近頃ではすっかり節分の行事食として定着した「恵方巻き」。節分に食べることにはどのような意味があるのか、ご存知ですか?いつごろから始まった習慣なのか、食べるときに恵方を向くのはなぜなのかなど、この記事では恵方巻きにまつわるあれこれをご紹介します。

恵方巻きとは?込められた意味や願い

板皿に盛られた恵方巻きの右側に柊の葉、左側に鬼の面、奥に五色豆入りの枡がある様子

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恵方巻きとは、立春の前日である節分に、縁起を担いで食べる巻き寿司のこと。

日本では古くから季節の変わり目には邪気(=鬼)が入りやすいと言われており、鬼を祓い、福を呼び寄せる「豆まき」が節分の行事として定着しています。同じ節分に食べる恵方巻きにも、"幸運を呼び寄せ、新しい年をよい一年にしたい"という意味や願いが込められているのです。

恵方巻きの具材に意味や決まりはある?

まな板の上にのっている海鮮の恵方巻き

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恵方巻きは、七福神にあやかり7種の具材を入れるとよいとされていますが、「これでなければならない」という決まりはありません。最近ではマグロやサーモンなどの海鮮、唐揚げやとんかつなどの揚げ物が入った豪華な恵方巻きも人気。一般的な太巻き寿司に用いられる縁起のよい具材と、好みのものを組み合わせて楽しむ人が増えています。

恵方巻きの定番・基本の具材

恵方巻きに入れられることが多い縁起のよい具材と、それぞれが持つ意味を以下にまとめました。店頭に並ぶ恵方巻きを選ぶとき、あるいは手作りをするときには、ぜひ参考にしてください。

・うなぎ、穴子......長い姿が「長寿」を連想させる

・だし巻き卵、伊達巻......黄色が「財運」を、巻物のような形が「知性」を象徴

・きゅうり......「九利(9つの利益)をもたらす」という語呂合わせ

・桜でんぶ......材料に使われる""が「めでたい」につながる

・かんぴょう......長細い形から「健康長寿」の意味や、結んで使うことが多いため「縁結び」の意味も

・えび...... "紅白"の色から「おめでたいもの」、腰が曲がった姿から「長生き」を連想

・しいたけ......"神様へのお供え物"とされている縁起物

恵方巻きの食べ方・食べ方に込められた意味

巻きすの上に恵方巻きが置いてありお茶と花が添えられている様子

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恵方を向いて食べる

恵方巻きは、その年の「歳徳神(としとくじん)」がいらっしゃる方角「恵方」を向いて食べるのが吉とされています。歳徳神とは"年神様"とも呼ばれ、日本では古くから親しまれている神様のこと。「何事も恵方を向いておこなえばご利益が得られる」と言われており、節分の太巻き寿司も恵方を向いて食べるようになったと考えられています。

恵方は暦によって毎年変わるため、注意が必要です。前もって調べておけば食べるときに慌てずに済みますよ。スマートフォンのコンパスアプリや、恵方アプリを活用するのがおすすめです。

切らずにまるごと1本食べる

恵方巻きは切り分けず、まるごと1本食べましょう。切らずに食べるのには、"よいご縁を切らない"、"幸運が途切れない"などの意味があると言われています。また1本食べ切るのには、"巻き込まれた具材(=福)を逃すことなく取り込む"という意味合いも。

何人かで食べるときは切り分けずに済むよう、ひとりにつき1本を用意してくださいね。小さいお子様やご高齢の方には、細めで食べやすい長さのものを準備するのがおすすめです。

無言で食べる

恵方巻きには福が巻き込まれており、食べている途中でしゃべると体の中に取り込んだ福が口から外へ逃げてしまうと言われています。また願い事をしながら黙々と食べることで、願いが叶うとも言われていますよ。

家族やお友達と一緒に食べる場面ではつい会話をしたくなりますが、まるごと全部食べ終わるまでは我慢。静かに黙って1本を食べ切り、おしゃべりはそのあとにゆっくり楽しみましょう。

恵方巻きの発祥と歴史

家内安全や商売繁盛祈願の金俵や小判、招き猫、お多福の面が飾られている様子

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恵方巻きの起源は諸説ありますが、そのなかのひとつ「大阪が発祥である」との説をご紹介します。

江戸時代末期、大阪・船場の商家には、節分に太巻き寿司を丸かぶりして"家内安全"、"商売繁盛"を祈願するという習わしがありました。明治になるとその地域の一般家庭にも浸透し、やがて全国に広まっていったという説です。当時は「恵方巻き」という名称ではなく、「丸かぶり寿司」「節分の太巻き寿司」と呼ばれていたようですよ。

全国に広まったきっかけ

恵方巻きが全国的に広まったのは、大手コンビニチェーンが、節分の行事食として売り出したことがきっかけとの説が有力です。「恵方巻き」の名で販売されるようになったのも、このときが始まりであると言われています。コンビニでのヒットに注目した全国チェーンのスーパーや百貨店がこぞって販売を始め、"節分には恵方巻きを食べる"という風習が定着していきました。

意味や願いが込められた恵方巻きを楽しく食べよう

毎年節分になると、スーパーやコンビニの店頭に所せましと並べられる恵方巻き。意味や歴史などに思いを馳せながら食べると、また違った味わいを感じられるかもしれませんね。一年の幸運を願い、楽しくおいしく恵方巻きをいただきましょう。

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※商品情報や販売状況は2024年01月08日時点でのものです。
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