夏になると「土用の丑(うし)の日」がいつなのか、何となく気になりませんか?土用の丑の日は夏の風習だと思われがちですが、実は夏以外の時期にも存在するのです。この記事では土用の丑の日はいったいいつなのか、その由来などについてご紹介します。毎年土用の丑の日をチェックしている方もそうでない方も、ぜひ参考にしてくださいね!

「土用の丑の日」はいつ?時期や内容をチェック

ストライプのランチョンマットの上に一人前のうな重、箸置きに置かれた1膳の箸

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日本では夏の土用の丑の日にはうなぎを食べるという風習があります。そのため「土用の丑の日」と聞けば真っ先にうなぎを思い浮かべる方も多いはず。

しかしそもそも「土用の丑の日」はいつなのか、どんな意味があるのかよくわからないという方も多いでしょう。そこでこの記事では、土用の丑の日の時期や由来、うなぎとの関係などについて詳しく探っていきます!

「土用の丑の日」はいつからいつまで?

軒先にかけられた1本の風鈴

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「土用」と「丑の日」

土用の丑の日がいつなのかを理解するために、まず「土用」と「丑の日」の言葉の意味を考えてみましょう。

「土用」とは、日本の季節の変わり目の目安となる「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前の約18日間、計約72日間を指します。

そして「丑の日」は土用の各期間中にある「丑の日」のことです。丑の日の「丑」は十二支からきたもの。昔の暦では年月日を干支で表していたため、丑の日は定期的に訪れるのです。

つまり立春〜立冬の前の各18日間に訪れる丑の日が「土用の丑の日」ということになります。

「土用」は春夏秋冬にある

前述のとおり、立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日の期間中にある丑の日が土用の丑の日です。一般的には夏にあたる期間を「土用の丑の日」と呼ぶことが多いのですが、春夏秋冬どの季節にも土用の丑の日は存在します。

また丑の日自体は定期的に訪れるため、各期間に1日とは限らず2回あることも。その場合、1度目の丑の日は「一の丑」、2度目の丑の日は「二の丑」と呼ばれます。

夏の土用の丑の日にはうなぎを食べる風習がありますが、この期間に2回ある場合は初めの丑の日(一の丑)にうなぎを食べることが多いようです。

具体的な日付は?

2023年の土用の丑の日
1月19日、1月31日、4月25日、7月30日、10月22日、11月3日

2024年の土用の丑の日
1月26日、4月19日、5月1日、7月24日、8月5日、10月28日

2025年の土用の丑の日
1月20日、2月1日、4月26日、7月19日、7月31日、10月23日、11月4日

土用の日は毎年変わるため、土用の丑の日も年によって異なります。立春が2月4日ごろ、立夏が5月5日ごろ、立秋が8月7日ごろ、立冬が11月7日ごろであることを考えれば、確かに丑の日が2日訪れる期間も出てきますね。2024年、2025年は夏の土用の丑の日が2回訪れます。

「土用の丑の日」はいつから始まった?うなぎを食べる意味・由来

串打ちされたうなぎの切り身を持ち、炭火で焼く

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一見すると、土用の丑の日とうなぎを食べることとは無関係のように感じますよね。いったいいつから土用の丑の日にうなぎを食べるようになったのでしょうか。夏にうなぎを食べるようになった背景も含め、土用の丑の日とうなぎの関係について見ていきましょう。

【奈良時代】夏バテ防止のために食べられていた

日本最古の和歌集である「万葉集」には、夏バテで痩せてしまった知人にうなぎを食べるように勧めている歌が詠まれています

奈良時代に完成した万葉集には、飛鳥〜奈良時代様子をうかがい知ることのできる歌が多数収められています。つまり、この時代にはすでにうなぎが夏バテによい食材であることが知られていたということになるでしょう。

【江戸時代】「土用の丑の日」に「うなぎ」が定着

かなり古くから夏にうなぎが食べられていたことがわかりましたが、土用の丑の日にうなぎを食べることが定着したのは江戸時代だといわれています。

当時は天然物のうなぎがほとんどで、その旬は冬。夏にはうなぎが売れませんでした。そんなうなぎ屋を助けるために、土用の丑の日に宣伝を打ち繁盛させたのが江戸中期に活躍した学者「平賀源内(ひらがげんない)」であるといわれています。

また、神田和泉橋通りにあるうなぎ屋「春木屋善兵衛」にまつわる一説も有名です。大量のうなぎのかば焼きの注文を受けた春木屋は、子(ね)の日、丑の日、寅(とら)の日と3日間にわたってかば焼きを焼き、納める日まで蔵に保管しました。そうしたところ丑の日に焼いたうなぎだけが傷んでいなかったことから、土用の丑の日にうなぎを食べる風習が生まれたともいわれています。

「土用の丑の日」に食べる "うなぎ以外の食べ物"

ざるに入ったしじみのアップ

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夏の土用の丑の日の食べ物といえばうなぎですが、それ以外にも食べられているものがあります。夏を元気に過ごすための、うなぎ以外の食べ物について見ていきましょう。

土用しじみ

しじみの旬は夏と冬の2回。そのうち冬のしじみは「寒しじみ」、夏のしじみは「土用しじみ」とも呼ばれています。コクのある旨みを味わえる寒しじみに対し、産卵期前で身が大きくプリプリの食感を楽しめるのが土用しじみです。

しじみは健康によい食材としても知られており、特にうなぎ同様夏バテ防止にはぴったりの食べ物です。

土用卵

土用の期間に生まれた卵は「土用卵」と呼ばれ、精のつく食べ物であると考えられています。そもそも卵は栄養たっぷりなうえにいろいろな料理にアレンジしやすく、食欲のない夏でも取り入れやすい食材です。

土用の丑の日は、精のつくうなぎと卵で「う巻き卵」などはいかがでしょうか。

土用餅

土用餅は、土用に食べるあんで包まれた餅のこと。食べると力がつくとされる餅を、厄(やく)除けの意味がある小豆から作られるあんこで包んだ土用餅には、夏の暑さに負けないようにという願いが込められています。

主に北陸地方や関西地方では、土用にこの餅を食べる風習が残されていますよ。

「う」が付く食べ物を食べることも

もともと日本には、夏の暑さに負けないために夏の土用の丑の日に「う」のつく食べ物を食べる風習がありました。夏バテ防止に効く「う」のつく食べ物には、どんなものがあるのでしょうか。

うどん

のどごしがよく食べやすいうどんは、食欲が落ちてしまいがちな夏にぴったりの食材。

消化もよく、冷たい食べ物で弱りがちな胃腸にやさしいうえにエネルギー補給もできるうどんは、暑い夏を元気に過ごすために欠かせません。

梅干し

暑さで失われてしまった食欲を復活させるには、梅干しの酸味がうってつけ。食欲を刺激するだけでなく、さっぱりと食べられるのもポイントです。

和えものやそうめんのつゆ、パスタやチャーハンなどいろいろな料理に活用してみてくださいね。

ウリ

瓜(ウリ)の仲間には胡瓜(きゅうり)や南瓜(かぼちゃ)、冬瓜(とうがん)、苦瓜(にがうり:ゴーヤ)、西瓜(すいか)などがあります。

ウリ科の野菜は水分が豊富。体の熱を冷ますといわれているため、夏にぴったりの食材です。

牛肉・馬肉(うし・うま)

牛肉や馬肉も「う」のつく食べ物とされています。牛肉や馬肉などの肉類は栄養が豊富。精がつく食べ物としてのイメージもあり、土用の丑の日に食べるのにもうってつけです。

焼肉やステーキ、馬刺しなど夏を乗り切るためのスタミナ源として食べたい食材ですね。

土用の丑の日は季節ごとに年に数回ある!

一般的には夏の暑さに負けないために、精のつくものを食べる風習として続く「土用の丑の日」。しかし実際には土用の丑の日は春夏秋冬季節ごとに存在します。今年の土用の丑の日にはうなぎをはじめ「う」のつくものを食べて、暑い夏を元気に過ごしましょう。

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※商品情報や販売状況は2023年05月19日時点でのものです。
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