ライフスタイル&ヘルス2023/4/22 更新
高級食材としても知られるふぐですが、実は食べられないものも含めとてもたくさんの種類があるのをご存じでしたでしょうか?この記事では、食用可能なふぐの種類を一挙ご紹介!食べられるふぐは見分けられるのかといった情報もお伝えしますので、参考にしてくださいね。
ふぐは主に「フグ目フグ科」に分類されており、毒があることでも知られる魚。正しく処理しなければ食中毒を引き起こすほか、そもそも食用できないふぐもいます。
そんなふぐは世界で100種類以上、日本でも50種類ほどが生息しているといわれており、そのうち日本で食用とされるものは22種類です。
ふぐといえば、よく耳にするのが「とらふぐ」などですよね。ふぐは主にフグ目フグ科に属しますが、大きなくくりであるフグ目には私たちがよく知る意外な魚も含まれています。
たとえば丸い目と小さな口が特徴で、水族館でゆうゆうと泳ぐ姿が見られる「まんぼう」はフグ目マンボウ科に属する魚。また、刺激するとふくらんで針を立てる「はりせんぼん」はフグ目ハリセンボン科、釣りをする方にはおなじみの「かわはぎ」はフグ目カワハギ科に属します。
つまりまんぼうやはりせんぼん、かわはぎなどはふぐの仲間ということになるのです。
ふぐにはたくさんの種類がありますが、大まかに分けると「食べられるふぐ」「食べてはいけないふぐ」「観賞用のふぐ」に分類されます。
食用可能なふぐは22種類ありますが、食べられるとはいえすべての部位が食べられるわけではありません。食べられるのは「筋肉(身)」「皮」「精巣(白子)」に限定され、どの部位が食べられるかは種類によって異なります。しかも漁獲地域によっては食用不可となるものもあるなど、少々複雑です。
食用不可のふぐは内臓に加え皮や筋肉にも毒があったり、毒性が不明であったりするものが該当します。
観賞用のふぐは、その名のとおり見た目の愛らしさなどから飼育されるふぐ。最近は家庭でふぐを飼育される方も増えているようです。
このあと食用可能なふぐの種類をご紹介しますので、参考にしてくださいね。
食べられるふぐの多くがフグ科に属しています。それではフグ科の食用ふぐ17種類をご紹介します。
「ふぐの王様」ともいわれるとらふぐは筋肉と皮、精巣が食用可能です。背側は青緑がかった黒色で、胸びれのうしろに白でふち取られた黒い斑紋と腹・背にはぎっしりととげが生えており、しりびれは白色なのが特徴。
天然ものは12月〜2月が旬ですが、近年は養殖も増えおいしいとらふぐが年中食べられるようになりました。おすすめの調理法は鍋やお刺身、から揚げなどです。
背側は暗い緑褐色のまだら模様、腹側は白色、しりびれが黄色っぽいのが特徴。体表にとげはなくなめらかなので「なめらふぐ」とも呼ばれています。1月下旬〜3月に旬を迎え、可食部位は筋肉と精巣です。
味はとらふぐにはやや劣りますがとてもおいしく、ちり鍋にしたりお刺身やから揚げなどにしたりします。
背側と側面に藍青色の小さな斑点が多くあり、しりびれがレモン色をしているのが特徴のふぐです。可食部位は筋肉と皮ですが、筋肉はやや水っぽいため値段は安価で、加工品などに多く用いられています。
石川県の珍味として知られる「ふぐの子」はごまふぐの卵巣を糠漬けしたもの。本来毒のあるふぐの卵巣は、長期間糠に漬け込むことで解毒され食べられるようになります。
黒色の背と白色の腹、胸びれのうしろの大きめの黒い斑紋など、とらふぐによく似た見た目のからすふぐ。背側の斑点がとらふぐよりも不明瞭な点や、黒いしりびれでとらふぐと見分けます。
とらふぐより劣るものの味はよく、筋肉、皮、精巣が可食部位。鍋やお刺身、から揚げなどで食べるのがおすすめです。
体の側面に黄色い線が入り、背側は濃い褐色のまだら模様、とげがないのが特徴です。可食部位である筋肉にはごく弱い毒性があります。過食しなければ問題ないとされていますが、注意が必要です。
関東では「ふぐ」といえばこの種類であったともいわれており、古くから鍋などで食べられていました。現在は鍋のほかお刺身や天ぷら、焼きふぐなどいろいろな調理法で食べられています。
背側と側面に入る白い線と、すべてのヒレがきれいな黄色をしているのが特徴です。可食部位は筋肉、皮、精巣で鍋のほか揚げものにして食べると美味です。
冬から春にかけて旬を迎えるしまふぐは、日本のほか韓国の釜山でもたくさん水揚げされ、値段も比較的お手頃です。
背側と側面の褐色の部分には小さな白い斑点が数多く入っており、これが小紋(こもん)柄のように見えることから「こもんふぐ」と呼ばれています。背側と腹側には細かいとげがあり、ざらざらしているのが特徴です。
旬の時期は秋から冬、可食部位は筋肉で、鍋やお刺身がおすすめ。岩手県や宮城県の一部で漁獲されたものは食用が不可となっています。
体の側面が光沢のある銀色、背側は緑黄色というさばに似た体色であることからこの名前で呼ばれており、頭周りにのみ小さなとげがあることが特徴。旬は秋から春で筋肉、皮、精巣が食べられますが、猛毒のある食用不可の「どくさばふぐ」に似ているため注意が必要です。
お刺身にしたり鍋にしたりして食べるとおいしいふぐですが、干物などに加工されることもあります。
しろさばふぐによく似ていますが、ひれなどに黒っぽい部分が多いためこの名前で呼ばれています。尾びれの上下の先端が白色なのも特徴のひとつ。
食べられる部位や加工品に多く使用される点、どくさばふぐと間違わないようにしなければならない点などは、しろさばふぐと同様です。
春の彼岸の時期に漁獲されるためこの名前で呼ばれています。背側と側面が褐色で黒い斑点が入っており、とげはありません。
東京ではひがんふぐのことを「あかめふぐ」と呼ぶこともありますが、そもそもひがんふぐとあかめふぐは別もので、可食部位も異なるため注意が必要です。ひがんふぐは筋肉のみが可食部位。とらふぐより安価ですがお刺身やから揚げ、鍋などいろいろな食べ方で美味しく食べられます。
こもんふぐ同様、岩手県や宮城県の一部で漁獲されたものは食用不可です。
体やひれは赤褐色、黒い点があるのが特徴。目の周りが赤いため「あかめふぐ」と呼ばれています。あかめふぐは筋肉と精巣が可食部位。お刺身やから揚げなど、いろいろな食べ方でおいしいふぐです。
秋から春が旬で、漁獲量は少なくあまり市場に出回りません。
腹側は白色、背側は青みのある黒色にはっきりとした白い点が複数あり小さなとげがあるのが特徴。小型で見た目はかわいらしいのですが、内臓と皮には強い毒があります。可食部位は筋肉のみで、お刺身やから揚げなどにするとおいしいふぐです。
釣りではよくかかりますが、市場にはあまり出回りません。春に集団で産卵することでもよく知られています。
胸びれのうしろ側と背びれの基部に、ぼんやりとした白い輪に囲まれた黒い斑紋があり、背側と腹側にとげがあります。中国では、古くから河川に生息するめふぐを漁獲し食用としていたとされています。
めふぐの旬は5月頃。日本ではあまりなじみのない魚ですが、近年は輸入もされています。可食部位は筋肉と精巣でから揚げや鍋もの、焼きふぐで食べられることが多くなっています。
1メートルほどにもなる大型のふぐ。背側は淡い褐色で斑紋などはなく側面は銀白色、黒い鰓孔(えらあな)が特徴です。体表にとげはありません。
可食部位は筋肉と精巣。から揚げなどにするとおいしいふぐですが、市場にはほとんど流通しません。
地域によっては「みずふぐ」や「ちょうちんふぐ」とも呼ばれるふぐ。背側が淡い褐色で尾びれの下部分が白いのが特徴です。皮にしわのような細かい線がありますが、小とげはありません。水を飲み込んでいることが多いため、腹を中心に全体的にたるんでいるような感じです。
可食部位は筋肉と皮、精巣で汁ものや鍋にすると美味ですが、市場にはほとんど出回りません。
背側は黄褐色、腹側は白色、側面には黄色がかったラインが入っており、胸びれのうしろにぼんやりとした黒い斑紋があるのが特徴のふぐ。
可食部位は筋肉のみで鍋にしたり焼いたりして食べますが、日本ではほとんど見られません。
しょうさいふぐに近い種類のなしふぐ。見た目もよく似ていますが、胸びれのうしろ側に白いふち取りのある大きな黒い斑紋があるのが特徴です。冬が旬の小型のふぐで、味はよく揚げものや鍋、お刺身、干物などで食べられています。
なしふぐは以下の条件に該当する以外のものは食用不可となります。
・有明海、橘湾(たちばなわん)、香川県及び岡山県の瀬戸内海域で漁獲されたものの筋肉
・有明海及び橘湾で漁獲され、長崎県が定める要領に基づき処理されたものの精巣
フグ科の食用ふぐ17種に続き、ハリセンボン科の食用ふぐ5種をご紹介します。
細長い卵形で体の全面に動かせる鋭い針を持つふぐ。危険を察すると体を膨らませて針を立て、身を守ります。暖かい海域に生息し、沖縄県では「アバサー」と呼ばれ市場などにも並びますが、山口県では「ふぐ提灯(ちょうちん)」の原料として用いられています。
筋肉、皮、精巣が食用可能ですが実際に食べる部分は少ないため、お刺身にはあまり向いていません。そのため鍋や汁もので食べます。
体の表面には鋭くて短いとげを持つふぐ。はりせんぼんとは異なり、針は動かせません。
温帯から熱帯の水域で生息・流通しており市場にはほとんど出回りませんが、沖縄県や伊豆諸島ではみそ汁などでします。可食部位は筋肉、皮、精巣です。
正面からの見た目が人の顔に似ていることからこの名前で呼ばれています。体の表面には長くて動かせる無数のとげがあり、背面には複数の黒い斑があります。
市場には出回りませんが、沖縄県やその中西部の島々ではよく鍋などで食べられています。
80cm〜90cmほどになる、ハリセンボン科のなかでは大型のふぐ。茶色がかった体色をしており、腹部以外に見られる小さな黒色の斑点が特徴。表面は短いとげに覆われています。
ひとづらはりせんぼん同様、熱帯地域に分布・流通し、みそ汁などで食べられています。可食部位は筋肉、皮、精巣です。
四角に近い体型を持つことから、この名で呼ばれています。六角形のうろこと黄色がかった体色に青緑色の丸い斑が特徴。固い甲羅に覆われているので、ほかのふぐのように膨らむことはありません。
暖かい地域に生息し、筋肉と精巣はみそ焼きなどにします。市場にはあまり流通しませんが、食用のほか観賞用として飼育されることもあります。
釣りをしていると、予期せずふぐが釣れることもあるかもしれません。そんなとき「食べられるふぐと食べられないふぐが見分けられれば......」と感じたことはありませんか?食べられるふぐの特徴を押さえておけば、見た目で見分けることも可能です。
たとえば比較的釣れやすい「くさふぐ」には以下のような特徴があります。
・腹側は白色、背側は青みのある黒色
・背側にはっきりとした白い点が複数ある
・背側と腹側に小とげがある
また食用ふぐの代表であるとらふぐの特徴は以下のとおりです。
・背側は青緑色を帯びた黒色
・胸びれのすぐうしろに、白くふち取られた大きな黒い斑紋がある
・しりびれは白色
・背側や腹側に小とげがたくさんある
しかし食べられるふぐはこれだけではありません。22種類ある食用ふぐの特徴を完璧に理解することはとてもむずかしく、判断に迷うこともあるでしょう。実際、食用可能なふぐと見た目がそっくりな食用不可のふぐを食べ、食中毒が起こった事例が過去に発生しています。
ふぐの毒は「テトロドトキシン」という物質。テトロドトキシンは青酸カリの数百倍以上もの毒性を持つ猛毒で、ごく少量でも死に至るといわれています。耐熱性があり通常の加熱調理では破壊できません。
ふぐを安全に食べるためには、食用可能なふぐとその部位をしっかりと見極めることが重要です。つまり専門的な知識や技術のない素人が、ふぐを見た目だけで判断し処理して食べることは大変危険であるといえるでしょう。
なお、ふぐを安全に処理して調理するには「ふぐ調理師」の免許が必要です。
日本に生息している50種類ほどのふぐのうち、22種類が食用可能です。しかし食べられる部位は種類によって異なり、毒を持つ部位もあります。ふぐをおいしく安全に味わうにも、専門的な知識と技術を持つ方の手によって処理されたものを食べるようにしましょう。
※商品情報や販売状況は2023年04月22日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。
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