ライフスタイル&ヘルス2024/2/16 更新
日本のお正月料理といえば「お雑煮」を思い浮かべる方も多いでしょう。そんなお雑煮は餅の形や味、具材などに、地域差があることをご存じでしょうか?この記事では、お雑煮の起源から地域ごとの違いや特徴、全国各地の珍しいお雑煮をご紹介します。
お雑煮の起源は平安時代にさかのぼるといわれています。当時、餅はお祝いごとがおこなわれる「ハレの日」の食べ物でした。新年の最初に井戸や川からくんだ若水(わかみず)と新年初の火で煮込み、元旦に食べたものがお雑煮の起源であるとされています。
餅や大根、にんじんなどのお雑煮の具材には、それぞれ意味が込められています。地域によって具材や味付けが異なることも、お雑煮の特徴のひとつです。
お正月に食べられるお雑煮は、全国共通ではありません。具材や味付けなど、地域によって違いがあります。
例外はあるものの、東西のお雑煮で異なるのは餅の形と調理法(焼く・煮るなど)です。それに加え、味噌や醤油といった味のベースとなる調味料の違いがあります。
餅以外の具材は、シンプルかつあっさりしているのが特徴の東日本に対し、西日本ではお雑煮用の特別な食材を使うことが多いのも特徴のひとつです。
お雑煮はその地域で採れた特産物を入れているため、地域によって違いが生まれます。たとえば山間部の地域なら山の幸を、海沿いの地域なら海の幸をお雑煮に入れます。
餅の形や味付けをベースにその土地の特産物や食文化が融合し、郷土色豊かなお雑煮となりました。
北海道と沖縄は元々、お雑煮文化がありませんでした。しかし、北海道では明治時代以降に本州から移住した人々がお雑煮を持ち込み、食べられるようになりました。
一方、現在も沖縄ではお雑煮を食べる習慣はなく、豚のモツを使った「中身汁」や豚の三枚肉を使った「イナムドゥチ」などの汁ものを食べます。
お雑煮には、地域の食文化や特産品が反映されています。そのため地域ごとに細かな差はありますが、大きな違いは「味」「餅の形と調理法」「具材」の3つです。ここでは、東西のお雑煮の違いについてご紹介します。
お雑煮の味付けは、大きく分けて醤油ベースのすまし汁と味噌ベースの2種類です。一般的に東日本ではすまし汁が多く、西日本では味噌を使ったお雑煮が多くなっています。
すまし汁のお雑煮が多いのは関東や東北などの東日本をはじめ、中国地方や四国、九州など。近畿や中部地方では白味噌、福井県では赤味噌のお雑煮が食べられています。島根県や鳥取県の一部では、ぜんざいのような甘いお雑煮「小豆雑煮」を食べる地域もあります。
餅の形と調理方法も東西で異なります。東日本では「角餅を焼く」、西日本では「丸餅を煮る」が一般的です。角餅を使うか丸餅を使うかの境界線は、岐阜県の「関ヶ原」あたり。この境界線上に位置する岐阜県や石川県、福井県、三重県、和歌山県あたりでは、角餅と丸餅どちらも使うという地域もあります。
餅の形については諸説ありますが、もともと丸い形であった餅を平らに伸ばして切り分けるという手法が江戸で生まれ、角餅が広まったといわれています。
一般的には、東日本のお雑煮は鶏肉やかまぼこ、大根、にんじん、三つ葉などが具材として使われます。一方、西日本では色鮮やかな金時にんじんや、普通の大根より細い雑煮大根、頭芋(かしらいも)などが欠かせません。
そうはいっても、お雑煮の具材はその土地の食材を使用するため、地域によってさまざま。普段手に入らない食材をお雑煮に使うケースもあり、たとえば宮城県の「焼きハゼ」や新潟県の「鮭・いくら」、広島県の「かき」、長崎県の「ぶり」などがあります。
東日本でのお雑煮は、醤油ベースのすまし汁が主流。あっさりとした味わいですが、焼いた角餅の香ばしさとシンプルな具材が、だしの香りと旨みを引き立てます。
一方、金時にんじんや雑煮大根などを使った西日本のお雑煮は、味噌ベースの濃厚な味わい。丸餅のなめらかさとやさしい甘さが特徴的なお雑煮です。
日本全国には、地域ごとに特色のあるお雑煮が数多く存在します。代表的なものをご紹介します。
かつて捕鯨基地のあった青森県八戸市で食べられているくじら雑煮。大根、にんじん、ごぼう、じゃがいもなどの具材を入れたすまし汁に、焼いた角餅と脂の乗ったクジラの皮を加えたお雑煮です。余分な脂を落としてから調理されるくじらの皮は、コリコリとした食感と旨味が特徴です。
千葉県のはば雑煮は、地元産の海藻「はばのり」を使用したお雑煮。焼いた餅にだしと醤油で味付けした汁をかけ、はばのりと青のり、かつお節をたっぷりかけて食べます。「新年に食べると、1年中幅(はば)を利かすことができる」という意味が込められています。
奈良県のきなこ雑煮は、白味噌仕立ての雑煮に丸餅と豆腐、雑煮大根、金時にんじん、里芋などが入ります。特徴的なのは、餅を取り出して砂糖入りのきな粉につけて食べること。きな粉の黄色は豊作を願う象徴とされています。
岡山県北部で食べられているのが、するめだしのお雑煮です。するめと昆布でだしを取り、だしを取ったあとのするめは具材としても使用します。そのほかの具材は餅、ぶり、にんじん、大根、ほうれん草など。するめのだしは香ばしく、しっかりとした味わいが特徴です。
香川県では、白味噌ベースの汁にあんこが入った餅や金時にんじん、大根、豆腐などを加えて作るあん餅雑煮を食べます。甘さと味噌のコクが絶妙にマッチしたお雑煮で、お正月の定番料理として、多くの家庭で食べられています。
徳島県祖谷(いや)地方の「餅なし雑煮」は、餅を使わず、里芋と特産の「岩豆腐」だけを使ったもの。山間部で米作りが難しかったため、餅の代わりに豆腐が用いられました。すまし汁仕立てで具材はシンプルですが、その歴史と伝統が感じられます。
全国各地には、その土地の食文化を反映した特徴的なお雑煮があります。今まで食べたことはもちろん、見たり聞いたりしたことのないお雑煮もたくさんあるでしょう。今年のお正月は、生まれ育った地域以外のお雑煮を作ってみるのもおすすめ。きっと新たな発見や楽しみが見つかりますよ。
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※商品情報や販売状況は2024年02月16日時点でのものです。
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