ライフスタイル&ヘルス2024/7/27 更新
喪中にお正月を迎える場合、おせちを食べてもいいのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、喪中のおせち事情について解説します。喪中に食べてもいいもの、食べてはいけないもの、避けるべき正月行事など役立つ情報が満載です。
喪中におせちを食べてもいいかどうかについては、主にふたつの判断基準があります。ひとつは「伝統的な慣習にのっとる」、もうひとつは「信仰している宗教や宗派の考えにあわせる」です。
おせちは新年を祝う特別な料理。喪中はお祝いごとを控えるべき期間とされ、慶事の象徴であるおせちは食べないほうがいいとするのが伝統的な慣習です。
死生観は宗教や宗派によっても異なるもの。キリスト教や浄土真宗の場合は、喪中という概念自体がありません。そのため、お正月におせちを食べても問題ないとされています。
<キリスト教・浄土真宗の死生観>
・キリスト教......人の死は肉体が滅ぶことで、死後は生前の行いに応じた行き先がある
・浄土真宗......命を終えることは阿弥陀如来のお浄土に生まれていくこと
iStock.com/Liudmila Chernetska
「喪」とは故人の死を悼(いた)み、一定期間は行動を慎むという意味です。「喪に服す」ともいい、「喪中」とは喪に服す期間のことを指します。
古来より、神道では「死は穢(けが)れ」とされ、喪中は穢れが外に広まらないよう、お祝いごとへの参加は控え、行動をつつしむのが習わしでした。現代において「死は穢れ」という考えは浸透していませんが、喪中はお祝いごとを避けるという習慣は今に根付いています。
喪中の期間は一周忌が終わるまでとするのが一般的です。ただし、故人との関係性や宗教によっても喪中の長さは変わってきます。
<故人との関係性による喪中期間の目安>
・配偶者・子ども・子どもの配偶者・父母・義父母が亡くなった場合......12~13カ月
・兄弟姉妹・兄弟姉妹の配偶者・祖父母・孫が亡くなった場合......3~6カ月
親族が亡くなると「喪中の対象になるのか」と悩むかもしれません。その場合は関係の近さや遠さを表す「親等」に注目しましょう。喪中の範囲は2親等までの親族が亡くなった場合と考えるのが通例です。
<2親等までの親族の範囲>
・0親等......配偶者
・1親等......父母・義父母・子ども
・2親等......自分と配偶者の兄弟姉妹・兄弟姉妹の配偶者・祖父母・孫
喪中には「忌中」と呼ばれる期間があります。故人が亡くなった日を1日目とし、仏教(浄土真宗を除く)の場合は四十九日法要が終わるまでの49日間、神道は五十日祭が終わるまでの50日間のことです。忌中は特に行動を慎み、お祝いごとは一切避けるべき期間とされています。
喪中におせちは食べないほうがいいとされる一方、忌中を過ぎれば食べてもいいとの考えもあります。また「おせちを買ってしまった」「正月はおせちを食べたい」という場合もあるでしょう。喪中におせちを食べる際は、お祝いの意味を避け、普段の料理として食べることが大切です。
おせちを入れる重箱には「おめでたいことが重なるように」という意味合いがあります。喪中におせちを食べる際は重箱を使わず、お皿に盛り付けるとよいでしょう。喪中に重箱を使わないことは「悲しいことが重ならないように」という配慮でもあります。
お屠蘇(とそ)は、無病息災や長寿の願いを込めて元旦の朝に飲む祝い酒のこと。縁起物でもあるため、喪中は控えたほうがよいでしょう。一方、お酒には邪気払いの意味もあります。お屠蘇を朝ではなく夜に飲むことで、邪気払いの意味合いを強められます。
喪中におせちを食べる場合は、なるべく少人数に限定しましょう。親戚や友人を呼んで大勢で食べることは「めでたさ」を表すことになり、喪中には適しません。家族や身内だけといった最小限の人数にとどめ、おせちを普段の料理として食べるようにしましょう。
金箔はおめでたい印象を与えるアイテム。おせちにも金箔が振りかけられていたり、金色の飾りが入っていたりしますが、喪中にはふさわしくありません。また、お正月に使われる祝箸には紅白の水引や装飾が施されており、喪中に使うのはNGです。
おせちは縁起のよい食べ物の宝庫。喪中に避けたほうがよい縁起物の食べ物をご紹介します。
お祝いの席でもよく使われるのが、紅白の色の組み合わせです。めでたさの象徴である紅白の食材は喪中に使うのは避けましょう。かまぼこなら紅白ではなく白だけを用意し、なますはにんじんを使わずに大根だけで作るといった工夫が必要です。
おせちの定番である伊勢海老は長寿のシンボル。ひげが長く、腰が曲がっている伊勢海老は老人の姿にたとえられ、「腰が曲がるまで元気で長生きできるように」との願いが込められています。喪中は長寿と関連する食べ物は控えたほうがよいでしょう。
鯛は赤い色や「めでたい」との語呂合わせから、縁起物として広く使われます。おせちを華やかに彩る食材ですが、喪中にはふさわしくありません。喪中は故人を想い、哀悼の意を表す期間。お祝いごとに関連する食べ物は避けましょう。
「喜ぶ」との語呂合わせから縁起がよいとされる昆布巻き。昆布は「養老昆布(よろこぶ)」「子生(こぶ)」にも通じることから、不老長寿や子孫繁栄の意味があります。新年を祝うおせちには欠かせませんが、喪中は食べないほうがよいでしょう。
菊花かぶとは、かぶを菊の花の形に飾り切りし、甘酢に漬けた酢の物のこと。おせちでは小口切りした唐辛子をのせ、紅白仕立てにします。菊は長寿の象徴であり、かぶには健康を願うといった意味合いも。喪中には適さない食べ物といえます。
喪中でおせちが食べられなくても大丈夫。おせちの代わりになる正月料理をいくつかご紹介します。
ふせち料理とは、精進料理をベースとした喪中用のおせちのこと。お祝いごとを連想させる食材を使用していないため、喪中のお正月にはぴったりです。ネーミングの由来は、御節(おせち)の「御」を不祝儀の「不」に変え、「ふせち」にしたともいわれています。
雑煮はお正月の定番料理のひとつではありますが、現在では一般的な料理としても定着。雑煮自体にお祝いの意味合いはないため、喪中に食べても問題ありません。ただし、雑煮のなかに紅白のかまぼこや昆布など縁起物の具材を入れないようにしましょう。
年末に食べる年越しそばには、そばが切れやすいことから「一年の厄を切り落とす」、細長い形状から「長いものを食べて健康長寿を願う」といった意味があります。新年を祝う意味はないため、喪中に食べても問題ありません。
喪中のお正月に食べてもいい食材を一覧でご紹介します。おせちに使われるものも多いですが、お祝いに関連しない食材は食べてもOKです。
喪中で迎えるお正月。おせち以外にも、気をつけるべき正月行事について解説します。
お正月には新年のあいさつを交わす機会も増えるもの。「明けましておめでとうございます」というあいさつにはお祝いの意味があるため、喪中に使うのは避けましょう。喪中で新年を迎える際は「本年もよろしくお願いします」とあいさつするのが妥当です。
一般的には、喪中に神社へ初詣に行くのは控えたほうがよいとされています。ただし、神社によっては忌中でなければ問題ないとの考えもあり、気になる場合は神社の社務所に問い合わせてみましょう。お寺の場合は、喪中であっても初詣に行って大丈夫です。
喪中には正月飾りを控えるのが基本です。門松や鏡餅、しめ縄といった正月飾りは、新年に歳神様(としがみさま)を迎えるためのもの。また、旧年の無事を感謝し、新年をお祝いするという意味合いもあり、喪中にはふさわしくありません。
喪中の場合は、年賀状の代わりとして11~12月上旬頃までに「喪中はがき」を送るのがマナーです。年末に急に親族の不幸があった場合は、おおむね1月15日~1月下旬までに「寒中見舞い」を送り、新年のあいさつができなかったことをお詫びしましょう。
子どもたちにとって、お年玉はお正月の大きな楽しみです。喪中にお年玉を渡す際は、ポチ袋の選び方に注意。「明けましておめでとう」といったお祝いの言葉が書かれたものや紅白・金色を使ったものは避け、シンプルなポチ袋に入れて渡すようにしてください。
喪中におせちは控えたほうがよいとされ、おせちの代わりにふせち料理を利用するのも一案です。ただし、縁起物の食べ物を取り除いたり、喪中の概念がない宗教・宗派だったりする場合はおせちを食べても問題ありません。家々の事情に合わせて上手に選択してくださいね。
※商品情報や販売状況は2024年07月27日時点でのものです。
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