節分は「鬼は外!福は内!」といったかけ声とともに豆をまいたり、鬼のお面をかぶった人に豆を投げる行事として親しまれています。本記事では節分の歴史や鬼に豆をまく理由、豆まきのルールをわかりやすく解説。次回の節分の参考にしてくださいね。

そもそも節分とは?その由来と歴史

男の子と女の子に豆を投げられて逃げる鬼

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「節分」は年に4回あった?

節分とは、本来は「季節を分ける日」を指す言葉です。昔は季節の変わり目に邪気(鬼)が生じると考えられ、「立春・立夏・立秋・立冬」の前日に鬼払いの行事がおこなわれていました。

そのなかでも旧暦の大晦日にあたる「立春」は、一年の邪気を追い払い、新しい年を健やかに迎えるための特別な日でした。そういった背景があることから、いつしか立春の前日を「節分」と呼ぶようになったそうです。

節分行事の由来は「追儺(ついな)」

古くから日本には、中国の行事をルーツとした「追儺(ついな)」という宮中行事がありました。

「追儺」は大晦日に「邪気や疫鬼を追い払う」行事です。別名、儺(おにやらい)とも呼ばれているこの行事が、現在の節分行事の元となったと考えられています。

節分の「鬼」の由来。豆をまくのはなぜ?

鬼の仮面、節分豆が入った升など、節分にまつわるアイテムが置かれている

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節分で退治される鬼というのは一体何を意味するのでしょうか。

昔は、自然災害や疫病、飢餓などの不幸な出来事の原因を「鬼の仕業」ととらえていました。それらの不幸な出来事を鎮めるためにおこなわれたのが節分の鬼払いです。

鬼は五色で煩悩を表現しているのが特徴。「赤」は欲望や渇望、「青」は怒りや憎しみ・悪意、「緑」は怠慢や眠気・不健康、「黄(白)」は、甘えや後悔・浮ついた心、「黒」は愚痴や疑いなどを意味します。解消したい悩みに合わせて、退治する鬼を選ぶと良いかもしれません。

鬼払いに豆が用いられるようになった理由には諸説ありますが、古来より、「米・麦・ひえ・あわ・豆」の五穀には、穀霊と呼ばれる精霊が宿るとされていました。五穀のなかでもっとも粒の大きな豆が鬼を払うのに最適と考えられたようです。

また、「魔を滅する(魔滅=まめ)」という言葉の響きから、語呂合わせで豆を用いるようになったとの説もあります。

かけ声をかける理由と「鬼は外、福は内」の意味は?

鬼とは「目に見えない邪悪な存在」のたとえです。そして、節分でかけ声をかけるのは、実体のないものを追い払うためと考えられています。

鬼を外に追い出し、福を家に迎えるという意味をもつ「鬼は外、福は内」というかけ声が一般的ですが、実は地域によってさまざまなかけ声が存在します。地域によるかけ声の違いを調べてみるのも面白いかもしれませんね。

節分の豆まきには大豆以外も使われる?

節分の鬼払いに豆を使うようになった理由は前述したとおりですが、赤い色が魔除けによいということから、昔は小豆が使われていたそうです。しかし小豆は高価なため、徐々に大豆を使うようになりました。

豆まきに落花生を使う地域も

現代の豆まきは大豆でおこなうのが一般的ですが、北海道・東北・北陸・南九州(宮崎・鹿児島)などには落花生を使う地域もあります。

雪国では「大豆をまくと雪に埋まってしまって拾うのが大変」という理由から、落花生の国内生産がさかんになった昭和20年代頃からは、殻ごとまくため衛生的で拾いやすい落花生を使うようになったのだとか。

南九州の一部地域で落花生が使われているのは「落花生の産地である」というのが主な理由のようです。ただし、国内で最も生産量の多い千葉県では大豆の使用率のほうが高いそうで、なんとも不思議な話ですよね。

節分の豆まきのルール

桝いっぱいの炒り大豆

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豆まきには「炒り豆」を使う

豆まきには炒り豆を使うのが一般的。なぜ生の豆ではなく「炒り豆」を使うのかご存じでしょうか。

節分の豆には鬼払い、厄除けの願いが込められています。生の豆をまき、拾い忘れた豆から芽が出ることは縁起が悪いとされていることから、芽が出ないように炒った豆を使うようになったそうです。

そのほかにも、「豆を『炒る』を鬼の目を『射る』にかけた語呂合わせが由来である」という説もあります。

豆まきをする時間帯はいつ?

本来であれば豆まきは、鬼がやってくる丑寅の刻(午前2時から午前4時)におこなうのがよいとされています。ただ、深夜に当たるため、この時間帯に豆まきをおこなうのはなかなかはむずかしいでしょう。

地域や家庭によってさまざまですが、現代ではもう少し早めの時間に豆まきをおこなうのが一般的。夕食の前後や、家族みんながそろっている時間帯におこなうのがよいとされています。

節分に食べる豆の数

豆まきのあとに食べる豆の数は、以下のような2つの数え方が一般的です。それぞれどのような意味を持つかも見てみましょう。

・年齢と同じ数だけ食べる......年齢と同じ数の福を迎えるように願う
・年齢と同じ数に1粒加えて食べる......新年(立春のあと)の無病息災もあわせて願う

年齢は「数え年」が一般的でしたが、最近では「満年齢」を基準にすることが多いようです。

正式な豆まきのやり方

桝にはいった炒り豆と鬼のお面

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1. 夜までに福豆を準備する

炒り大豆(福豆)は豆をまく直前まで桝や三法(お供え用の器)に入れて神棚に供えます。神棚がない場合は、自分より目線の高い場所に白い紙を敷いて供えましょう。

2. 豆まきは家族そろって

豆まきは夜に家族そろっておこないましょう。豆は家長がまくのが本来のルールですが「年男・年女」がまくのもよいとされています。地域によっては「厄年の人」が吉とするところもあります。

3. かけ声をかけながら豆をまく

玄関や窓を開けて「鬼は外!」とかけ声をかけながら、鬼を追い出すように奥の部屋から順にまいていきます。

桝は胸の辺りで持ち、手のひらが上を向くように「下手投げ」のようにして豆をまくのが作法です。

4. 豆をまいたら鬼を締め出す

奥の部屋から玄関まで豆がまき終わったら、すぐに玄関や窓を閉じ、鬼を外に締め出しましょう。そのあとに「福は内!」のかけ声とともに、部屋の中に豆をまきます(かけ声は地域によって異なります)。

5. 無病息災を願いながら豆を食べる

まいた豆を拾ってから、一年の無病息災を願いながら、年の数、または年の数に1粒加えた豆を食べましょう。

「恵方巻き」に「いわし」。節分にはこんな風習も

積み重なる3本の恵方巻き

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豆まきのほかにも、節分にはさまざまな風習が存在します。ここでは、それらのうちいくつかの風習を紹介します。もしも目新しいものがあったら、次回の節分で試してみてくださいね。

恵方巻きを食べる

「福を巻き込む」との願いを込めた巻き寿司を、恵方(その年の干支によって決まる吉とされる方角)を向きながら食べる風習です。この風習は、関西から始まったとされています。

恵方巻きはカットせずに一本丸ごと食べるのが習わし。切らずに一本食べ切るのは「縁を切らない」という意味が込められているからだといわれています。

柊鰯(ひいらぎいわし)を飾る

節分の日から立春にかけて、玄関に柊(ひいらぎ)の枝にいわしの頭を刺した「柊鰯」を飾る地域があります。

「柊のトゲと、焼いたいわしの強い匂いが鬼を寄せつけない」という意味が込められているそうです。また、一部地域では節分にいわしを飾るだけでなく、実際に食べることもありますよ。

福茶を飲む

福茶とは、新年に初めて汲んだ水(若水、または初水)で淹れたお茶で、縁起がよいとされているものです。

正月に飲む地域もありますが、立春を迎える節分にも縁起担ぎのために福豆や梅干し、昆布などを入れた福茶を飲む風習があります。

けんちん汁を食べる

節分には恵方巻き、いわし以外にも、けんちん汁を食べる地域があります。

節分にけんちん汁を食べるのは、一部の関東地方の風習のようです。昔、寒い季節の行事の最中に体を温めるために食べていた名残とされています。

節分に豆まきで福を呼び込みましょう

「子どもの頃から節分の豆まきに親しんでいたけれど、由来や正しい豆まきの方法を知らなかった」という方も多いのではないでしょうか。ぜひこの記事で解説した知識を意識しながら、豆まきをおこなってみてください。家族の健康と幸せを願って、伝統行事である節分を楽しみましょう。

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※商品情報や販売状況は2023年11月27日時点でのものです。
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