こどもの日の食べ物といえば「ちまき」や「柏餅」が定番ですが、じつはほかにも特色のある料理が食べられているのをご存知ですか?どのメニューにも由来や込められた意味があり、知れば知るほど奥深いもの。豆知識として披露しても、喜ばれるかもしれません!

「こどもの日」とは

青空にたなびく黒・赤・青・緑のこいのぼり

iStock.com/gtlv

国際連合(国連)が制定した「世界の子どもの日」にならい、日本では毎年5月5日に制定されている「こどもの日」。もともとは「端午の節句」と呼ばれ、男児の成長を祝う行事をおこなう日でした。祝日法2条では、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸せをはかるとともに、親に感謝する日」と決められています。

ゴールデンウィーク中の国民の祝日でもあるため、老若男女問わず楽しみにしている方は多いのではないでしょうか。こいのぼりが空にたなびく姿は、初夏の風物詩としても親しまれていますね。

こどもの日の代表的な食べ物は?

ちまき

かごに入ったちまきと、赤・金色の折り紙かぶと

iStock.com/Promo_Link

「ちまき」は、もち米やうるち米などを葉でくるみ、蒸したりゆでたりして作ります。味付けはさまざまで、砂糖で甘味を付けている場合や、食べる直前にきな粉やしょうゆをかけることも。おもに関西を中心に食べられている、こどもの日の伝統食です。

夕焼けで色づいた中国の川

iStock.com/ARUBA48

「ちまき」が5月5日に食べられるようになったのは、古代中国の「屈原(くつげん)」という詩人にまつわる故事に由来します。政治に携わり人望も厚かった彼は、一部の者の反感を買ってしまい、陰謀によって川へ身を投じることに。その日が5月5日で、命日になると人々は彼の死を悼み、お供え物を川に投じるようになりました。

ところが川には悪い龍が住んでおり、屈原のもとにお供えものは届きません。そこで邪気を払うといわれる煉樹(れんじゅ)の葉でもち米を包んだものを作って投げ入れるようになったのが、「ちまき」のルーツです。しだいに5月5日は「屈原のように立派な大人になってほしい」という願いを込めて、こどもに「ちまき」を食べさせる日となりました。現代では煉樹と同じく邪気を払うといわれる笹や茅の葉で包むのが定番です。

柏餅

木のお盆に乗ったお茶と柏餅。お茶のお盆の下にはこいのぼりが敷かれている。

iStock.com/karinsasaki

ちまきと同じくらい食べられている「柏餅」。餅であんこを折りたたむクレープタイプか、餅であんこを包む大福タイプであることが多く、中身は、こしあん・つぶあん・みそあんの3種類が基本です。

柏餅が子どもの日の行事食として食べられるようになったのは、江戸時代の頃。柏の木の新芽が出るまで古い葉を落とさないという性質から、「家系が途切れない・子孫繁栄」の象徴とされ定着しました。

地域ごとに存在する行事食も

北海道・青森県「べこ餅」

残雪の山々と、牧草を食べる牛

iStock.com/gyro

山形県のくじら餅がルーツといわれる「べこ餅」は、北海道のこどもの日には欠かせない行事食です。黒糖入りの黒い餅と白い餅を合わせ木の葉の形にするのが定番ですが、なかには渦巻き模様やお手玉型にしたものも。白黒の色合いが「べこ(=牛)餅」に似ていることや、黒糖部分がべっ甲のような色に見えることから、この名前が付いたといわれています。

青森県のべこ餅は、断面に花や束ねた草のような模様が施されているのが特徴的です。最近では動物やキャラクターなど、複雑な模様を施した「デコ餅」と呼ばれるものも。着色したもちを重ね、金太郎飴の要領で作られています。

新潟県「笹団子」

白い皿にのった4つの笹団子

iStock.com/y-studio

笹には邪気払いの力があると信じられてきたことから、新潟土産の定番「笹団子」もこどもの日の行事食として有名。あんこを包むものが主流ですが、一部の地域ではひじき・きんぴら・野菜の煮物などのお惣菜を入れたものも食べられています。

昔の中国では5月は病が流行りはじめる縁起の悪い月とされ、さらに5が重なる5日は悪日として厄払いをする習慣があったそう。この日はちょうど新潟では田植え前の体を大事にする期間にあたります。栄養素が豊富なヨモギ入りのもちを使う笹団子は、健康食としてもうってつけの食べ物でした。

長崎県「鯉菓子」

滝を登って龍に変身したという伝説のある鯉にちなんで、長崎県では「鯉菓子(こいがし)」を食べます。鯉をかたどった餅のなかに、あんこがギッシリ入っているのが定番。最近では甘いものが苦手な方でも食べやすいよう、パイやかまぼこで作るタイプもあります。

縁起物や、こいのぼりをモチーフにした食べ物も人気

青い皿にいろいろな刺身が盛り付けられている

iStock.com/yukimco

「勝男」と書くこともできる「カツオ」や出世魚の「ブリ」も縁起がよく、こどもの活躍を祈り食べられています。同じく縁起物のレンコンやタケノコと合わせ華やかなちらし寿司にしたり、シンプルにカルパッチョやお刺身にしたりと、幅広いメニューに使える食材です。

赤と緑の折り紙で作った兜

iStock.com/Hana-Photo

無病息災と強さへの願いを込めて飾る「兜」をモチーフにしたメニューもおすすめ。春巻きや餃子の皮でタネを包んで作るものなら、こどもと一緒に楽しみながら調理できますよ。あんこやフルーツなどを包んでデザートにするのもおすすめです。

こいのぼりをモチーフにしたケーキやサンドイッチなど、SNSには素敵なアイデアがずらり。伝統色ではなく、新しいアイデアでこどもの日の料理を楽しむのも素敵ですね。

願いを込めたメニューでお祝いしよう!

ちまきや柏餅のような伝統食をはじめ、地域色のあるものや最近の定番など、こどもの日にまつわるさまざまな食べ物をご紹介しました。すこやかな成長を願う、一年に一度のこどもの日。ぜひおいしい料理と一緒に楽しんでみてください。

※商品情報や販売状況は2022年03月12日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。