ライフスタイル&ヘルス2023/11/3 更新
ワイン好きのなかには、ボルドーワインを一度は飲んだことがある、飲んでみたいと憧れている、そんな方も多いのではないでしょうか。しかし、ボルドーワインはどんな味わいで、どんな特徴があるのかわからない方もいらっしゃると思います。この記事では、ボルドーワインの特徴、ブルゴーニュワインとの違い、産地の特徴、自分好みのワインに出会える方法などを、ソムリエが伝授していきますよ。
ボルドーワインとは、フランス・ボルドー地方で栽培され醸造されたワインのことをいいます。ワインのタイプは、濃厚で重厚な赤ワイン、爽やかさとふくよかさを兼ね備えた白ワイン、甘くてとろりとした貴腐ワインなど。土壌の特徴を活かしたさまざまワインが造られています。
多く栽培さているのは、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどの渋味をしっかり感じられる赤ワイン用のブドウ品種、爽やかでフローラルな風味を持つ白ワイン用のブドウ品種であるソーヴィニヨン・ブランなど。このほか、貴腐ワインに使われることが多いセミヨンが有名です。
またボルドーワインは、長期熟成に向くものも多く造られているところも特徴的ですよ。すべてのワインが長期熟成できるわけではないですが、タンニン(渋味)がしっかりしている赤ワインや、甘口ワインである貴腐ワインは何年も熟成させるとおいしくなる場合もあります。
したがって、フランス・ボルドー地方は、さっぱりスッキリ、サラッと飲めるワインではなく、濃厚で複雑な風味を楽しめるワインを多く生産している地域であるということが分かりますね。
フランスは、紀元1世紀頃ローマ帝国に占領されていました。その頃にボルドー地方にブドウが持ち込まれ栽培がはじまったと言われています。それからボルドーワインは、ローマやイギリスなどに輸出されて、知名度をどんどん上げていきました。
ボルドーワインが飛躍した決定的な出来事は、アキテーヌ地方を領有していた女公爵アリエノール・ダキテーヌが1152年にアジュー伯・ノルマンディー公アンリと結婚したこと。アンリは、2年後の1154年にイングランド王ヘンリー2世に即位しました。これをきっかけに、英国でボルドーワインが売られ、有名になっていったのです。この関係性は、フランスが百年戦争に勝利するまで続きました。
そのあとも、ボルドーのワイン産業は海外へと発展していき、1855年に開催されたパリ万国博覧会にてメドック格付けを発表すると、ボルドーワインはさらに世界中で有名に。ワインラヴァーがこぞって購入し、高級なワインになっていきました。
ボルドーワインは、フランス・ボルドー地方のワインのこと。一方、ブルゴーニュワインは、フランス・ブルゴーニュ地方で栽培・醸造されたワインのことです。したがって、一番大きな違いは「生産地が違うこと」なのですね。
産地が違うため土壌や気候が異なり、栽培されるブドウ品種も変わってきます。
たとえば赤ワインだと、ボルドー地方のブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどの、黒系果実味や渋味があり、濃厚な味わいになるタイプが多いです。一方、ブルゴーニュ地方では、ピノ・ノワールというクランベリーやイチゴなどの赤系の果実味や酸味がありエレガントな風味が特徴の品種が主となっています。
ボルドー地方ではブドウ品種をブレンドするのが一般的ですが、ブルゴーニュ地方は基本的には単一品種でワインを生産しています。
したがって、味わいもボルドー地方とブルゴーニュ地方では対象的です。ボルドーワインもブルゴーニュワインも、同じフランスで造られる2大ワイン産地ですが、栽培地が違うことで味わいや醸造方法も変わります。
ボルドー地方では、左岸と右岸と産地区分を分けています。ジロンド河とガロンヌ河の右と左で区別していますよ。以下では、左岸地区と右岸地区の特徴をご紹介していきます。
ボルドー地方の左岸は、メドック地区、グラーブ地区、ソーテルヌ&バルザック地区などが有名な生産地となります。メドック、グラーブ、ソーテルヌ&バルザックは、各地区ごとに格付けがあり、格付けが高いほどワインも高価になり希少性も上がりますよ。以下では、各地区の特徴を詳しくご紹介しています。
1855年にメドック格付けが完成し、61のシャトー(※)が選ばれています。そのなかでも第1級である5つのシャトーは5大シャトーと呼ばれ、世界中のワインラヴァーが憧れる有名なワインです。
ブドウ品種は、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロの栽培が多く、これらのブドウ品種主体の赤ワインが数多く生産されていますよ。
※シャトー......ボルドー地方でブドウ畑を所有し、栽培~瓶詰めまでのワイン製造をおこなう生産者
1953年にグラーブ格付けが発表され、1959年に承認されました。階級で分けるメドック格付けとは異なり、16のシャトーが赤のみ、白のみ、赤白両方とそれぞれ選ばれています。グラーブ地区では、赤も白も有名です。
ブドウ品種は、赤ワイン用ではカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フランなど、白ワイン用ではセミヨン、ソーヴィニヨン・ブランなどが多く生産されています。
グラーブ地区の南部に位置している地域です。ここでは、気候の関係で収穫の秋頃に霧に包まれるという現象があります。これによって、ブドウに貴腐菌が付きやすく、貴腐ブドウが多く栽培できるのです。そのため、上品な甘口の白ワインである貴腐ワインが多く造られます。
また、ソーテルヌ&バルザック格付けに入っている27のシャトーは、すべて白甘口タイプのワインです。ブドウ品種は、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデルなどが多く栽培されていますよ。
ボルドー地方の右岸地区は、サンテミリオン、ポムロールなどがとくに有名な生産地です。サンテミリオンは、メルロ主体のワインが多く、カベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしている生産者が多いですよ。
サンテミリオンでも格付けがあり、1958年に初めて作成され3段階に分けられています。また約10年ごとに、階級への見直しがおこなわれていますよ。2023年現在では、最終改定が2022年に新しくなりました。
しかし、以前格付けに入っていたシャトーが辞退したところもあり、以前より格付けへの捉え方を考えるワインラヴァーも多くなりそうです。またサンテミリオンは、世界遺産にも認められている素敵な場所ですよ。
ポムロールは、サンテミリオンの北西に隣接するワイン産地です。小さい場所ですが、有名なワインが多く生産されていますよ。ブドウ品種は、メルロやカベルネ・フランが多く、メルロ100%の赤ワインも多く醸造されています。
フランス・ボルドー地方には、多くの格付けが存在します。メドック格付け、グラーブ格付け、ソーテルヌ&バルザック格付け、サンテミリオン格付けと、各地区や生産地によって、基準や評価方法も違いますよ。さまざまな格付けのなかでも、メドック格付けはパリ万国博覧会で発表されたこともあり、世界中で知られています。
5大シャトーとは、フランス・メドック格付けの第1級に君臨する5つのシャトーのこと。「シャトー・ラトゥール」、「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド」、「シャトー・マルゴー」、「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」、「シャトー・オー・ブリオン」の5つのシャトーです。
1855年に作成された当初は、シャトー・ムートン・ロスチャイルドは第2級でしたが、1973年に第1級に昇格しました。
どのワインもカベルネ・ソーヴィニヨンが主体となり、濃厚で重厚な赤ワインです。また、10年以上熟成にも耐えられる素晴らしいワインばかりですよ。しかし、価格が10万円前後〜と高額なため、「一度は飲んでみたい」というワイン好きの憧れの的となっています。
ボルドーワインは、価格の幅が広いのも特徴的です。また、有名なワイナリーや格付けを持っているワインは、おいしいですが高額なものも多く、選ぶのが至難の業。このように、ボルドーワインは自分好みのものに出会うのがなかなかむずかしいのです。
しかし、ポイントを押さえれば、自分が満足できるおいしいワインに出会えます。以下では、赤ワイン、白ワイン、貴腐ワインのカテゴリー別に選び方をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
フランス・ボルドー地方の赤ワインは、濃厚さと渋味、複雑な風味が特徴的なものが多いです。ブドウ品種は、タンニンが多いカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、マルベックなどが栽培されています。
濃厚で深みのある赤ワインを飲みたい方は、メドック地区で生産されたものを選ぶといいですよ。渋味をしっかり楽しみたい方は、カベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインを選びましょう。マイルドでなめらかな口当たりの濃厚なタイプが飲みたい方は、メルロ主体のものを探してみるといいですよ。
ボルドー地方の赤ワインは、価格が高くなるほど重厚でタンニンがのり、長期熟成できるものが増えます。価格帯が低いものは、渋味はありますが比較的飲みやすいものもあるので、ブドウ品種と価格を見ながら味わいを想像して購入してみるのがおすすめですよ。
味わいがしっかりしたワインが多いので、ステーキやすき焼き、スペアリブなど味わいの濃いめの料理によく合います。
フランス・ボルドー地方の白ワインは、辛口タイプと極甘口である「貴腐ワイン」の大きく2つに分けられます。こちらでは、辛口の白ワインについてご説明しますね。
ブドウ品種は、ソーヴィニヨン・ブランやセミヨンなどが栽培され、爽やかさとフルーツのふくよかさのバランスがいい味わいのものが多く生産されています。また、フローラル感も感じられるので、白ワインの複雑な風味を楽しめますよ。
ボルドー地方の白ワインは、生産量が赤ワインに比べると少ないので見かけることが少ないかもしれません。しかし、一度飲むとハマってしまう方も多いです。
爽やかな味わいもありますが、重厚感もあるので、チキンソテーや魚介のバターソテー、ムニエルなどの料理に合わせやすいですよ。高級で希少な白ワインもありますが、日本に輸入されているものは価格帯が低いものも多いので、気軽に料理に合わせてみてください。
貴腐ワインとは、貴腐菌が付いたブドウを使用して造られる極甘口の白ワインのことです。ボルドー地方では、ソーテルヌ・バルザック地区で生産されています。ブドウの栽培方法や醸造方法が特殊なので、生産量が少なく希少なものが多くなりますよ。
ブドウ品種は、辛口の白ワインにも使われるセミヨンやソーヴィニヨン・ブランなどです。黄金色の色調と、とろりとした口当たり、そしてフルーティーで奥深い甘味と酸味が絶品ですよ。また、長期熟成できるのも嬉しいポイント。熟成することで、果実の甘味と酸味がワインに溶け込み、さらにおいしくなります。
デザートワインとしてお菓子やデザートと一緒に飲まれることが多いですが、ブルーチーズと合わせて食べると甘味と塩味のコントラストが素晴らしく止まらなくなりますよ。ぜひお試しください。
ワインは、ワイングラスによって味わいが大きく変わります。とくにボルドー産の赤ワインは、グラスの形状によって渋味を強く感じてしまったり、雑味が舌に残ってしまったりすることも。
ボルドーワインをよりおいしく飲みたい方は、縦長でボールが大きめなボルドーグラスで味わってみましょう。
赤ワインは常温、白ワインはしっかり冷やしてと思っている方も多いと思います。実際は、赤ワインも少し冷やして、白ワインは冷やしすぎないで飲んだほうがおいしい場合があるんです。
おすすめの飲み頃の温度は、赤ワイン13〜20度程度。白ワイン8〜10度程度。意識すると、よりおいしく飲めますよ。
すべてのボルドーワインが、時間をかけて飲むとおいしいとは限りません。
しかし、とくに高級なボルドーワインは、熟成を見込んで造られているため、じっくり時間をかけて飲むと香りや味わいがどんどん開きます。ゆっくり飲むことで華やかさや、エレガントさをさらに楽しめるので、時間をかけて飲んでみましょう。
上記でもご紹介しましたが、ワインに合うおつまみを一緒に食べ合わせることで、よりワインのおいしさを引き出すことができます。また、意外なおつまみを合わせることで、新しい発見があったりするのも楽しいですよ。
チーズや生ハム、バゲットなどのシンプルなおつまみでも、ワイン単体で飲むより断然おいしくなります。いろいろなマリアージュを楽しんでみましょう。
ワインを自分で選ぶのは、とてもむずかしいです。購入時に、好みのものに当たるかわからない不安もありますよね。しかし、「ボルドー地方の赤ワインは、濃厚で渋味があり複雑な味わい」「白ワインは、爽やかだけどフルーティーなふくよかさがある辛口と、貴腐ワインという極甘口のものがある」......これを覚えておけば、自分が飲みたいタイミングで購入できるのではないでしょうか。ボルドー地方のワインの特徴を捉えて、ぜひ選んで飲んでみましょう。
※商品情報や販売状況は2023年11月03日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。
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