ライフスタイル&ヘルス2025/3/26 更新
夏至とは、季節の話題のなかで年に一度は耳にする言葉ではないでしょうか。「夏至の意味は?」「いつ頃?」と問われると即答はむずかしいもの。この記事では夏至の基礎知識に加え、ゆかりのある食べ物や国内外の風習についても解説します。
夏至とは一年でもっとも昼の時間が長くなる日のことで、二十四節気(にじゅうしせっき)のひとつです。二十四節気は一年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらに各季節を6つに分割した暦のこと。それぞれに夏至や立春、秋分など季節を表わす言葉が付けられています。
夏至の読み方は「げし」。「日長きこと至る(きわまる)」という意味があり、日本を含む北半球では日の出から日の入りまでの昼の時間がもっとも長くなります。一方、南半球では一年のなかで昼の時間がもっとも短くなる日です。
夏至の時期は、太陽の黄道(地球からみた太陽の軌跡)上の位置を表わす黄経が90°に達する日と定められています。日付は年によって異なりますが、毎年6月21日か22日頃です。
夏至と同様、冬至(とうじ)も二十四節気のひとつ。冬至とは、日本を含む北半球では日の出から日の入りまでの昼の時間が一年のなかでもっとも短くなる日のことです。逆に、南半球では昼の時間が一年のなかでもっとも長くなります。
冬至の時期は太陽の黄道上の黄経が270°に達する日と定められ、日付は毎年12月21日か22日頃です。
夏至は一年でもっとも昼が長い日であるのに対し、冬至は一年でもっとも昼が短い日。また、夏至の時期は「夏に至る」という文字通り、夏が到来する6月21日か22日日頃ですが、「冬に至る」と書く冬至は冬の寒さが本格化する12月21日か22日頃です。
夏至と冬至は季節が異なるため、行事食や風習にも違いがみられます。
夏至には全国共通の行事食というものはありません。本格的な夏を迎えるにあたり、旬の食材を取り入れるのが一般的ですが、地域によっては夏至ならではの食べ物があります。
「冬の瓜(うり)」と書く冬瓜は、実は夏が旬の野菜です。夏至の頃、全国的に出回ります。水分を多く含み、あっさりとクセのない味わいが特徴的。スープや炒め物などいろいろな料理に使え、皮を薄めにむき、薄緑色をいかした翡翠(ひすい)煮などにするのがおすすめです。
関西では夏至にタコを食べる風習があります。マダコは地域によって旬が異なり、関西では夏が旬ですが、関東以北では冬が旬です。夏至は田植えの時期とも重なることから、「稲の根がタコの足のようにしっかり根付くように」という豊作の願いを込めて食べられます。
関東で夏至の食べ物といえば、新小麦の焼き餅があります。小麦と餅米を混ぜ合わせて作るため、別名は「小麦餅」。昔から米と小麦の二毛作をおこなう農家が多かったことに加え、餅米を使うことで「お餅のように何事も粘り強く」という思いが込められています。
京都では6月半ば頃から水無月という和菓子が登場します。三角形のういろうの上に煮小豆をのせて固めたもので、もっちりとした食感と上品な甘味が魅力。小豆の赤色には魔除けの力があると考えられていて、6月30日の「夏越(なごし)の祓」に水無月を食べ、残り半年の無病息災を祈る風習があります。
奈良では小麦と餅米を混ぜてついた餅にきな粉をまぶした半夏生餅が定番です。半夏生(はんげしょう)とは夏至から数えて11日目のこと。田植えが無事終わったことを神に感謝し、豊作を祈る行事「さなぶり」でお供えされたことから「さなぶり餅」とも呼ばれます。
愛知の一部地域では夏至にいちじく田楽を食べる習慣があります。いちじくの国内生産量トップを誇る愛知ならではのひと品です。いちじくは不老長寿の果物と称され、田楽は豊作を祈る田楽舞が起源。いちじく田楽には健康と豊作への願いが込められているのです。
福井の一部地域には夏至の行事食として「半夏生サバ」が根付いています。夏至から数えて11日目の半夏生に、竹串に刺した丸焼きのサバを食べるのが習わしです。かつて、藩主が農民の労をねぎらい、スタミナ源としてサバを食べることを奨励したことに由来します。
日本で夏至の風習といってもピンとこないかもしれませんが、夏至にまつわる行事は主に神社で執りおこなわれます。
日本で夏至におこなわれる行事といえば、三重・伊勢市にある二見興玉神社の夏至祭が知られています。
「伊勢参りは二見から」といわれ、二見興玉神社はお伊勢参りの最初に訪れるべき禊(みそぎ)の地。二見浦に近く、かつては禊浜(みそぎのはま)で心身を清めてから伊勢神宮に参拝するのが習わしでした。現代では二見興玉神社に参拝することが禊と捉えられています。
夏至祭は日の出前の早朝に祭典が執りおこなわれ、日の出とともに昇りゆく太陽を拝み、禊浜で禊をおこなうのが通例です。男性は鉢巻きとふんどし、女性は鉢巻きと禊着を着用して心身を清めます。
大祓とは神社で執りおこなわれる神事のこと。6月30日と12月31日の年2回あり、6月の大祓は夏越(なごし)の祓と呼ばれます。「形代(かたしろ)」という人型の紙を用い、知らず知らずの間についてしまった罪や穢れを祓い清めるのが目的です。
夏至の頃から6月末にかけては、多くの神社の神前に茅の輪(ちのわ)が立ちます。茅(ちがや)や藁(わら)を束ねて輪にしたもので、茅の輪をくぐることで罪や穢れを祓い、無病息災を祈願するのです。
海外では日本よりも夏至を重要な日として捉える傾向があります。国別のさまざまな風習をご紹介しましょう。
イギリスでは南西部ソールズベリー平原にある古代遺跡、ストーンヘンジの夏至祭が有名です。夏至前夜の日没前から夏至の日の出にかけて、多くの人が集い夏至を祝います。
ストーンヘンジは夏至の太陽が昇る方角に向けて巨石が環状に配されているのが特徴です。この地では古来より、夏至は太陽の聖なる力が最大になる特別な日と考えられてきました。
スウェーデンの夏至祭は夏のビッグイベント。毎年6月下旬の夏至に一番近い土曜におこなわれ、光に満ちた時期を家族や友人と一緒に過ごします。
夏至祭には豊穣と繁栄のシンボル、メイポール(白樺の木に花やリボンで飾り付けたもの)を立てるのが伝統。踊ったりご馳走を食べたりして、夏の訪れを盛大に祝います。
ポーランドでも夏至祭は夏の大事なイベントです。夏至の夜に女性が自ら編んだ花冠を川に流すと、それを拾い上げた男性と結ばれるという言い伝えが残されています。
夏至の日は各地で花火を打ち上げたり、夜空を幻想的なスカイランタンで彩ったり、川に巨大な花冠を浮かべたり。各地でそれぞれに夏の到来を祝うのです。
ドイツでも各地で夏至祭が開催されます。焚火を囲んで太陽の恵みを祝う風習があり、夏至の祝い火は落雷除けや魔除け、牛疫(ぎゅうえき)除けになると考えられてきました。
夏至祭には屋台が出て、ビールやソーセージ、プレッツェルなどを楽しむのが恒例です。地域によっては生バンドの演奏や花火の打ち上げなどもあり、にぎやかに夏至を祝います。
夏至は一年でもっとも昼の時間が長くなります。仕事が終わっても明るかったり、ついつい寄り道をしたくなったり、日が長いとなんだか得した気分になるから不思議です。季節が移り変わるなか、夏至という太陽の恵みに満ちた時期を満喫しましょう。
※商品情報や販売状況は2025年03月26日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。
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