ライフスタイル&ヘルス2023/8/16 更新
白露(はくろ)とは、日本の古い暦である二十四節気において秋に当たる季節です。中秋の名月や敬老の日など、秋におなじみの行事があるのも白露の時期です。この記事では、白露の時期はいつごろか、どのような意味があるのかを紹介します。
「白露」とは、1年を24に分けた暦「二十四節気(にじゅうしせっき)」の15番目の季節です。読み方は「はくろ」であり、毎年9月7日〜22日ごろに当たります。
白露は、草木に降りた露が白く輝いて見える時季です。二十四節気では、夏の暑さが落ち着く「処暑(しょしょ)」の次に白露を迎え、昼夜の長さがほぼ同じになる「秋分」へと移り変わります。夏から秋への季節の移ろいを感じるのが、この時期の特徴です。
二十四節気は太陽の動きをもとにした暦なので、白露の日付は年により若干異なります。2024年の白露は9月7日(土)〜9月21日(土)ごろです。また、この期間の初日に当たる9月7日のことを白露と呼ぶこともあります。
二十四節気において、白露は秋を6つに分けたなかでも3番目の季節。夏が過ぎ、秋が深まる気配を感じるころです。
白露を迎える9月上旬から中旬にかけては、日中はまだ暑さを感じるものの、朝晩は冷え込むようになります。昼と朝晩の寒暖差により大気中の水蒸気が水に変わるため、露が発生します。
涼しさを感じる空気のなかで、露が朝日に照らされてきらきらと光を放つ様子に、季節の移り変わりを感じるでしょう。
白露の時期には「中秋の名月」や「彼岸の入り」など、季節の行事があります。ここからは、白露ならではの行事や風習を見ていきましょう。
中秋の名月とは、旧暦8月15日の夜空に昇る月のこと。空気が澄んでいる秋は、夜の月が美しく見えます。そのため人々は古来より、中秋の名月に秋の収穫物を供えて豊作を感謝し、健康を願ってきました。
中秋の名月には「月見団子」をお供えします。月に似た丸い形の団子を積み上げるのは、収穫の感謝や健康長寿の願いを天へ届けるためです。また昔の人々は、供えた団子を食べることで月の力を得て、健康長寿の願いが叶うと考えていました。
彼岸とは、先祖を供養する期間を指します。春と秋の年2回あり、秋の彼岸は秋分の日を中心とした7日間とされています。「彼岸の入り」とは、秋の彼岸の初日のことです。
彼岸では、墓参りをしたりお供ものをしたりして先祖を供養します。秋の彼岸に、餅をあんこで包んだ「おはぎ」をお供えする人は多いでしょう。
おはぎは、夏から秋にかけて開花する萩の花を模して、俵形に作られます。また、あんこには粒あんを使用することも特徴です。
9月9日に迎える「重陽の節句」の読み方は「ちょうようのせっく」です。3月の桃の節句や5月の端午の節句とともに、五節句のひとつとされています。重陽の節句では、秋に美しく咲く菊の花を愛でながら、邪気を祓い無病息災を願います。
「菊酒」を飲み「栗ご飯」を食べるのが、重陽の節句の風習です。菊酒とは、菊の花を漬け込んで香りを移した日本酒のこと。菊酒を嗜み、秋に旬を迎える栗を使ったご飯を食べて、健康を祈ります。
「敬老の日」とは、高齢者を敬い感謝して、長寿を祝う日のことです。現在、敬老の日として国民の祝日に制定されているのは9月の第3月曜日ですが、かつては9月15日でした。
そもそも敬老の日は、兵庫県多可郡野間谷村(現在の多可町八千代区)の門脇政夫村長が提唱したもの。「老人を大切に、お年寄りの知恵を借りて村作りをしよう」という趣旨で、1947年9月15日に開催した「敬老会」が全国に広まったといわれています。
白露の時期は作物の収穫期にあたるため、おいしい食べ物がたくさんあります。白露に旬を迎える食べ物を知り、秋の献立に取り入れてみましょう。
秋刀魚は9月から10月にかけて旬を迎える、秋の味覚を代表する食材です。脂のりがよい秋刀魚を食べるなら、背中が盛り上がり、体に厚みがあるものを選びましょう。
目が澄んでおり、濁っていないもの、おなかが固いものはより新鮮です。また、尻尾を持つとぴんと立つ秋刀魚も鮮度がよいとされています。
太刀魚は名前の通り、太刀のように平らで細長く、銀色の体をした魚です。産卵期を迎える夏から秋にかけて旬を迎えます。
淡白な味わいの白身魚ですが、旬を迎えた太刀魚は脂がのり、うまみも強くなります。味わいをシンプルに楽しめる塩焼きはもちろん、ムニエルや煮つけ、天ぷら、竜田揚げにしてもおいしく食べられます。
かぼちゃは夏から秋にかけて収穫し、数ヶ月置くことで水分が抜けて甘みが凝縮され、おいしくなります。そのため、秋から冬がかぼちゃの旬といえるでしょう。
スーパーでは1年中見かけますが、冬から初夏にかけて販売されているものの多くは、ニュージーランドやメキシコから輸入されたもの。旬の時期には、ぜひ国産のかぼちゃを味わってくださいね。
なすの旬は初夏から秋とされており、旬のなかでも収穫時期により味わいに違いが見られます。夏のなすはみずみずしい一方、秋のなすは種が少なく実が締まっています。
紫色の皮は、色素成分であるアントシアニンが豊富です。紫外線の影響を軽減する効果があるため、夏の太陽光のダメージを受けた肌を労るために、皮ごと食べましょう。
ねっとりした食感が特徴的な里芋の旬は、秋から冬にかけて。中秋の名月は別名「芋明月(いもめいげつ)」と呼ばれます。収穫された里芋を、中秋の明月にお供えしたことに由来しています。
いも類のなかでは低カロリーで、食物繊維が豊富なことが特徴です。貯蔵性があり常温で1ヶ月ほど日持ちするので、煮物やポテトサラダなどにしておいしく食べましょう。
夏から秋にかけて旬を迎える梨は、主に和梨・西洋梨・中国梨の3種類に分けられます。和梨の形は丸く、「幸水」や「豊水」といった品種が知られています。西洋梨はひょうたん型をしており、「ラ・フランス」や「ル・レクチェ」などの品種が有名です。
独特なしゃりしゃりした食感は食物繊維に由来するもの。梨を食べて、食物繊維でおなかの調子を整えましょう。
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「七草」は春のものが有名ですが、秋にも七草があります。秋の七草は、歌人・山上憶良が詠んだ歌が由来とされています。秋の七草を知り、自然へ目を向けてみましょう。
秋の彼岸にお供えする和菓子「おはぎ」のモチーフになった植物です。夏から秋にかけて、紅紫色の鮮やかな花を咲かせます。
秋の七草では「ヤマハギ」という品種を指すとされていますが、ほかにもいくつかの品種があります。「ミヤギノハギ」は庭木として栽培されることも多く、萩は身近な植物といえるでしょう。
尾花とはススキのことを指します。中秋の名月の飾りものに欠かせない植物であり、風に穂を揺らしながら佇む姿に秋の訪れを感じるでしょう。
かつては屋根の材料に使われていたため、人家が集まる場所の近くにはススキを採集する「萱場(かやば)」がありました。ススキはイネ科の植物なので、イネ科の花粉症を持つ方は注意しましょう。
葛は野山だけではなく、街中の公園や空き地にも自生するつる性の植物です。8月末から9月にかけて、赤紫色をした房状の花を咲かせます。
風邪を引いたときに処方される「葛根湯(かっこんとう)」は、葛の根を使った漢方です。また葛の根から採取されるでんぷんは、料理や和菓子に使われる「くず粉」の原料にもなります。
秋の七草は「カワラナデシコ」という品種を指しますが、撫子の仲間は世界に300種も分布しているとされています。
カワラナデシコは先端に深い切り込みがある5枚の花びらを持ち、ピンクや紫、白色の花を咲かせることが特徴です。「大和撫子」という言葉があるように、撫子の佇まいからは可憐で上品な印象を受けるでしょう。
漢字の「女郎花」とは「女(おみな)を圧す(へす)」、つまり「きれいな女性を圧倒する」という意味を表します。名前の通り、小さくて黄色い花が多数集まった様子は存在感があります。
開花時期は6月から9月までと長期間。さらに花付近の茎まで黄色く、花が枯れても色が保たれるため、長く鑑賞できます。
夏の終わりから秋の初めにかけて、小さな藤色の花を房状に咲かせる植物です。藤袴の名前は、花びらが袴のような形をしていることから名づけられました。
河原や林に自生していますが、近年は環境の変化により減少して絶滅危惧種とされています。乾燥すると桜餅のような甘い香りを放つため、古くから香料として使用されてきました。
初夏から秋にかけて、真っすぐに伸びた茎の先端に、星型をした青紫色の花を咲かせる植物です。野山の草地に見られますが、近年は自生に適する環境が減少したため絶滅危惧種に指定されています。
桔梗の根を使用した漢方薬「桔梗湯(ききょうとう)」は喉の炎症を鎮め、痰(たん)を抑える作用があるとされています。
白露とは、二十四節気において9月ごろにあたる、秋の深まりを感じる季節です。中秋の名月や重陽の節句などの行事があります。
また、秋刀魚やかぼちゃなどの食べ物がおいしい季節でもあります。白露の風習や食べ物を生活に取り入れて、季節の移ろいを感じてみましょう。
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※商品情報や販売状況は2023年08月16日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。
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