潮の風味が特徴です。オークニー諸島のウイスキーには甘い香りとスモーキーさを感じます。
世界から高く評価されており、世界5大ウイスキーのひとつでもある日本のウイスキー。多くの人々を魅了する日本のシングルモルトは、やさしく繊細な味わいが特徴です。
製法はスコッチウイスキーを踏襲していますが、日本人の味覚に合わせて口当たりは軽く、スモーキーフレーバーをおさえて仕上げられています。
アメリカのウイスキーといえば、トウモロコシや穀類を原料としたバーボンが有名ですが、モルトウイスキーもつくられています。
アメリカのシングルモルトの特徴は、内側を焦がしたホワイトオークの新樽を使って熟成させること。そのため、バニラやキャラメルを思わせる樽の風味が強く感じられます。
アイルランドで生産されるウイスキーを、アイリッシュウイスキーと呼びます。一般的なウイスキーは2回蒸留でつくられますが、蒸留を3回おこなうことがアイリッシュウイスキーによく見られる特徴です。
シングルモルトも3回蒸留することで、原料の風味が活きた、クセが少なくスムースな印象に仕上がります。
産地によって個性を楽しむことができるシングルモルト。これだけは知っておきたい代表的な銘柄をご紹介します。
2003年、世界的に有名な酒類コンペティション「ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)」にて、日本初の金賞を受賞した山崎12年。ほかにも数々のノミネート数をほこる、日本を代表するブランドです。
やわらかく華やかで、苺やさくらんぼのようなフルーティーな香りが特徴。ミズナラ樽熟成モルト原酒を加えたことによって、なめらかな広がりと心地よい余韻を残す味わいです。
"森の蒸溜所"で生まれたモルト原酒だけでつくられたシングルモルト。仕込み水には南アルプスの天然水が使用されています。
適度なミネラル分をふくんだ軟水が香りのベースとなっており、やわらかく軽快で、爽やかな味わいが特徴です。
スコットランド西岸沖のアイラ島に蒸留所をもつボウモア。1779年創業という古い歴史をもち、長く愛され続けているシングルモルトです。
「海のシングルモルト」と呼ばれるボウモアの第1貯蔵庫は、海抜0メートルでダイレクトに海に面しています。熟成されたフルーティーさのなかにも、潮の香りを感じる味わいが特徴です。
アイラ島でつくられるラフロイグは、その独特な香りで人々に魅力を与え続けてきました。薬品を想わせる独特な香りに、 オイリーで濃厚な味わい、あと味はやや塩っぽくドライ。
スモーキーな香りの奥に感じられるバニラのような甘さや、クリームのようなやわらかさが絶妙にマッチした味わいが特徴です。
イギリスの島国のひとつ、数多くの蒸留所が軒を連ねるスペイサイドにてつくられている、ザ・マッカラン。
シェリー酒をつくった樽を使って熟成させるため、ほのかに香るシェリー酒の芳醇で甘い香りが特徴です。口当たりはまろやかで、ウイスキーのなかでも飲みやすい種類として長く愛され続けています。
ウイスキーに何も加えず、グラスに注いでそのまま飲むのが「ストレート」です。ウイスキーが薄まらないため、シングルモルトの風味をダイレクトに味わえます。ストレートがおすすめなのは、時間をかけてウイスキーを深く楽しみたいとき。食後や就寝前のひとときにもぴったりです。
ストレートで飲む場合は、香りが心地よく、味わい深いウイスキーを選んでください。風味をそのまま感じるため、個性が強いものは避けたほうがよいでしょう。
「ハイボール」は、氷を入れたグラスにウイスキーを注ぎ、ソーダで割る飲み方です。ウイスキーとソーダの割合は1対3がおすすめ。最後に1回、縦に混ぜれば完成です。
ハイボールは炭酸ですっきりと飲めるため、シングルモルトを料理と一緒に楽しみたいときにぴったりです。ハイボールにするなら、料理の味わいを邪魔しない、香り高く味のバランスが取れているシングルモルトがよいでしょう。
ウイスキーと常温の水を1対1で割る飲み方、「トワイスアップ」。ウイスキー本来の香りをもっとも楽しむことができる飲み方とされています。トワイスアップで飲むなら、飲み口が狭まったテイスティンググラスを使いましょう。グラスの中からふわっと立ちのぼる、芳醇な香りを堪能できます。
香りを楽しむ飲み方だけに、ウイスキー選びは香りに重点を置いてください。香りに個性のある、ピートを使用したウイスキーがおすすめです。
先述のように、シングルモルトは産地によって香りや味に違いがあります。自分の好みの味わいに合うものを、産地を参考に選んではいかがでしょうか。
初心者が飲みやすいシングルモルトなら、やさしい味わいのジャパニーズウイスキーがおすすめです。また、スコッチウイスキーのなかでもローランド産は、雑味が少なく比較的飲みやすいとされています。
熟成に使う樽も、ウイスキーの味を決める大切な要素です。樽に使われる材木によって、ウイスキーに加わる香りは大きく変化します。
樽によく使われるホワイトオークは、バニラやココナッツのような香りが特徴的です。香木のようなオリエンタルな香りを感じるミズナラは、日本のウイスキーで使われることがあります。
ウイスキーは熟成により味に奥行きが生まれ、一般的に10年ほど寝かせると、味わいのピークをむかえるとされています。
樽に入れた状態で熟成させるため、20〜30年と長く熟成させると樽の影響が強く表れてきます。樽の香りや複雑な味わいを楽しみたい場合は、長期熟成されたものがおすすめです。
ウイスキー選びに迷ったときは、先ほど紹介したような有名銘柄を選ぶのもよいでしょう。名前がよく知られている銘柄は、多くの人に選ばれている、比較的飲みやすい味わいであることが多くあります。
ウイスキー初心者でどれを飲めばよいかわからない方は、シングルモルトの定番銘柄から試してはいかがでしょうか。
蒸留された土地、環境、樽などさまざまなバックボーンより、豊かな個性をもつシングルモルト。ひとくちでウイスキーとくくることができないほどの、歴史とこだわりがあります。ぜひ、芳醇な香りを堪能できるトワイスアップでシングルモルト本来の味わいを楽しんでみてくださいね。
※商品情報や販売状況は2022年05月30日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。
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