暦を指す言葉である「半夏生」。聞いたことはあるけれど、どのような意味を持つのか、具体的にいつ頃の時期を指すのか知らないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、半夏生の意味や由来、おすすめの過ごし方や伝統的な食べ物について解説します。

半夏生とは。意味や由来

青々とした水田に植えられた青稲

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半夏生(はんげしょう)とは、中国から伝わった暦「七十二候」のひとつで、夏至から11日目の7月2日頃から七夕(7月7日)頃までの5日間のことです。また七十二候以外にも、雑節と呼ばれる日本の暦日のひとつでもあります。

半夏生は一年のうちで、昼の時間が一番長くなるのが特徴。昔から田植えは夏至から半夏生に入る前までの間に実施すると良いと考えられてきました。

半夏生の由来

半夏生という言葉の由来にはさまざまな説がありますが、「半夏=烏柄杓(カラスビシャク)」という薬草が「生える時期」を、半夏生と呼ぶようになったという説が有力です。

ほかにも半夏とは別に「半夏生」という植物の葉が、白く変化する時期からきているという説もあります。半夏生が葉っぱの色を変化させるのは、花が咲く時期。ちょうどこの時期が半夏生と重なることが由来と考えられています。

半夏生はいつ頃?

現在は「太陽黄経が100度を通過する日」を半夏生と定義しています。毎年同じ日程になるわけではなく、太陽の位置によって日程が前後するのが特徴です。

2025〜2030年までの半夏生の日程を、下記にまとめているのでご確認ください。

【2025年~2030年までの半夏生】

・2025年:7月1日(火)
・2026年:7月2日(木)
・2027年:7月2日(金)
・2028年:7月1日(土)
・2029年:7月1日(日)
・2030年:7月2日(火)

半夏生は何をする日?おすすめの過ごし方

たこの刺身

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半夏生の伝統的な過ごし方としては、田植えを終わらせて豊作を願ったり、たこやさばのような伝統食を食べたりするなどが挙げられます。特に農業を営む人たちにとっては大切な日。半夏生までに田植えを終わらせないと、その年の稲作の収穫量が半分ほどになると考えられています。

地域によっても、さまざまな行事や習慣があるので、お住まいの地域の半夏生の過ごし方について調べてみるのも良いでしょう。

半夏生の伝統食・食べ物

グレーの皿にのったさば

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半夏生は、地域によって食べられているものが異なります。ここでは、半夏生の伝統食・食べ物について地域とも絡めながら紹介していきます。どのように料理されているかについても、注目してみてくださいね。

たこ【関西】

主に関西地方では、半夏生にたこを食べる習慣があります。たこを食べるのは、田植えが終わり、稲が地にしっかりと根付くようにと願掛けをする意味が込められているためです。たこは吸盤のついた足が8本あることから、豊作につながると考えられています。

夏バテ予防や疲労回復の意味を込めて、食べるという方も多いようです。きゅうりと一緒に炒め物にしたり、たこ焼きを作ったりと、さまざまなアレンジを楽しめるでしょう。

さば【福井県】

福井県では、半夏生にさばを食べる習慣があります。福井県大野市では、江戸時代に大野藩主が田植えを終えたあとに夏に備えてさばを食べることを推奨していました。そのため、現在でも福井県の一部地域では、さばを食べる風習が残っています。

さばは水煮やみそ煮にしたり、ソテーや竜田揚げにしたりと、さまざまな料理にアレンジできますよ。ふっくらとやわらかな身で、お腹を満たしてくださいね。

小麦餅【奈良県】

奈良盆地を中心とする奈良県では、半夏生に小麦粉を使った餅が食べられることが多くあります。ちょうど小麦の獲り入れが終わるのが、半夏生の時期であることが理由。田植えも同じ時期に一段落するため、ゆっくりと餅を食べる風習が根付いていきました。

しょうゆやきな粉をつけて食べるのはもちろん、グラタンやピザ風にアレンジしたり、韓国料理のトッポギ風に変えたりしても面白いかもしれません。

うどん【香川県】

香川県はうどんで有名な地域のため、半夏生の時期にもうどんを食べる風習があります。田植えで疲れてしまった農民たちに、うどんを振舞ったことが始まりと考えられています。

現代でも、香川県周辺の地域では、うどんを振る舞う習慣が残っているのが特徴。半夏生の頃の7月2日は「うどんの日」と決められており、うどんに関するイベントなども開催されています。

半夏生は夏に備えて英気を養う大切な時期!

半夏生は、夏本番前に田植えを終わらせたり、たこやさばで英気を養ったりする大切な時期です。厳しい暑さを乗り越えられるように、きちんと準備しておきましょう。半夏生の時期は、伝統食を食べて季節の移り変わりを感じてみてくださいね。

※商品情報や販売状況は2025年03月26日時点でのものです。
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