大寒とは、毎年1月下旬頃に当たる寒さが厳しい季節のことです。縁起がよいとされる食べ物や、厄を祓い健康や幸運を祈る行事など、大寒ならではの風習が現代にも残っています。

この記事では、大寒の時期に縁起が良いとされている食べ物や習わしについて説明します。

大寒とは?いつからいつまで?

雪景色の白川郷

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二十四節気の最後に当たる大寒(だいかん)。二十四節気は「にじゅうしせっき」と読み、1年を春夏秋冬の4つに分け、さらにそれぞれを6つに分けた古来より伝わる暦です。大寒が終わると、二十四節気の最初である立春に戻ります。

二十四節気は太陽の動きにあわせて定められるため、毎年日付が異なります。大寒に当たるのは、毎年だいたい1月20日〜2月3日頃の約15日間です。

大寒は文字通り、1年でもっとも寒くなる季節。大寒の次には、春のはじまりである立春が待っています。大寒には古来より、厳しい寒さを乗り切り、春を迎えるためのさまざまな風習があります。

大寒におこなう4つの行事

鬼の面と枡に入った大豆

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大寒には、寒さに耐え忍び春を迎えるための行事や、食べるとよいとされるものが伝わっています。まずは、大寒におこなわれる行事を4つ紹介します。大寒の過ごし方の参考にしてください。

寒中見舞い

寒中見舞いとは、大寒とその前に当たる小寒の時期に出す、季節の挨拶状です。毎年1月6日〜19日頃の期間が小寒であり、小寒と大寒をあわせた期間が寒中とされています。相手の健康を気遣うために寒中見舞いを送りますが、年賀状の返信に使われることもあります。

寒垢離(かんごり)

寒垢離とは、小寒と大寒の約30日間に心身を清めて修行することです。寒垢離の風習から、寒い時期にはじめた習い事は上達するという考えが生まれ、「寒稽古」や「寒修行」がおこなわれるようになりました。寒ければ寒いほどよいとされ、大寒の早朝に稽古することもあります。

寒仕込み

小寒と大寒に汲む水は「寒の水」と呼ばれ、この水で仕込んだ味噌や日本酒などの発酵食品は味わい深く、おいしくなるとされてきました。気温が低く、水に含まれる雑菌や不純物が少ないことに加えて、発酵がゆっくり進むことが味の違いを生む理由と考えられています。

節分

大寒の最終日、立春の前日である節分は、冬と春のちょうど間に当たります。かつて「季節の変わり目には鬼が出る」との言い伝えがありました。そのため豆をまいたり、柊にイワシの頭を刺して玄関に飾ったりして邪気を祓った風習が、現代にも受け継がれています。

大寒に縁起のよい食べ物・込められた想い

大寒の時期に仕込んだり、寒の水を使って作られたりしたものは、縁起がよいと珍重される習わしがありました。ここからは、大寒に食べると縁起がよいとされる食べ物を紹介します。

大寒たまご

大寒たまごとは、大寒の時期に生まれた鶏のたまごのこと。かつては冬に鶏が産卵することが珍しかったことから、大寒たまごは貴重で縁起がよいとされました。また冬の鶏は、寒さに耐えようとエサをたくさん食べて栄養を蓄えるため、冬に生むたまごは栄養価が高くなるといわれています。

大寒たまごは栄養豊富なことから「健康」「無病息災」、さらに風水の考え方も取り入れて、黄色い黄身に「金運アップ」の願いが込められています。

寒餅(かんもち)

寒餅(かんもち)とは、大寒の時期についた餅、または寒の水で炊いた米を使った餅のことです。寒の水には神秘的な力が宿ると考えられており、寒の水を使った食べ物はありがたいものとされています。

また寒の水は「1年間腐らない」といわれるほど雑菌が少ないといわれ、長期間保存する食べ物を作るのに最適とされていました。地域によっては寒餅を薄く切り、1ヶ月ほど風にさらして乾燥させ、保存食にして農作業中のおやつに食べていたそうです。

甘酒

1年でもっとも冷え込む大寒の時期は、体を温めるために甘酒がよく飲まれていました。甘酒には米麹から作られるものと、酒粕を使ったものの2種類があります。どちらも体を温める効果があり、さらに寒の水を使って作られることから、大寒の季節に人気が高まったと考えられます。

大寒に甘酒を飲む風習を受けて、1月20日は「甘酒の日」に制定されました。甘酒は冬の寒さを和らげる飲み物として、現在も受け継がれています。

恵方巻

大寒の最終日である節分の食べ物として知られている、恵方巻。節分には、1年の幸運や無病息災などを願いながら、年神様がいる方角に向かって恵方巻きを食べる風習があります。

恵方巻きには、多くの願いが込められています。「長寿」を祈るかんぴょう、「出世」を願ううなぎなど、具材が持つ意味はさまざま。それらの具材を巻き込んだ恵方巻きは、縁が切れないように包丁で切り分けることなく、丸かじりして食べられるのです。

大寒に旬を迎える食べ物

木製の皿に盛られた金柑

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寒さ厳しい大寒の季節にも、旬を迎える食べ物があります。

・水菜:京野菜のひとつ。歯切れがよくクセのない味わいで鍋物に最適。
・春菊:独特な香りとほろ苦さが特徴。葉はやわらかく、生でも食べられる。
・ごぼう:食物繊維やポリフェノールが豊富
・金柑:皮ごと食べられる小さな柑橘。はちみつやシロップ、焼酎に漬けることもある。
・ぽんかん:酸味は少なく、甘くて食べやすい。皮がむきやすいことも特徴。
・ぶり:成長にともない名前が変わる出世魚。冬に脂がのったものは「寒ぶり」と呼ばれる。
・さば:種類によって旬が異なる。冬に脂がのっておいしくなるのは「マサバ」。
・さわら:冬に旬を迎えるのは関東のさわら。関西では3〜5月に獲れるものがおいしい。
・赤貝:歯ごたえと甘みが特徴。江戸前寿司では冬を代表するネタ。
・しじみ:旬は年に2回ある。冬の「寒しじみ」は栄養豊富で、濃厚な出汁が取れる。

野菜は冬に寒さで凍結しないよう、糖分を蓄えます。そのため冬に旬を迎える野菜は糖度が高く、甘くなる傾向があります。

寒さが厳しくなるのは海も同じです。魚介類は、身に脂肪をため込むことで冬を乗り越えようとします。脂がのった冬の魚は、濃厚な味わいととろけるような食感を楽しめるでしょう。

大寒の食べ物で幸せを願おう

二十四節気の最後に当たる大寒は、1年のなかでもっとも冷え込む季節です。大寒に大寒たまごや寒餅などを食べて、縁起を担ぐ風習は現代にも伝わっています。先人たちに習い、大寒ならではの食べ物や旬を迎える食材を食べて、自分や親しい人の幸運を願いましょう。


阪急うめだ本店 "大寒たまご"販売について

●阪急うめだ本店 地下2階 北野エース
◎2024年1月21日(日)午前10時から
※なくなり次第販売終了

1月20日に収穫した卵を、翌日1月21日に販売いたします。
数に限りがございますので、売り切れの際はご容赦ください。

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※商品情報や販売状況は2023年12月27日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。