ライフスタイル&ヘルス2025/3/27 更新
夏の節目におこなわれる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、無病息災を願う日本の伝統行事です。この記事では、夏越の祓とはどんな行事なのかをはじめ、夏越の祓がおこなわれる全国の神社も紹介します。季節の変わり目となる大事な行事なので、ぜひチェックしてみてください。
夏越の祓は、一年の前半を締めくくる6月30日前後におこなわれる神事のこと。聞きなれない人も多いかもしれませんが、読み方は「なごしのはらえ」です。
知らず知らずのうちに身に付いた罪や穢れ(けがれ)を祓い、残りの半年の無病息災を祈願することを主な目的としています。全国の神社で神職による儀式がおこなわれ、参拝者は「茅の輪くぐり」などの行事に参加することが可能です。
「夏越の祓」の由来は、6月と12月の年に2回おこなわれていた古代日本の宮中行事「大祓(おおはらえ)」までさかのぼります。大祓は、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の禊祓(みそぎはらい)を起源とした、心身の穢れや厄災を祓い清める神事でした。
このうち6月の神事を「夏越の祓」、12月の神事を「年越しの祓」と呼びます。長い歴史のなかで一時途絶えたこともあったようですが、のちに民間にも伝えられ現代の形になりました。
「夏越の祓の目的や由来はわかったけど、現代では具体的にどんなことをするの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。ここでは、夏越の祓の主な風習を紹介します。
「茅の輪(ちのわ)くぐり」は、夏越の祓の中心的な行事です。茅(ちがや)という植物で編まれた大きな輪をくぐって半年間の穢れを祓い、これから迎える夏の厳しい暑さや病気から身を守るという意味が込められています。
くぐり方には決まりがあり、「左・右・左」と8の字を描くように3回まわるのが正式な作法です。神社によっては茅の輪を模したお守りやミニチュアも取り扱っており、一年の厄除けとして玄関に飾る家庭もあります。
「人形(ひとがた)」と呼ばれる紙を使ったお祓いも、夏越の祓の風習のひとつです。人形に自分の名前と年齢を書き、体を撫でたり息を吹きかけたりして、自身の穢れを紙に移します。穢れを移した人形を神社に納め、川に流す・あるいはお焚き上げをして清めてもらったら終了です。
ちなみに、紙ではなく藁(わら)などで「人形」をつくる地域もあります。神社によって人型の素材ややり方が異なる場合があるので、申し込みをしたところに従っておこないましょう。
近年では、「夏詣(なつもうで)」という新しい風習も広まりつつあります。これは、年始の「初詣」と対になる形で、一年の後半を迎える前に神社に参拝し、感謝と祈願を込める行為です。半年の無事を感謝し、これからの半年間の健康と平穏を祈る大切な機会とされています。
夏詣の際には、茅の輪くぐりや人形のお祓いに加え、夏ならではの御朱印や限定のお守りを授かる神社もあり、若い世代からも注目されているようです。風鈴や灯籠を使った演出をしているところもあるので、夏らしさを体験したい人はぜひ訪れてみてください。
夏越の祓には、無病息災や厄除けを願う意味を込めた伝統的な行事食があります。いくつか代表的なものを紹介するので、ぜひ取り入れてみてください。
水無月(みなづき)は、白いういろう生地に小豆をのせ、三角形に切り分けた和菓子です。暑気払いと無病息災を願って、古くから夏越の祓に食べられてきました。
つるんとした食感とほんのり甘い味わいが特徴で、見た目にも涼やかな夏の風物詩といえます。京都をはじめ全国の和菓子店でも6〜7月時期限定で販売されることが多く、夏の訪れを感じさせる伝統菓子です。
「夏越ごはん」は、雑穀入りのごはんに夏野菜と豆を使ったかき揚げをのせ、しょうが醤油でさっぱりと仕上げた夏越の祓の行事食です。無病息災を祈る夏越の祓にちなんで、現代風に考案されました。
雑穀や豆は健康や厄除け、夏野菜は旬の恵みを象徴し、体調を整える食材が使われていることでも注目されています。家庭でも簡単に作れるため、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
「茅の輪くぐり」にちなみ、輪の形を模した焼き菓子やゼリーなども夏越の祓の時期に登場します。抹茶や青のりなどを使用して緑色を表現したものが多く、見た目も涼しげなのが特徴です。
神事の象徴である茅の輪をスイーツとして楽しむことで、行事の意味を親しみやすく感じられるでしょう。贈り物や手土産にもぴったりなので、ぜひチェックしてみてください。
日本各地の神社で夏越の祓がおこなわれていますが、地域ごとに特色があります。ここでは、なかでも有名な神社を関東・関西を中心にピックアップしました。神社や夏越の祓の行事の特徴を解説するので、気になるところがあればぜひ訪れてみてください。
「東京のお伊勢さま」として親しまれ、縁結びのご利益で知られる「東京大神宮」。6月下旬に執りおこなわれる夏越の祓では、茅の輪くぐりに加え、人形によるお祓いも実施されています。初穂料を納めて御朱印を受け取る人も多く、関東でも特ににぎわっている神社です。
江戸総鎮守として歴史を誇る「神田明神」では、毎年6月30日に「大祓式」が執りおこなわれます。境内には立派な茅の輪が設置され、参拝者が無病息災を祈ってくぐります。企業や商売繁盛の守護神としても信仰を集めており、ビジネスマンの参拝も目立つのが特徴です。
「関東のお伊勢さま」とも呼ばれる「芝大神宮」は、東京・港区に位置する由緒ある神社です。夏越の祓では茅の輪くぐりと人形流しがおこなわれ、厄除けと心身の清浄を願う人々でにぎわいます。比較的アクセスしやすく、都心にいながら神事を体験できるのが魅力でしょう。
学問の神様・菅原道真公を祀る「北野天満宮」。毎年6月30日に「夏越大祓式」がおこなわれ、境内に設けられた大きな茅の輪を多くの参拝者がくぐります。500円で直径7~8センチの小型の「茅の輪」も授与されるようです。学生から観光客まで幅広い層に親しまれています。
朱塗りの大鳥居で有名な平安神宮では、6月最終週に「夏越の大祓式」がおこなわれます。荘厳な神苑の中で執りおこなわれる茅の輪くぐりは幻想的な雰囲気で、京都らしい風情に満ちています。茅ノ輪は6月15日〜30日まで設置されており、開門時間中であれば自由に利用可能です。
奈良県御所市に鎮座する「高鴨神社」は、古代より鴨族の祖神を祀る由緒ある神社です。自然豊かな境内でおこなわれる夏越の祓では茅の輪くぐりや人形のお祓いが実施され、地元の人々に親しまれています。静かな環境で心を落ち着けたい方におすすめです。
学問の神・菅原道真公を祀る「太宰府天満宮」では、6月末に「大祓式」がおこなわれます。楼門前に大きな茅の輪が設置され、多くの参拝者が無病息災を願ってくぐります。御朱印やお守り、おみくじや太宰府みやげなどもあり、大祓式に参加したついでに購入する人も多いようです。
夏越の祓は、古来より日本人の生活に根付いた行事です。行事食を食べたり茅の輪くぐりをしたりして心と体を整え、健やかな夏を迎える準備をしてみてはいかがでしょうか。
※商品情報や販売状況は2025年03月27日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。
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