ライフスタイル&ヘルス2022/12/27 更新

「桃の節句」の意味は?ももに込められた願いや歴史・食べ物について解説

3月3日は、桃の節句「ひな祭り」ですね。女の子がいる家庭ではお雛様が飾られ、店頭にはひなあられや桜餅などが並びます。一般的に、ひな祭りとうたわれることが多いですが、なぜ「桃の節句」と言われているのでしょうか。この記事では「桃の節句」の意味や歴史、食べ物について解説します。

桃の節句の意味とは?

一対の雛人形が横並びになっている

iStock.com/ziggy_mars

「桃の節句」とは、3月3日のひな祭りのことを意味します。七草・端午・七夕などと並ぶ五節句のひとつで、雛人形を飾り、女の子の無事な成長を祝う日本の伝統文化です。

家族みんなで祝う行事として、当日は両家の両親を自宅に招き、ご馳走でもてなすのが習わしとされてきました。

白い肌着を着た赤ちゃんが大人の指を握っている

Istock.com/west

なかでも、女の子が生まれて初めて迎える「桃の節句」は「初節句」と呼び、「生まれた子どもが、優しく健康な女性に育つように」そして「子どもに災いが降りかからないように」と願いをこめる日とされています。

また、桃の節句の象徴である雛人形は、お雛様に女の子の穢れ(けがれ)をうつして、災いを身代わりに引き受けてもらうという意味がこめられています。

桃色の背景を前にマスコットの雛人形が並べられている

iStock.com/akiyoko

立春(節分の翌日)から2月中旬まで飾るのが良いとされており、春の訪れを告げる立春がベストタイミング。厄除けの意味があるため、出し忘れていたからといって、3月2日から3日までの1日だけ飾る(一夜飾り)のはNG。節分で厄払いをしたあとに飾り始める、と覚えておくのが良いでしょう。

桃の節句の歴史・起源

桃色の背景に縁起の良い豆やマスコットの雛人形が並べられている

iStock.com/gyro

桃の節句の起源は、中国から伝わってきた文化。中国では「季節」のことを「節」と呼び、奇数の月と奇数の日を足して偶数になる1日は"悪いことが起こる日"と考えられています。

そのため、3月3日だけでなく、5月5日の端午の節句(子どもの日)、7月7日の七夕の節句(七夕)のように、それぞれの節句に名前をつけ、災いや邪気を払うお祭りを催しています。

そのなかで、3月の巳の日(3日)に行われていたものが、平安時代頃に日本に伝来し定着したものと考えられています。

なぜ桃の節句と呼ばれているの?込められた願いとは

白い背景で桃の花を接写で撮影している

iStock.com/kuriaki

そもそも3月といえば桃の花ではなく、梅の花の季節ですよね。とはいえ、旧暦の3月とは新暦の4月にあたり、桃の花が咲き始める頃にあたります。さらに、桃は魔除けの効果を持つとされていることから「桃の節句」と呼ばれるようになりました。

それだけでなく、桃は「百歳(ももとせ)まで生きられるように=長寿をまっとうできるように」という不老長寿の願いがこめられているという説もあります。いずれにせよ、さまざまな願いがこめられた、大切な日ということがわかりますね。

「桃の節句」の祝い方は?

上述の通り、桃の節句は家族みんなでお祝いをする日。では、その祝い方に風習や定番の食べ物などの決まりはあるのでしょうか。

桃の節句には雛人形を飾る風習がある

白いニットを着た人が雛人形を飾っている

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皆さんご存知の通り、桃の節句では雛人形を飾る風習があります。そもそも雛人形のルーツは、貴族の子どもたちの遊びにあると言われています。そのあと、現在のひな祭りの起源となっている「流し雛」が行われるようになりました。

流し雛とは、自分に降りかかる災厄を、身代わりである人形に引き受けさせてから川に流すことで、不浄を払うという儀式です。

桃の節句に食べる定番の食べ物がある

木樽のなかにちらし寿司が盛り付けられている

iStock.com/karinsasaki

3月3日には、桃の節句にちなんだ食べ物を食べるという風習があります。まずそのひとつが「ちらし寿司」。ちらし寿司は、桃の節句に限らずさまざまなお祝い事に食べられていますよね。海老やれんこんなどのように、縁起の良い食材が使われています。

また「はまぐりのお吸い物」も桃の節句の定番。あさりよりも大きい2枚貝であるはまぐりは、対になっている貝同士でないとぴったり合わさらないことから、良縁に恵まれるようにという願いがこめられています。

雛祭りの「お内裏様」「お雛様」のモデルはだれ?

桃色の背景の上に一対の雛人形が置かれている

童謡『うれしいひなまつり』の歌詞にもあるように「お内裏様」と「お雛様」は一体何なのえしょうか?そして、誰のことをモデルとして作られたのかご存知でしょうか?

じつは、お内裏様とは女雛と男雛を一対で指す言葉のことなのです。そのため、歌詞内にある『お内裏様とお雛様』は、2対の人形であり合計4人ということに。豆知識としてぜひ身近な人に話してみてはいかがでしょうか。

また、雛人形のモデルとなっているのは「天皇・皇后」であり、お二人になぞらえて作られています。

「桃の節句」に食べる料理・縁起の良い食べ物

菱餅(ひしもち)

黒い盆の上に2つの三色菱餅と桃の花が置かれている

iStock.com/Wako Megumi

菱餅にはさまざまな言い伝えがあり、そのひとつに、赤・緑・白の3色のうち、赤は花を、緑は大地を、白は雪を表し、雪解け後の"春"をイメージしているという説があります。ほかにも、赤は厄除けを、緑は健康と厄除けを、白は清らかな子孫繁栄を表しているとも言われています。

ひなあられ

桃色の背景に紙皿が引かれひなあられやこんぺいとうが並べられている

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カラフルなひなあられの色彩は、日本の四季を表していると言われており、自然に愛されながら健やかに生きていけますようにという願いがこめられています。

ちらし寿司

一人分に分けられたちらし寿司を真上から見ている

iStock.com/karinsasaki

ちらし寿司は、地域によって中身に少し違いはあるものの、一般的に海老は長寿を、れんこんは見通しを、錦糸卵は財産といった願いがこめられています。

縁起の良い食べ物

赤い海老が5匹並べられている

iStock.com/yasuhiroamano

縁起が良いとされている食べ物には、上述のはまぐりのほかにもさまざまあります。例えばよもぎには、健やかな成長を願うという意味がこめられています。

また、結婚式などの行事の料理に添えられることも多い海老には、腰が曲がるまで長く生きることができるようにと長寿の願いが。

最後に、正月のおせちで黒豆として使用される豆には、健康でまめに働くことができるようにという願いがこめられています。

日本の伝統行事の意味や歴史を知ろう

今まで「ひな祭りは毎年することだから」と、歴史や意味まで考える機会も少なかったかと思います。しかし、このように古くから伝わる風習や、その意味、歴史、背景を知ることは、先人の知恵や思いに寄り添うきっかけにもなりますよね。

ぜひ、今年の桃の節句では、ひとつひとつの意味を思い浮かべながら過ごしてみてはいかがでしょうか。

※商品情報や販売状況は2022年12月27日時点でのものです。
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