節分に欠かせない食べ物といえば「恵方巻き」。福をもたらすとされる方角、いわゆる「恵方」を向いて食べる理由をご存じですか?この記事では、恵方の意味や決め方を詳しく解説。さらに、恵方巻きの具材と食べ方のルールについてもご紹介します。

節分に食べる恵方巻きの方角を知ろう!

巻きすに3本の恵方巻きが置かれ、奥に豆が添えられている。

iStock.com/Wako Megumi

節分が近づくと毎年発表される恵方。「誰が決めているのだろう?」と思ったことはありませんか。この記事では、恵方巻きを食べるときの方角について解説します。

あわせて、具材の意味や食べるときのルールなど、恵方巻きに関する知識をたっぷりお届けするので、ぜひ次回の節分の参考にしてくださいね。

そもそも節分とはどんな行事?日時や行事内容

節分とは、季節の分かれ目のことです。昔は立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前日を節分と呼んでいましたが、現在では立春の前日のみを節分と呼んでいます。通常は23日が節分にあたりますが、うるう年の関係で稀に22日や4日になる年も。

節分の目的は邪気を追い払うこと2月の上旬はまだ寒さが残り体調を崩しやすい時期です。節分に豆をまくのも邪気(鬼)を追い払うためで、豆は「魔滅(=まめ、魔を滅する)」を意味すると考えられています。

豆まきをおこなう以外にも、節分には無病息災や福を呼び込むなどの願いを込めて、恵方巻きやそば、けんちん汁など縁起の良い物を食べる風習があります。

節分の「恵方巻き」とはどんな食べ物?

お盆に3本の恵方巻きが置かれ、手前に赤鬼の面が添えられている。

iStock.com/akiyoko

恵方巻きは、節分の日に食べる太巻き寿司のことをさします。一般的に使われる具材の数は全部で7種類。「恵方」という方角を向いて、黙って恵方巻きを1本丸ごと食べることで「幸運に恵まれる」といわれています。

恵方巻きの「恵方」の意味。どうやって決める?

北の方角を指したコンパス。

iStock.com/mrgao

恵方とは、歳徳神(としとくじん)という神様がいる方角のこと歳徳神はその年の金運や幸せを司る神様のことで、年徳、年神様、正月様など、さまざまな呼び方があります。

この歳徳神がいる場所はとても縁起の良い方角であり、かつては節分の恵方巻きを食べるときだけでなく、初詣も恵方の方角にある神社にお参りするなど、恵方が人々にとって身近な存在でした。

毎年の「恵方」の決め方

実は、恵方の方角は基本的に「東北東」「西南西」「南南東」「北北西」の4つしかありません。

これら4方向と「十干(じっかん)/甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)」を組み合わせることでその年の恵方が決まります。十干とは古代中国の思想で作られたもので、暦の表示などに用いられています。

十干と方角の関係性は下記のようになります。

・甲(きのえ)、己(つちのと)の年......東北東
・乙(きのと)、庚(かのえ)の年......西南西
・丙(ひのえ)、辛(かのと)、戊(つちのえ)、癸(みずのと)の年......南南東
・丁(ひのと)、壬(みずのえ)の年......北北西

2023年以降の恵方を一覧でチェック!

では、具体的に2023年~2027年までの恵方を確認してみましょう。

・2023年......南南東
・2024年......東北東
・2025年......西南西
・2026年......南南東
・2027年......北北西

恵方は毎年誰か偉い人が決めているのではなく、先ほどご紹介したルールに則って決まります。恵方の方角を確認するにはコンパスを使うといいでしょう。最近では方角を確認するアプリもありますよ。

恵方巻きの由来・発祥・歴史

紺色のテーブルクロスに、3本の恵方巻きと、豆の入った枡が置かれている。

iStock.com/Wako Megumi

恵方巻きの発祥

恵方巻きが食べられるようになったのは、江戸時代から明治時代にかけてのこと。大阪の花街で、芸子や商人たちが商売繁盛や無病息災を願って食べていたといわれています。当時は「太巻き寿司」や「丸がぶり寿司」と呼ばれていました。

恵方巻きが広まった経緯

今では日本中で広く知られる恵方巻きですが、全国的に有名になったのは意外と最近のことです。

1989年に広島県のとあるコンビニエンスストアが節分に太巻き寿司を販売したことがきっかけでした。「恵方巻き」と名付けられた巻き寿司は瞬く間に人気となり、全国のスーパーやデパートでも節分に販売されるようになったのです。

恵方巻きの具材には決まりがある?

酢飯の上に、海鮮ときゅうり、大葉が並べられている。

iStock.com/kazuhide isoe

恵方巻きは7種類の縁起の良い具材を巻くといいとされていますが、これは「七福神」に由来したものです。七福神とは、大黒天、毘沙門天、恵比寿天、寿老人、弁財天、福禄寿、布袋といった、福をもたらす神様の総称。

7種類の具材を入れて巻くことで「福を巻き込む」、食べることで「体内に福を取り込む」という意味があります

一般的な具材の種類とその意味

・かんぴょう......細くて長いので「長生きする」という意味を持つ

・えび......目玉が飛び出ていることから、語呂合わせで「めでたし」といわれる縁起物。曲がった腰と長いひげは「長寿」を表しているとも

・伊達巻、だし巻き、厚焼き卵......卵の黄色い色は「財の豊かさ」や「金運」を意味する

・うなぎ、あなご......体が長いことから「長寿」を表すとされている。また「うなぎのぼり」といわれるように「出世」や「上昇」といった意味も

・きゅうり......「きゅう(9)」と「り(利)」の語呂合わせから、「9つの利」をもたらすとされている

・しいたけ......古くから神様のお供え物とされた縁起物。また「かさ」の形が陣笠に似ていることから「身を守ってくれる」という意味を持つ

・桜でんぶ......原材料の鯛は、語呂合わせで「めでたい」といわれる縁起の良い食材

上記7つが定番とされる具材ですが、家にある食材や好みのものを使って恵方巻きを準備しても問題ありませんよ。

たとえば、生のまぐろやサーモン、えびを入れる豪華な海鮮恵方巻きは近年話題です。またクリームチーズや生ハム、アボカドを使った洋風恵方巻きも人気。あっさりとした味わいがお好みの方は、カニ風味かまぼこやツナ、レタスを巻いたサラダ巻きもおすすめです。

恵方巻きの食べ方・ルール

女の子が恵方を向いて恵方巻きを食べようとしている。

iStock.com/hanapon1002

ひとり1本恵方巻きを用意し、切らずに食べる

恵方巻きを食べるときは、切らずにひとりで丸ごと1本食べるのが良いと考えられています。この理由は、一気に食べることでその年の幸運を逃さないようにするため。また恵方巻きを切り分けることは「福や縁を切る」という意味もあるとされています。

しかし、大きな恵方巻きであれば大人でも1本食べ切れないことがあります。全部食べられるか心配な場合は、小さいサイズの恵方巻きを家族の人数分準備するのがおすすめです。

恵方を向いて食べる

「恵方巻き」と呼ばれるように、その年の金運や幸せを司る神様がいる恵方を向いて食べると縁起が良いといわれています。恵方巻きを食べている間はよそ見をせずに食べることが重要です。途中で別の方向を見ると、ご利益を得ることができないと考えられていますよ。

願いごとをしながら、黙々と食べる

恵方巻きを食べる間は、自分の願いごとを思い浮かべながら無言で食べましょう途中で話をすると「福が逃げる」といわれています。とくに食べ終えるまでの時間制限はないので、焦らずにゆっくりと食べてください。

恵方巻きを食べて幸運をゲット!

節分に関する縁起の良い食べ物として広く親しまれている恵方巻き。福をもたらすとされる方角や使われている具材にはちゃんと意味がありました。恵方巻きについて詳しくなると、次回の節分の食事が楽しみになりますね。

※商品情報や販売状況は2022年10月25日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。