6月になると耳にする「入梅」とは何かご存じですか。「梅雨入りと同じ意味?」と思われる方も多いかもしれません。この記事では入梅とは何か、どんな意味があるのか、梅雨入りとの違いを含めて解説します。この時期ならではの旬の食べ物も要チェックですよ。

そもそも入梅とは?意味や時期

カレンダーの11日の枠に赤いピンが刺さっている様子

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入梅とは、暦の上で季節が移り変わる目印となる雑節(ざっせつ)のひとつです。雑節とは日本独自の暦で、入梅以外にも「節分」や「土用」、「八十八夜」などがあります。

入梅の読み方は「にゅうばい」で、入梅の「梅」とは梅雨のこと。入梅とは文字通り暦の上で「梅雨に入ること」を表わしており、入梅から約30日間が梅雨の時期となります。

入梅という言葉は、手紙を書く際の時候の挨拶としてもおなじみです。「入梅の候」とは「今年も梅雨入りの時期となりました」を意味し、6月上旬から中旬に使用されます。

ただし、北海道や小笠原諸島など梅雨のないエリアの方への手紙には入梅の候と書くのは控えるのがマナーです。

入梅は毎年いつ頃?

入梅は、太陽の黄道(地球からみた太陽の軌跡)上の位置を表わす黄経が80°に達する日と定められています。毎年6月11日頃が入梅ですが、日付は毎年異なります。

【2025~2030年までの入梅の日程】

・2025年の入梅......6月11日(水)
・2026年の入梅......6月11日(木)
・2027年の入梅......6月11日(金)
・2028年の入梅......6月10日(土)
・2029年の入梅......6月10日(日)
・2030年の入梅......6月11日(火)

入梅と梅雨入りの違い

ブルーのあじさいと雨に打たれた透明なビニール傘

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入梅と似たような言葉として「梅雨入り」があります。南北に長い日本の場合、梅雨入りする時期は地域によって1カ月ほど違いがあるのが現状です。

そのため、気象上の条件が整った際に、気象庁が地域ごとに梅雨入りしたことを宣言します。梅雨入り宣言とはいっても、実際は予報に基づいているため暫定的であり、あとで日付が変更されたり、宣言自体が取り消されたりすることもあります。

一方、入梅は太陽黄経が80°に達したときと定められているため、毎年正確な日付を割り出すことが可能です。その日に梅雨入りしているか否かには関係がなく、あくまでも暦の上での梅雨入りの目安の日ということになります。

入梅の行事食とは?どんな食べ物があるの?

竹ざるに山盛りになった青梅

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入梅と同じく雑節である節分には恵方巻を食べるのが定番です。入梅の場合、旬の食べ物を使った料理が行事食として親しまれています。代表的な旬の食べ物をご紹介します。

入梅の頃は青梅の出荷の最盛期。フレッシュな青梅を使って梅ジュースや梅シロップ、梅酒などを仕込む「梅仕事」は、この時期ならではの風物詩です。仕込んでから約2週間〜1カ月後には飲み頃になり、漬けたあとの梅はジャムやゼリーなどに再利用できます。

いわし

6月の入梅の頃に水揚げされる真いわしは「入梅いわし」と呼ばれ、一年のなかで一番脂がのっています。刺身にすると甘味やとろけるような脂をダイレクトに味わえ、ほかにも相性のよい梅と一緒に梅煮にしたり、揚げたり焼いたりするのもおすすめです。

あじ

あじは一年を通して獲ることのできる魚ですが、6~7月頃に旬を迎えます。この時期のあじは身丈こそ大きくはありませんが、脂がのって旨味があり、格別の味わいです。刺身やたたきで食べたり、塩焼きや南蛮漬け、あじフライにしたりと、さまざまな調理法で楽しめます。

あなご

あなごの旬は6~8月で、「梅雨あなご」「夏あなご」とも呼ばれます。脂が少なくあっさりとした味わいで、てんぷらにすると絶品です。淡泊な味わいが好まれる魚ですが、脂がのる10~12月のあなごを好む人も多く、あなごの旬は年に2回あるともいわれます。

さくらんぼ

6月に出荷のピークを迎える果物といえば、さくらんぼです。市場には国産のさくらんぼとアメリカンチェリーがほぼ同時期に出回ります。国産のさくらんぼは上品な甘酸っぱさが魅力で、アメリカンチェリーは黒っぽい赤色をしており、甘味が濃いのが特徴です。

しそ

ハウス栽培の普及により通年で出回ることの多いしそ(大葉)ですが、露地栽培の場合は6月が旬です。すっきりとした爽やかな香りが特徴で、刺身のつまやそうめんの薬味、てんぷらなどに使われるのが定番。赤じそは梅干しを漬ける際の色付けに欠かせません。

おくら

おくらはネバネバとした食感と切り口が星型をしているのが特徴的。ゆでておひたしや和え物などに使われますが、旬のはしりである6月のおくらは身がやわらかく生でも食べられます。うぶ毛やがくを取り、刻んでサラダに入れたり、冷奴にのせたりするのもおすすめです。

いんげん

いんげんは6~9月にかけて旬を迎えます。この時期のいんげんはみずみずしくシャキシャキとした歯ごたえが特徴で、おいしく食べるポイントは火を通しすぎないこと。さっとゆでてしょうが醤油で食べたり、ガーリックソテーにしたりと、シンプルに味わってみてはいかがでしょう。

入梅の時期を元気に過ごそう!

入梅は暦の上で「梅雨の時期に入る日」を表わしています。入梅の意味を知ると、雨が降っていなくても「そろそろ梅雨入りだな」と察することが可能です。季節の変わり目は体調を崩しやすい時期。旬の食べ物をいただいて英気を養い、元気に過ごしたいものですね。

※商品情報や販売状況は2025年03月18日時点でのものです。
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