十五夜は美しい満月を眺めながら、秋の収穫に感謝する日本の伝統行事です。月見団子や里芋、栗、枝豆などの行事食に込められた意味や地域ごとの風習、さらに家庭で楽しめる十五夜のレシピもあわせて紹介します。家族で季節の行事を楽しむヒントが満載です。

十五夜の由来とは

月見

iStock.com/kaorinne

十五夜は旧暦8月15日にあたる日で、豊かな収穫を月に感謝し、祈りを捧げる風習として平安時代に中国から伝わりました。当時の貴族たちの間で広まった、月を愛でながら詩歌や酒を楽しむ風習は、その後、庶民の間にも定着し、稲作の収穫祭としての意味合いが強まりました。

月見団子やすすきを供える習慣は、収穫物への感謝と魔除けの意味が込められています。こうして十五夜は、自然の恵みを大切にする日本ならではの年中行事となったのです。

十五夜と食文化の関係

すすきと月見団子

iStock.com/kaorinne

なぜ月見団子を供えるのか?

十五夜に月見団子を供えるのは、満月に見立てた丸い形で月への感謝と祈りを表すためです。古くから、月は農作物の成長と深い関わりがあるとされ、豊作を願う行事の一環として団子が備えられるようになりました。

また、団子の数を十五個にするのは、十五夜にちなむとともに、積み重ねた団子を高く盛ることで月に近づけるという意味も込められています。月見団子には、自然の恵みへの感謝と、これからの実りを願う日本人の素朴な信仰心が表れているのです。

十五夜は「芋名月」?その理由とは

十五夜は「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれています。これは、旧暦8月が里芋の収穫期にあたることから、里芋をはじめとした芋類を月に供えて感謝する風習があったためです。特に農村では、収穫されたばかりの里芋をふかして供え、豊作への感謝と今後の実りを祈願しました。

月見団子とともに里芋をお供えする地域もあり、地域色豊かな風習として受け継がれています。「芋名月」という別名は、農作物と暮らしが密接だった日本ならではの、自然への敬意を示す言葉といえるでしょう。

すすきと一緒に供える意味

十五夜にすすきをお供えするのは、稲穂の代わりとしての意味があります。十五夜は秋の収穫を祝う行事であり、本来は稲を神様に捧げるのが風習でしたが、稲穂がまだ実っていない時期には、形が似ているすすきが代用として用いられるようになりました。

また、すすきは魔除けの力があるとされ、厄を払い、家族の健康を願う意味も込められています。団子や里芋と並び、すすきも大切な供え物のひとつとして、月を愛でる空間を神聖に演出してくれる存在です。

地域によって異なる月見の食習慣

十五夜の食習慣は地域によって異なり、その土地ならではの風習が色濃く残っています。関東では丸い月見団子を積み上げて供えるのが一般的ですが、関西では里芋をイメージした団子あんこを包んだものがよく見られます。

山形では、里芋を使った「芋煮」を囲むのが定番で、秋の恵みを感じる行事となっています。一方、沖縄では「ふちゃぎ」という小豆をまぶした餅を供える風習があります。小豆には魔除けの意味があり、健康と幸福を祈る気持ちが込められています。このように月見の食文化は、各地で独自に発展してきました。

十五夜の行事食

栗と芋

iStock.com/Marika-

月見団子|満月に見立てた十五夜の定番

月見団子は、十五夜に満月をかたどって供えられる伝統的な行事食です。白くて丸い形は月そのものを表しており、月に感謝しながら豊作や家族の健康を祈る意味が込められています。一般的には十五個の団子を三方に積み上げて飾り、月に向かって供えるのが風習です。

地域によってはあんこをのせたり、細長い形にするなど、見た目や味にも違いがあります。素朴ながら、自然の恵みに感謝する心が感じられる一品です。

里芋|「芋名月」と呼ばれる由来のひと品

十五夜が「芋名月」と呼ばれるようになった背景には、秋が里芋の収穫時期にあたることが関係しています。古くから日本では、月に収穫への感謝と祈りを込めて、里芋を供える風習がありました。特に農村部では、ふかした里芋を月にささげ、豊作を祈願する行事として大切にされてきました。

団子と並ぶ行事食として、月見に欠かせない存在であり、地域によっては芋煮として食卓にのぼることも。里芋は、自然の恵みと人々の暮らしをつなぐ象徴的な食材なのです。

栗|秋の味覚を代表するお供えもの

栗は秋の実りを象徴する食材として、十五夜のお供え物に用いられてきました。古くから山の恵みとして親しまれ、収穫への感謝と無病息災を祈る意味が込められています。皮をむいて蒸した栗や、甘露煮にして団子と一緒に供える地域もあり、素朴ながらも風味豊かな秋の味覚として親しまれています。

また、栗は保存が利き、縁起の良い食材として祝いの席にも重宝されてきました。十五夜の行事食としての栗は、自然と共に生きる日本の食文化を感じさせるひと品です。

枝豆や豆類|五穀豊穣を願う縁起もの

十五夜には、枝豆や黒豆などの豆類を供える習慣もあります。これらの豆は、五穀豊穣を願う縁起の良い食材とされ、古くから月に感謝を込めてお供えされてきました。特に枝豆は、収穫直後の新鮮な状態で味わえることから、秋の実りを象徴するひと品として親しまれています。

また、豆には邪気を払う力があるとされ、健康や無病息災を願う意味も込められています。団子や芋と並び、季節の恵みに感謝するための大切な行事食のひとつです。

十五夜に作りたいレシピ3選

1. 月見団子

月見団子

だんご粉と砂糖、水を混ぜてこね、丸めてゆでるだけのシンプルな月見団子レシピです。ピンポン玉のような真ん丸ではなく、少し潰すことで十五夜のお供えにふさわしい形になります。上新粉でも代用できますが、水分量は調整してください。

レシピはこちら|macaroni

2. みたらし団子

みたらし団子

切り餅とすき焼きのたれを使った、電子レンジで簡単に作れるみたらし団子です。餅をレンジで加熱し、砂糖と片栗粉を加えて丸めて串に刺します。片栗粉の分量は、調節しながら加えるのがポイント。たれもレンジで加熱してとろみをつけ、団子にかければ完成です。

レシピはこちら|macaroni

3. 月見つくね

月見つくね

十五夜にぴったりの「鶏むね月見つくね」は、成形不要で簡単に作れるのが魅力です。粗く刻んだ鶏むね肉に卵白や片栗粉を混ぜて焼き、甘辛だれと卵黄を添えれば見た目も華やか。白いりごまの代わりに、糸唐辛子をトッピングしてもおいしく仕上がります。

レシピはこちら|macaroni

十五夜を味わう行事食の魅力

十五夜は、美しい満月ながら秋の恵みに感謝する日本の伝統行事です。月見団子や里芋、栗、枝豆などの行事食には、五穀豊穣や無病息災を願う意味が込められています。行事食のレシピを参考に、自然と共に暮らす日本の文化を楽しみましょう。


阪急うめだ本店の最新ニュースをチェック!

食品フロア イベント情報
阪急うめだ本店 営業情報

※商品情報や販売状況は2025年07月02日時点でのものです。
現在の情報と異なる場合がございますが、ご了承ください。